青陽 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
変えられない大切があるから
ストーリー
イケメン、真面目、ヘタレ
大人だけど手のかかる子供みたいな書道家 半田と天真爛漫で素直な性格の島っ子 なるを中心に
五島で巻き起こる
ハートフルな人間成長ストーリー。
設定などはわりと現実的だが、ベースにあるのはギャグ。だから
なるが放り投げられても可愛くゴロゴロ転がるだけで怪我はしないし、半田が転んで岩に頭をぶつけても気絶&タンコブで済むし、梯子から落ちてもダメージは無い(ヘラクレスは死んだけど)。
「おけがまくっちした」
でターザンロープをやったときは子ども数人➕自分の体重を利き腕一本で支えることになって、さすがにこれは書道活動に支障が出るのではないかと思ったけど、その後ふつうに良い作品を書いていた(笑)
2話では過労で倒れてたけど、島暮らしのおかげで回を重ねる毎に強くなっていたのかも?
それを表していたのかな。10話で半田が重そうな石をひょいひょい持ち上げて石垣を積んでいたのには驚いた!悪ガキたちに
もやしとdisられてたけど、先生は意外と力持ちになったのかもしれない。
さらに特徴分析
田舎が舞台というとあの物語を思い出す(2期も楽しみなのん!)
でも、キャラ性が強かったあちらと比べると、ばらかもんは田舎での暖かい交流がより色濃く描かれている。そして
観ていて子ども時代を思い出し ノスタルジーに陥る頻度も高い。
視聴者は一話一話のストーリーを通して
半田と一緒に感傷的な気持ちになり、そこからなる達に励まされる。自らの過去を振り返り、今を見つめ直し、未来へ歩み出そうとする勇気を与えてくれる作品、それがばらかもんだ。
半田となるの関係性は「のだめカンタービレ」の千秋とのだめに似ている。(ギャグのノリも)
基本を忠実にこなす人間が型破りな存在と出会い、そのハチャメチャな行いに呆れながらもハッとさせられる。
教える側のようで、実は教えられることが多い。
そうして 気づけば大きな影響を受けており、相手は大切な存在に変わっている。
多くの作品に言えることだけど
価値観の異なる人物と出会うことで物語が始まり、多様な考え方の人々と触れ合うことで主人公は自分を見出し成長していく。
自分と違うからダメなのではなく、違うから為になるんだよね。
あにこれもん
{netabare}
字を扱っている、という点では
あにこれのレビューに関しても共通する部分がありますね。
半田に字を書きたくなる瞬間があるように、私も本当に良いアニメを観たときはたまらなく感想を文章に残したくなります。
美しい景色を見たときは写真を撮りたくなるし、良い音楽を聞いたときは自分も奏でたくなる。何においても衝動って大事
レビュースタイルについても改めて考えさせられました。
それこそまるで昔の半田の書みたいに
あらすじや感想、アニメ情報などを綺麗にまとめた
お手本のようなレビューも書こうとすれば書ける。簡潔で安定した文章スタイルは読みやすいし、そのアニメを観てない人には参考になる。レビューとして需要があるし、それが自分らしさである人はそれを突き詰めればいい。
また サンキューが欲しいのなら
賞賛酷評見境なくレビューにサンキュー&ひたすらキャッチしまくって繋がりを広くすることで、どんなレビューを書いてもサンキューほいほいにすることができる。
しかし おれの場合、それらをやったら「自分らしさって何だ?」となるし、そもそものレビューを書く目的・あにこれを利用してる意味も見失うことになってしまう。
レビューが長かろうが短かろうが、別にいい。
大切にしたいのは
アニメを視聴して 自分が思ったり、強く印象に残ったことをしっかりと言葉にして、日本語の文章として表現すること。
誰の賛同を得られなかったとしても、それができればそれでいい。
「サンキュー稼ぎたい人はどうぞ、お先に」
あにこれが定めた制度に惑わされる必要はないんだ。
アニメが好きだからこそ妥協することなく。
自分で読み返したとき、アニメ視聴当時の感覚を思い出せるような楽しいレビューを!
