aaa6841 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
お兄様が凄すぎてつらい
国立魔法大学附属第一高校。
魔法技能師育成のための国策機関であるこの学校に入学を許されたこと自体、魔法という希少な才能を認められたエリートである。
しかし、この学校には、入学の時点から優等生と劣等生が存在する。
魔法師として欠陥を抱える兄。
完全無欠の妹。
二人の入学をきっかけに、波乱に満ちた学園生活が始まった。
しかし、そんなあらすじは正直どうでもいい。
これは、とにかく「お兄様が凄い」というアニメなのである。
本作のお兄様であり、主人公である司波達也。
彼は一体どのくらい凄いのか。言語で表現し得る限りの範囲で記載する。
まず、さすがはお兄様だけのことはあり、魔法実技が苦手ながら魔法理論とやらの成績が学年トップだったり、魔法使いでありながら体術を極めつくしているなど、ありがちな凄さもそれなりに持ち合わせている。
ただし、お兄様ともあろうお方になれば、凄さの奥行きが違う。
自らがその才能を発揮して新種魔法を開発、発動するのではなく、お兄様の功績により周囲の凡人どもが革新的な魔法を連発しだす。
自らが魔法競技大会に出場して勝利するのではなく、裏方お兄様のサポートにより選手達が無双化する。
更には、強敵の出現をきっかけにその秘められた力が覚醒するのではなく、敵対者は一行に強くなる気配がないにも関わらず、お兄様のほうは真の力を惜しみなく解放してどこまでも強くなっていく。
もうそろそろ辞書で「凄い」を引いたら「お兄様」と出てきてもおかしくはないし、お兄様が凄い108の理由みたいな本が発売されたとしても、何の問題もなく啓発されるだろう。
仮に、「このキャラクターがすごい」的なランキングをつくるとすれば、1位の上に「お兄様」という階級が創設されるのは間違いない。
ボクシングの世界において、1位の上にチャンピオンが存在するように、「凄さ」という概念の最上位にはお兄様が存在する。
そう、お兄様に凄くないときはないのである。
仮に、もしも、万が一、お兄様に凄くないときがあるとすれば、そのとき、その瞬間に凄くないという事実がもはや凄いのだ。
故に、お兄様は凄いのである。
そんな凄すぎるお兄様という存在がある以上、周りの女子生徒が放っておく道理はないので、お兄様の周囲には女どもが次々と群がってくることは言うまでもない。ついでに男も群がってくる。
ここで、妹(司波深雪)の存在が際立ってくる。
実技が学年1位、理論が2位という成績優秀者で、男だけでなく、女も見とれてしまうほどの容姿端麗であり、おしとやかで慎ましやかな高校1年生である。
しかし、そんな設定は正直どうでもいい。
ここで重要なのは、彼女は超絶ブラコン娘であるということだ。
常にお兄様の隣に立ち、最も近くでお兄様の凄さを目撃し、恍惚の表情で絶頂する。
それが彼女の役目である。
ただし、彼女の存在は、お兄様の周囲に他の女どもが群がってきたときにこそ、その真価を発揮する。
つまり、この妹は、お兄様に好意を向ける女どもに対して嫉妬の念を燃やしているわけだが、何もその女に制裁を加えたり、裏工作をしてその関係をぶち壊してやろうとするわけではない。
ただ、お兄様の隣でその女を見ているのである。
じっと、その女の様子を伺っているのである。
いくら仲の良い兄妹であるとはいえ、学校での科が別ということもあり、常に一緒にいることは不可能な場面がある。
そのため、妹不在の好機に、女どもがお兄様に対してアプローチをかけていくシーンもあるのだが、その様子を映しだす第三者視点が、実は遠方からそれを監視している妹の視点だったりするくらいには見ている。
お兄様をのぞく時、妹もまたこちらをのぞいているのだ。
そんな、イカレた兄妹を観測できるアニメです。