退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
八嶋智人のねずみ紳士
何件かレビューを拝見した事があったのですが、暗いよグロいよバイオレンスだよ重いよ、という評判だったので、あまり観る気になれず。
近頃活発なネット配信漫画の一端「マンガボックス」にて、この作品のコミカライズ版の配信が始まりまして、読んでみたところ主人公の女の子の行く末が気になって、観てみました。
冲方丁・原作 工藤進・監督
「男はみんな、お前が選んだことだ、って言う。」
性と生命を搾取され続けてきた少女バロット。
救命緊急法令により救われ、裏組織捜査に協力することに。
付き添い守る、変幻自在な人工兵器ウフコック。十二国記のねずみさんをほうふつとする、賢いねずみさんなんですよ。しかも声が八嶋智人〜眼鏡顔が目に浮かぶような声ですが、とてもピッタリでした。
バロットは林原めぐみ。スレイヤーズみたいな元気な方じゃなくて、綾波みたいな声です。
生きることを選択ししたものの、裁判での証言が怖いバロット。
支えてくれるウフコック達に対しても、「なんで私なの?」という警戒と疑問ばかりが浮かぶ。
ウフコックが彼女に囁きつづける言葉には切なくなりますね。
「君は狂ってなんかない、君は何も間違っていない。君は何も悪くない。君が殺されなければならない理由は、なにもない。」
「君は服従を強いられながら耐えてきた。
それは、勇敢さと忍耐のいる大変な闘いだ。
これからは、おれが一緒に闘う。」
性犯罪被害者をどう立ち直らせるかという懸命な話でした。
依頼人が担当官に心寄せるのはいいことじゃないんだろうけど。
あんな真摯に率直に言われたら、傷ついている子は心底頼っちゃうでしょうね。バロットは本当に助けてあげてほしくなるようなか細い子なので、人間でなくても、ウフコックが支えてくれたら…。
冷静に口うるさく囁き続けた言葉ばかりが切なく耳に残ります。
前半で自分本位な車の運転を強行しようとしたバロットに対し、「交通に混乱を起こして、もしも誰かが傷ついたとしたら、傷つくのは君だ。」
見敵したバロットが「あと1匹」と冷たく言い放った時に、「そういう言い方は、やめろ」…
バロットに、自分には無い人間性を失っては欲しくなかったのでしょうね。
強化スーツとなったウフコックを身にまとって敵襲を迎え撃つバロット。
敵は裁判で争う弁護側が放った醜い変態さんたちなんですが、こいつらのグロい生態を打ち砕くバロットの勇姿は壮観です。
しかし、その壮観さに魅入られたのは視聴者だけではなく。バロット自身が反撃から逸脱した快感をそこに見い出した時、脆くも無惨に傷ついたのは…。
無惨な話ではあるけれど、スタイリッシュに冷たく美しく描き込んであります。
変態さんの声も若本規夫やかないみかなど、エンタメ的に豪華です。
何が何をを傷つけたのか?
彼女はどうなるのか?
なんだかセンチメンタルな感想になってしまいましたが先が気になり…
続編の予告編を見たら希望できそうなのでT_T、続きを観てみます〜。