ローズ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
食事に対する考え方
人間を食料とする喰種(グール)。
そのグールが普通の人間社会に紛れ込み生活をしていた。
主人公の金木研(かねき けん)は、グールであるリゼに食べられそうになり瀕死の重症になってしまうが、リゼの臓器を移植されて生き延びる事ができた。
しかし、その代償として半喰種となってしまい普通の人間の生活ができなくなり、喰種の世界と関わる事となった。
本作品の問題となるのがグールによる人間の捕食。
人肉を食べるという事は普通の人間にとってタブーですが、グールという存在を使って この問題から真正面に向き合っています。
グロ要素はありますが、人間の”食べる行為”を考えさせる内容ではないでしょうか。
人間だって普通に家畜を食べますからね。
普通の人間でも残酷な行為をしているのと同じで変わりません。
作中では普通の人間とグールが対立して戦う場面があります。
普通の人間からグールを見たら、自分達を危険に晒す異物です。
見た目は人間と同じでグール化する時に異形の姿になるので見分けるのは困難。
グールを抹殺して安全に人間が暮らせる世界を作ろうとするのは自然な流れでしょう。
ただし、グールが人間からしか栄養を摂取できない事を考えれば、
グールが人間を襲っても仕方が無い側面もあります。
食べる側と食べられる側のように単純に分けるのは無粋というもの。
ただのグロ表現と受け取らないで、もっと”食べる事”に対しての認識を改めないといけないでしょう。
主人公の金木は人間でもありグールでもあります。
不安定な立場ですが、両方の立場を理解する事ができる稀有な人物。
金木の行動や思想によって作品の展開の仕方に方向性がでるのではないでしょうか。
本作品の進行状況では良し悪しを判断する事は難しいです。
原作漫画も一旦終了。
続きが気になるのは自分だけではないはずです。
(新しい連載が決まり、アニメも2期が決定。レビューを書いた時から日時が経過しているので情報が遅くてすいません)
終盤は人間VSグールというだけでなくグールVSグールという構図も見えてきます。
強者が弱者を支配するのは世界の必然。
単純にグロ要素があるだけで視聴を止めてしまう事はもったいないです。
人間でもグールでも生き延びるために必死になるのは当然です。
”食事”に対する考えを再認識させる作品でした。