蓬(Yomogi) さんの感想・評価

3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

タイトルなし

このシリーズは毎回監督シナリオは別の人なのだが、今回監督が阿部さんということで驚いた。
今までで一番面白く仕上がっていると思う。
原作でも人気のエピソードということなのでストーリーは折り紙つきなのだが、全体の雰囲気、細部の作りこみも丁寧で一番クオリティが高い。
作画もレベルが高く、今回の演出はコメディ調がほぼ排除されいてるのでよりシリアスになっている。

シナリオの全体像は分かりやすく事件の犯人についても予想通りだった。
義足が陶器ということなので失踪した子供の骨でボーンチャイナでも作っているとすぐ思いついた。
黒執事は全体に物悲しいトーンが流れているので事件は悲しい結末を迎えるのだが、主人公はそのたびに傷ついていくのが上手い構成だと思う。
悪魔を観察者に据えることで人間の愚かさ悲しさ弱さを浮き彫りにした見事な構成だった。

実は今回一番気に入ったのはOPのスタイル。
サーカスの舞台装置モチーフのデジタル背景、その中をカメラが進んでいくコンテは非常に完成度が高い。
サーカスという作り物の世界を紙芝居のようなデジタルで表現、虚構を虚構で再現した感性が素晴らしい。

暗い照明と幻灯機で映し出したような撮影の処理も特筆に価する。
薔薇窓、市松タイル・ハーリキンチェックのモチーフも独特の雰囲気を醸すのに成功している。
OPの映像ディレクションはステロタイプというところが手がけているのだが、本当にクオリティが高い。

ていうか、やっぱコンテの完成度が本当に高い。物語とリンクしていて本当に良い。
実に素晴らしかったです。