「カウボーイビバップ 天国の扉-COWBOY BEBOP(アニメ映画)」

総合得点
77.6
感想・評価
586
棚に入れた
3334
ランキング
612
★★★★★ 4.1 (586)
物語
3.9
作画
4.2
声優
4.2
音楽
4.2
キャラ
4.2

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ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

胡蝶の夢は覚めるのか

2014/10/28 若干修正

TVシリーズの評価の方でも指摘した、基本設定について突き詰めて考えていないが故の欠陥が、新たな難問をしょい込んだストーリーによって、より増幅した形で再現されている。


持ち込まれた新たな難問は、現実と非現実を切断し、いかに「現実」を確信もって手中にするか、だが、繰り返し「胡蝶の夢」のモチーフを持ち出してくる割に、これが数千年間生き延びているという歴史の重さに、十分な考察は、基本設定同様に行われていないようだ。

数千年の難問に対抗するのに、自身の主観の中の特権的な記憶にかけて決断を行う、というのはあまりに安直で、この程度の決断が数千年の間行われなかったとどうして思えるのだろう。この程度で済むなら、「胡蝶の夢」のモチーフなどとうに歴史に埋没してしまっている。

まして、現代では、記憶の特権性のあいまい化が、一層進んでいるというのに。

にも拘らず、製作者が用意するのは、特権的な恋の記憶と恋人。

だが、それすらも、真剣に考察するならば、相対性に呪われ打現代では、決断の足場には不足だと分かるだろう。

残るのは、根拠などなく決断するという、運命への投企しかないだろうが、ここでも、製作者は安易に恋の特権性を選び、全体をメロドラマのフレームに回収しようとする。

映画に落ちはつくのだが、この難問も真剣に突き詰めた考察が書けている結果として、キャラクターがメロドラマ用の人形に過ぎない印象しか与えることができずに、終幕する。

劇場版にふさわしい作画とアクションの密度、声優の渾身の演技、クオリティの高い音楽、そのすべてが表現しているのが、空虚な人形メロドラマであり、適切な考察と検討の欠如であるというのは、なんとももったいないことだ。

投稿 : 2014/10/28
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サンキュー:

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