2S-305 さんの感想・評価
2.9
物語 : 1.5
作画 : 4.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
「true tears」をデフォルメ劣化させた残念作
「凪のあすから」は素っ頓狂な世界観でありながら、尻上がりに面白くなっていったので本作も面白くなっていくと期待しましたが・・・。
にわとりや人間関係など「true tears」を彷彿とさせる設定が多く、登場人物の相関関係も少しひねっていますが結構かぶっているように感じました。
主人公の透子と駆を除くサブキャラクターのエピソードについてはそれなりに感情移入でき、面白さを感じることもありました。
しかしながら、肝心のメインキャラクターである透子と駆のエピソードは・・・・なんと申しましょうか、夢見がちな少年・少女のエピソードを描きたかったのかも知れませんが、少々味付けが濃すぎて訳のわからない内容となってしまい、結果キャラクターの魅力も皆無で感情移入どころではなく、物語全てを台無しにしてしまった感は否めません。
あらゆる点でかぶっている「true tears」の登場人物と比較すると
優柔不断で夢見がちなポエム男の「眞一郎」
→無言実行(有言実行ではありません)な夢想家通り越して統合失調症の疑いもあるテント居住の電波男「駆」
夢見がちな電波系少女の「乃絵」
→夢見がちどころか白昼夢・幻覚すら見てしまう素っ頓狂サイコ娘「透子」
と、強烈な味付けになってしまい、主人公の二人が折角の青春群像劇に水を差すどころかTNTで爆破消滅させてしまったかのような印象です。
実際のところ、本作を文学作品たらしめるための趣深さや風情・情緒が欠落していました。
頭の天辺から発したかのような奇声を張り上げるヒロインの「透子」に幻想的な憂いや情感を感じること自体無理があります。
病弱カミングアウト眼鏡少女の「幸」あたりがヒロインであれば、幾分印象が変わったかもしれませんね。
「凪のあすから」では良い意味で期待を裏切ってくれましたが、本作では残念ながら視聴者置き去りの期待はずれアニメと言わざるをえないと思います。
大変期待していただけに非常に残念でした。