退会済のユーザー さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
海って人みたいだよね<追記>
{netabare} ~
■舞台設定の良さ
本作は海と陸の両側の人々の間にある、しきたりや隔たりを通して人を衝突させたり、和解させたり。学校などでも違いをハッキリさせる所から始まり、ゆっくりと、時には突然に流れる感情の潮流はまるで海のようだった。傷ついて泣いたり、喜んではしゃいだり。登場キャラの想いを海と陸が繋いでいた。乾いた心に潤いを。黒い感情には綺麗な水で流し。流れた涙は陸で乾かそう。そんな舞台と感情の融合がすばらしい。ぼくはこの揺れ動くみんなの想いと相関図の報われなさを見ていて、それぞれうつむくように感情を押し込めたり、陰では津波のように号泣したりしていて、胃が痛かった。それは繊細な描写ともとれたし、ここまでする必要があるのかなんてもの思ったけれども、彼らたちが海や陸で感情を洗い流したように、私も視聴できたので最後まで完走できたし、清々しくもされたし、この舞台設定が無かったら途中で切っていたかもしれない。また巴日やお船引きなんかの特別な日が訪れることによって割り切っていく流れもその一つかとも思う。
■変わるとかと、海
中学生から始まり、眠ってしまったものとのタイムラグによって、さらに複雑になる関係性。海村が凍りついて眠る人々。眠る人を待つ人々。それは幻想的だった。夏一辺倒の雰囲気から2クール目に入り一気に冬の雰囲気に変わる。眠りから覚めたヒカリやカナメの驚きと、自分だけ変わってしまったちさきの心情もガラリと変わった雰囲気とともに伝わってくる。変わるとかって今でも旧友に会った時とか、学生時代によく話題になったけど、ぼくはふざけてたタイプでしたので、真面目になっちゃった。とか、逆にふざけてたりしてると変わんないよね。みたいなwこの手の話題好きじゃないんですよね。いやあ底にあるのは案外年食っても変わらないし、いやその変化ってのが人間らしいし面白い所と思っているのですが、ですが嫌いだけどズキズキと【変わる】が刺さってきて、それは今でも変わって欲しくないものが自分にもあったり、変わらないとって思ってる自分もいて、嫌いだけど、よくわかるな~と感じた。
海って人みたいだよね。ってセリフがあって、先述した海で感情を水に流すみたいな事を書きましたが、このセリフが出てきてラストを迎えた時、ようやく納得できたし、ホッとした。海の奔流を人の感情になぞった雰囲気は良い感じ。
■ラブコメにおける舵取り
なんにしても、ラブコメにおいて客観的に見渡せる人物がいると、いないとでは全然違ってくる。本来ならヒカリの姉がそのポジションにいてほしい人物ですが、本作は全員がそれぞれのエピソードを担っている。なのでキャラの好き好きによって本作の観方が大分違ってくるのではないかと思われる。ドロドロしてる等耳にしますが舵取り役がいたらと少し悔やむ部分ではあります。ただ、本作にも舵取りに近い存在が私は舞台設定(海と陸)だと思っておりまして、季節が変わるたび、行事、その都度、登場人物達は気持ちを切り替える。その意味で舵を取っているなと。まるで盤上の駒のようにキャラが動かされた本作は、舞台設定が光っていたし、逆に舞台設定に助けられていたと感じるでありまする。
舞台設定ばかりでスマソですw
{/netabare}