101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
リセットを駆使する策士
バトル物に欠かせない主人公能力のインフレによるストーリーの盛り上げ効果。
反面インフレ乱用の副作用によるコンテンツの壊滅…。
過去幾多のバトル漫画・アニメが直面して来た課題。
ゲーム内の仮想空間を舞台にした『ソードアート・オンライン(SAO)』はこの難題に
原作ラノベ作家がゲーマーならではの方法で解決に挑んだ作品です。
『SAO』もまたバトル物のご多分に漏れず
主人公の能力インフレが凄い…どころか凄いを通り越して清々しいくらい(笑)
エピソードも終盤になるとただでさえゲームバランスを無視した
ソロプレイヤー・キリトの能力インフレはさらにハイパー化し
ゲームシステムそのものすらも超越していきます。
だからキリト君強すぎ~(加えてモテすぎ~)こんなキリト無双のどこが面白いの?
という批判意見は私も理解できます。
けれど『SAO』が凄いのはここから。
あれだけ何もかもを吹き飛ばす勢いで盛り上がりが沸点に達したところで
次のゲーム内仮想世界へ舞台は移り、インフレはリセット。
新たな冒険がスタートし、再びインフレが始まるのです。
プレイ中のゲームでプレイヤーの分身がラスボスを一撃で屠るまで成長し
ゲームがつまらなくなったら、リセットして別のゲームへ…。
そしてそのゲームも極めたらまた次へ。
ゲーマーなら当たり前に行っている切り替える習慣を著作活動に取り込み、
能力インフレの盛り上がりを最速化、最大化しつつ、
ギリギリのタイミングでリセットし、コンテンツを持続させる。
原作者は相当な策士、加えてゲーマーとしても引き際をわきまえた相当な猛者であると、
ヘタレゲーマーでもある尊氏は戦慄するのであります。
以下ネタバレ有りの感想
{netabare}
個人的に第24話「鍍金(メッキ)の勇者」妖精王オベイロン役・子安武人さんの魂の怪演が忘れられません(笑)
如何にSAOがリセット上手といえどもあの場面はインフレ過熱により
世界もストーリーも崩壊の淵にあったアニメ『SAO』最大の危機であり、
オベイロンが並みの声優さんならばただの茶番になっていたはず。
それを救った子安さんの悪役魂にはグッときました。
私の中では子安さんの悪役と言えば未だにテッカマンエビルですが、
オベイロンもまた全子安史に残る名演として語り継いでいきたいです。
声優5.0点は概ね子安さんに対する評価です。{/netabare}