「PSYCHO-PASS サイコパス2(TVアニメ動画)」

総合得点
84.8
感想・評価
2440
棚に入れた
13718
ランキング
274
★★★★☆ 3.8 (2440)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.7

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ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

良い積み重ねだった

【最終話まで見てを追加】

2話まで見て、1期ネタバレ有り
{netabare}1期を見て、大前提を知っているからこそ味わえる安定感のある入り方をしてるな、と。

1期の感想にも書いたが、1期の導入には不満点があった。
それは、1話を見て何より感じさせるのは、シビュラシステムのガタガタさ、だということ。
どうにも、シビュラシステムが巧く運用されている実感が湧かず、
「こんな変なシステムを運用してていいの?」
という思いを抱き続けたまま、物語が進行していくから気持ちが悪い。
せめて最初の2話は、シビュラシステムを活用して、パラライザーモードで犯罪の芽を事前に地道に刈り取っていくという作業を描いてシビュラの有効性を描くと同時に、「犯罪係数がパラライザーを超えたらどうなるんだろう?」と疑問を抱かせる。
で、3話でエリミネーターモードが発動して・・・という流れにすれば、と思っていた。虚淵脚本だし。


で、2期となる本作だが、シビュラが困ったちゃんなシステムだと視聴者は既に知っているので、シビュラをまともに運用していればいるほど滑稽に映るわけだ。
なので、「なんでこうしないの?」「いやいや、そうはしないだろ」って思いも抱かずに素直に物語を受け入れて、オリジナルでも2期ならではの落ち着いた見方が出来る。

シビュラの全貌を知る朱と、そのシビュラに選ばれた史上最年少監視官の美佳の考え方の相違による一歩通行的衝突。

朱の元に配属になった新人執行官東金が、狡噛と同じくロボ相手に格闘戦練習をやり、狡噛と同じ煙草を吸い、セラピスト能力で朱の心に近づいていくわけ。


いろいろと楽しい種が撒かれている感じ。
楽しめそうだ。
そのうちOP映像も細かく見てみよう。{/netabare}

4話見て、エグいね
{netabare}いやはや。エグいね。
何がって、アレを顔色変えずに平然とやってる神経がエグい。
考えることをやめ、人が人でなくなってしまった社会を、まぁ、見事なエグさで描いてくれた。
見た目なんか大したこと無い。ディグダグよろしくのプクプクポンは今までも散々見てきてるし、今回はそれを一気にやっただけ。

上の感想にも書いたが、シビュラは困ったちゃんなシステムだ。
なので、それを運用してる社会も困ったちゃんなら、それに従い運用されてる人々も困ったちゃん。
どう困ったちゃんかといえば、考えない。考えなくても良い。ただただ、シビュラに従えばいいだけだから、誰が悪いどいつが悪いとか何も考えない。ドミネーター構えて引き金を引けばドミネーターがソレに適した処罰をしてくれる。
そういう意味で、二課の青柳さんはドミネーターに頼らずにガラス片で悪人に立ち向かったその時に人間に戻れたわけだ。戻った瞬間に・・・な訳だが。

2期は、1期を見て抱くシビュラ運用社会に対する視聴者の疑念や違和感をあぶり出しながら描けていると思う。


シビュラ判定偽装ヘルメットなんてものが出廻るあの事件を受けてもなんにも変わらない社会。
これがメタ的に
・311による福島原発の悲劇があってなお変わらず原子力に頼ろうとする社会
とか
・むしろ逆説的に、中国の漁船が大量に領海侵犯して違法操業しようとも困ったねぇで済ます社会
とか、現実社会の何を表しているのだろう、ってのは視聴者の個々によりけり。
また、考える事をやめ、社会の歯車として・・・なんてのは現実社会ではよくある話。見様によっては戦争の悲劇。

2期モノとしても、現実社会反映モノとしても、楽しませる水準には十分達している。{/netabare}

最終話まで見て
{netabare}2期ものとして良い出来だった。
前作が、裁けない個に対し法を越えて対処する、という物語に対し、
今作は、裁けない集に対し法の範囲で対処する、という物語。
結末に向けて丁寧に積み上げていく物語だったので、熱さやグッとくる場面が少なめだったのは玉に瑕。


はてさて。

個を繋ぎ合せ集と化したピノコ鹿矛囲さん。
シビュラは個を判定するシステムだから集を判定出来ない。
集を判定しようとすると、シビュラは脳の集合体たる自分自身をも判定しなければならなくなる。絶対的存在のシビュラが自らを判定するなどありえない。
シビュラ困った、どうしよう。
しょうがない。集のサイコパス判定を開始しよう。それでピノコ鹿矛囲を排除しよう。そうすればシビュラの絶対性は維持出来る。
ピノコ鹿矛囲をサイコパス判定アウトにするために、シビュラの問題がある部分は排除して自らはクリアだぜ。

これがおおまかな流れだ。

これから集のサイコパス判定を繰り返していくと、シビュラ自身のサイコパスをクリアに維持するために自ら問題のある部分を切り離し続けなければならない。
この蠱毒システムの果てに訪れるのは、最優位の脳一つしか残らないということ。
それは、どんなことがあってもクリア判定を保ち続ける脳。

ってことは、この物語の最果ては、常森朱という女神がシビュラの頂点に立って秩序を維持する社会の構築。
それがユートピアとなるのかディストピアとなるのか。


はてさて2。
劇場版。この困ったちゃんシビュラシステムを海外輸出しちゃうらしい。
いやいや、国内ですらまともに運用しきれず暴走してるシビュラを海外輸出てアホかよ。
と思うが、震災の悲劇の末とはいえ、暴走して制御しきれなくなった原発を海外輸出しようとしている現実。
この辺をメタ構造としてなにやらやろうとしているのかな、と。
虚淵脚本にIG制作と1期のシステムで描かれる劇場版。
R15+指定とのことで、思いっきり暴れてほしい。{/netabare}

投稿 : 2014/12/19
閲覧 : 349
サンキュー:

8

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