るぅるぅ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ありふれた花達を紡ぐ青春群青劇
全12話
ジャンル :青春群青劇(部活系)
ブランド :MADHOUSEI
監督 : いしづかあつこ
シナリオ構成:吉田玲子
当り外れが激しい両名のタイアップで不安要素を感じる本作。
いしづか監督といえば、さくら荘で色々とあっただけに今回も叩かれるんだろうな・・・と思う一方、吉田さんといえば日常コメディを引き立てるシナリオ構成の巧さからアレンジしてくれる。帳尻あわせで良い塩梅になれることに期待していた作品。
加えて制作会社はMADHOUSE。ノゲラと同じくイラスト美の鮮明な色遣いで魅せる手際からして作風次第ではミスマッチかと思うが、今作では損なわれることなく活かされていた。実際OPアニメーションの出来栄え主題歌のイメージがうまく溶け込み掴みは良く不安要素は拭えた。
制作キャストに期待・不安と募らせるが原作はストーリー重視・キャラ萌で描く傾向にあって、キャラデザの癖があることから大衆受けするのは難しい反面、表情・仕草が際立つ特徴的な仕上がりになっており好き嫌いのポイントになると感じる。
また、ヨサコイというテーマだが、ラブライブに近いモノを感じてしまった(苦笑) 当然、部活系の作風のなかで挙げられるテーマはある程度コンセプトが定めらている。
苦悩 → 挫折 → 克服 → 仲間との絆を深める →次のステップ と、このサイクルをループする。その為また青春系かと視聴意欲がダウンする方も多い。本作もその辺は王道として揺るがない作風になっている。
評価されている理由の多くは、
OP曲の掴みが良い
キャラ萌
適度なシリアス風味で清々しい気持ちになれる。
とアニメ栄えする作品の本質にある。
例えば音楽をテーマにした漫画ではイメージだけでは物足りないが、アニメになってキャラが動き声優がつき歌が流れる、それだけで嬉しく感じる。よさこい設定をどう感じるかよりも付属として機能しているだけ充分だが、贅沢をいえばもう少し絵が欲しいところ。
それに反して行動規範となるのが、主人公の関谷なる。彼女の未熟な心を成長させる構成にしている。平凡でいて何かを変えたいと夢見がちな少女であるなかでハナと出会いよさこいが兆しとなる。
後はお決まりの仲間が増え花彩よさこい祭を迎えるまでに、彼女達の絆を育む内容となっている。シンプルでいて、ありがちな構成であって美談といえば、それまでだが、目の前の問題に対して真摯に向き合うキャラの掛け合いにある。シンプルな構成であるが、シリアス風味の匙加減として違和感を覚えた点として、なるの小学校のトラウマ回想シーンに対して間延びすると感じたがBパートでスパッと濁さずに結をいれている。主人公属性としての待遇が少ないが、それよりもキャラを加味をさせることを優先にしている。
なかでも最終話のプロットが一番好きで良い幕引きになっていた。
{netabare} なぜラブライブでこれができなかった! と憤りを感じてしまったのは私だけはないはずと信じたい(笑)
結果論でいえば同じだが、その過程が余韻に浸れるかの違いになっている。
ハナの転校によって、家族の幸せを優先・母への理解・仲間との想い出といった天秤で計れない想いからの別れとなる。そしてなる達のCDによって心が突き動かされ日本に戻る決心をする。自分の幸せに向き合う覚悟ができた瞬間で、それはタミの入部と同じく父親に成し遂げる覚悟を伝えるシーンを彷彿させる。この演出に見入ってしまった理由は自然な流れでいて、それでいて自分の想いだけは何も出来ず、家族にとっての幸せを考えてしまうハナの優しさにあふれていた。
ラブライブは、コトリちゃんが留学前の飛行機に乗る直前に呼び止めて終わり、これではことりちゃんの夢は、その程度だったの?と薄っぺらな扱いになって不遇でしかないと私見ながら想う。{/netabare}
終わり良ければ全て良しと安易に描く構成にしていない心情変化の動き、丁寧かつ直情的なキャラを表現されており、ありふれた彼女達を晴れやかに咲かせ大人へと彩っていくのだろう。