現実ではそうもいかないが、このサイトでくらいは
理解されるための建前でなく、理解されない宝物を
大事にしていきたい
そう思った。
{/netabare}
というわけで自分らしく。
以下は
個人的に印象に残った名言やお気に入りのシーンと共にばらかもんを振り返っていこうと思います。
長くなりますが、お付き合い頂ければ幸いです。
1話の名言
{netabare}
なるの爺さん
「うんは荒んだときこそみもんぞ?わかっちょらんねえ」
海が荒んで見えるのはおれの心が荒んでいるからだろうか?と呟いた先生に対する言葉。
たしかに悩んだり、精神的に弱っているときに見る海未、じゃない…海は美しいです。広大な海を眺めていると自分の悩みのちっぽけさを感じ、ふっと笑みがこぼれるもので。それは星空(凛も可)を見上げたときの感覚にも似ている。海も宇宙も果てしなく広がっていて……見ているだけでなんだか幸せになれる、ああ広大な自然が好きだ。
また、その直前に発せられた言葉「昼から曇ってんたい」も何げに奥が深い。
海が綺麗に見えないことすら自分のせいだと考えてしまうほどに落ち込んでいる先生。でも、実際はただ曇っていただけ。事実なんて大したものではない。
気分が下がっていると些細なことでもくよくよしてしまいがちだが、全ては捉え方次第なんだよね。
ちなみに曇っていた空に光が射してゆくときの海は本当に美しい!太陽が顔を出すにつれて海がどんどん輝きを取り戻していく…日の出とはまた異なる感動。
その姿はまるでこの物語を通して変わっていく半田のようだ。
なると出会い、子供らしい無邪気さや素直さに触れて
島の人びとの損得にとらわれない暖かさにも触れ、半田は一枚目の壁をぶち破る。
半田が海だとしたら、なるや島の人たちは太陽なのだ。光に照らされて輝いていく海…おれ、綺麗な海が好きだ。(紡三段活用)
魅せる光の見せ方
ここぞというシーンでの光の使い方が上手い。
壁を超えた先に見えた夕陽の美しさは語るまでもないかな。島に来たときは曇っていた空(先生の心)に光が射した瞬間。情景描写で人物の心理を表す王道パターンともいえるだろう。いや、ばらかもんの場合は心が晴れやかになったから空も明るくなるのではなく、景色の美しさを見て心が晴れやかになるから 順番としては逆かな。
「言の葉の庭」や「思い出のマーニー」はまさしく天候が主人公の心を表してたけど。
もう1シーン印象的だったのは、引越し作業が終わった後 半田が東京に電話をかける場面。蛍光灯の明かりが寝転がる半田の身体を淡く優しく覆っている。これも半田の心境に変化があったことを絵で伝えてくれている。普段なら気にも留めないような蛍光灯の灯りだが、ここでは美しく効果的に使っていたと思う。
ひとつ壁を超えた先生はアバンであったシーンへ…。自分の中の常識から抜け出そうとただただ筆の運ぶがままに描いた「楽」の字で感涙しそうになった。
前半で出てきた 基本に忠実に書いた展覧会の作品や「四面楚歌」と対照的な荒々しい書体。それを笑いながら書く先生は輝いていたよ。
最後のオチまで含めて
「いい最終回だった」と言いたくなるくらい、1話の完成度が高かった。全12話の中でも特に好きな回です(u_u)
{/netabare}
3話 屈指のギャグ回でありつつも…
{netabare}
腐女子と本気婆
・腐女子へと至る過程にも色々と葛藤があるんだなあ…と勉強になりました。
ガンガン系列だからだろうけど、マンガを理解させるのにハガレンを渡すあたり、たまはわかってる!
しかしこの先、半田がさまざまな気づきを得ていくに比例するかのように彼女も腐道を進むことになる。
・ああ 餅拾いはね、絶対つわものが居ますよね。それも必ず女性!女は強い(笑)バーゲンセールで鍛えられているのでしょうか?
ほんとに凄い気迫なんですよね、びびっちゃう先生の気持ちはよくわかりました。
私の地元にも居ましたよ、PunchとYasubaを組み合わせようなレジェンドばばあが(笑)
アニメほどではないけど、マジでちょっとぶっ飛ばされるんですよ!ご老体とは思えないスピードとパワーで、当時 小学生だった僕の心に衝撃を残してくれました。こいつ電車で会っても絶対席譲る必要ないだろ!と子どもながらに感じたくらいです。
スタンドだったら近距離パワー型間違いなし!パワー、スピード文句なしのAです(笑)
あと、僕の目の前に落ちた餅も寸分の狂いなく掻っ攫ってたので精密動作性もAでしょう。
当時はjojo知らなかったけど、今ならババープラチナってあだ名つけるとこですよ。やれやれだぜ
…まあ、思い出はこの辺にして。
この回の名言はもちろんこれです。
Yasuba
「上ばっかり見ちょるけん駄目たいね。ゆっく 待って 地面に落ちたんば取っとよ。チャンスは意外にも下に落っちょるけんね」
「どうぞお先に。譲ってやって もっと太か餅ば狙え」
さすがは年の功!
島流しにされ、そこで書いた渾身の作品でも1位になれず、苛立ちと焦りに苦しんでいた半田の心を
すーっと楽にしてくれたやすばの言葉です。
心が楽になったのは半田だけではないでしょう。
書道にかぎった話ではないですよね。どうしても他人と比べて競うようになりがちですが、本当に向き合うべきなのは自分自身。
自分のペースでゴールへ向かえばいいんです。ヤマノススメもいっしょです。
このやすばの台詞は後に神崎との話の中でも半田を助けましたね。
{/netabare}
唯我独尊丸
{netabare}
先生はぜんぜんヘタレじゃないよ。
船体に一発勝負で文字を書く。そんなの怖いに決まってる。取り返しのつくスケッチブックですら、真っ白な世界に描き始めるのはちょっと怖かったりもするから。
失敗したらどうしよう…本当にこれで大丈夫か…?
一歩目を踏み出すことの怖さ
それを子どもたちは気にしない。
良くも悪くもひたすらに真っ直ぐだ。
船に字を書くところも良いけど、 なるがペンキの入ったバケツに手を突っ込むシーンも好き。
あんなに躊躇なく手を入れるなんてこと、今じゃとてもできない。手が汚れるのを嫌うから。半田が昆虫や魚釣の餌に触るのを嫌がったのも同じような感覚からだろう。
それに対してなる達はペンキひとつでも楽しそうにはしゃいでいる。怯まず、何にでもまっすぐ突っ込んでいける。子どもの厄介で素敵なところですよ。
{/netabare}
10話
{netabare}
何でも言うこと聞く券は
先生が東京帰っちゃうときに
なる「帰らんで〜せんせー!」
って感じで使うのかと思ってたけど、じいちゃんが石垣作りの手伝いにあっさり使っちゃったなー。
まあ、そのパターンだとドラえもん思い出しちゃうし、これでよかったのか。
書き直した神社の奉納者の名簿
余白が無くなってて一番上のほうは映されなかったから、半田の名前が足されたのかと思ったけど
余白を埋めるように書いただけで先生の名前は無かったみたいだね
{/netabare}
11〜12話
{netabare}
「何で怒られてるかわからなくてもとりあえず謝っちゃえばいいんですよ〜」…とある美術教師の名言だけど、やっぱりそれじゃダメだよ(笑)
半田の謝罪は島での日々を通して彼が成長していたことがはっきりわかる謝罪だった。ただカタチだけのものでなく、しっかりと反省した 心からの言葉だったから館長にもその気持ちが伝わったんだね。
半田を許した館長の台詞
「これからは衝動で動いてはいけないよ」……良い言葉だ。
自分でちゃんと制御して、良い衝動のときだけ実行に移せるようになれたら素晴らしいね。
半田がすぐに衝動的に動いてしまったのは笑ったけど
あの「星」って字 かなり気に入ってたからダメになっちゃって残念だった。
しかし、その後に書き上げた
「石垣」はまさにひと夏に渡る先生の集大成!
島の皆の声を聞いて、半田は自分が得たものを見出した。それだけでなく、得ていたものにも気づいただろう。
暖かく(過ぎるほどに)見守ってくれている両親。彼を理解している友人。書道関係者。
支えられて支えて支えられて…、そうしてできている人と人の繋がり。その大切さに気づけた彼の成長、自分らしさを模索した その第一歩として実にふさわしい作品だったと思う。
余談
半田の子供っぽさは母譲りだったのか!笑
ってかお母さん若すぎ!!
「止めません!あなたが行かないと言うまで、止まらないパンチ!」ってセリフといい、怒涛のラッシュパンチといい、母親はジョースター家に所縁があるのかもしれない。彼女が若々しいのは「波紋の呼吸」を会得しているからだろう。
{/netabare}
OP「らしさ」/SUPER BEAVER
毎回泣きそうになるOPはCLANNAD AS以来だな。
男はメロディに魅せられて、女は歌詞に魅せられる。
そんなイメージがあったが、この曲の場合 性別問わず歌詞にぐっとくるものがあるだろう。
聞き取りやすい歌声とシンプルなコード進行ゆえに歌詞がダイレクトに伝わってくる。
それにあの素晴らしいOPアニメーションが付くのだ!もはやOPだけでひとつの作品として完成しているといってもいい。
この1分半で なると半田の関係性がしっかりわかるもん。
イントロ
なるが訪れ、薄暗い室内に光が射すシーン。これだけでも ばらかもんという作品を表している。
個人的に好きなのはBメロ
「♪大人になるほど後悔する生き物になる」
ここで半田の通ってきた墨跡はグニャグニャ曲がりくねっている。しかし、なるは全く気にせずその上をぴょんぴょん飛び跳ねている。それを見た半田は呆れ笑いながらも少し羨ましそうに見える。
ここからサビへの流れがホント最高!!!
サビ直前の
頭に手拭いを巻いた半田(正面)が全12話の中でも一番かっこいいと思う。
サビから先は素晴らしいの一言に尽きる。筆を走らせる迫力ある半田と両手を広げて満面の笑みのなる…いいよね!
声優
子どもが演じる子どもについてはダンディのレビューでも触れたな。どんなベテラン女性声優でもけっして出すことは出来ない子どもならではのピュアさ。それが本当に輝いている作品だった。
彼らが子ども「らしく」演じなければいけなくなる前に是非2期を制作してほしい。
役に立った知識
・着衣泳法
・このもん、ばり美味か!!
・カメムシはペットボトルで捕まえる