Dr.コトォ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
人の皮をかぶったオオカミ
押井守原作・沖浦啓之監督のオリジナル作品。
舞台は架空の1960年代、学生による反政府運動がピークを迎えていた時期。
それを取り締まる秘密警察組織の特殊部隊に配属している主人公。
この特殊部隊はその重武装ぶり、反政府組織への冷酷無慈悲な粛清ぶりから
「人狼」と呼ばれています。
この物語では、反政府組織側にヒロインが登場します。
反政府組織に属するヒロインと、秘密警察組織に属する主人公が出会ってしまったところから、
ドラマが始まります。
こんな舞台設定ですから、正直言うと現代っ子の自分には共感できるものが少なかったです。
しかし、反政府運動を取り締まる事に疑いを持たない主人公と、
自分の身の危険を顧みず反政府組織に加担するヒロインが織りなす悲壮感は
十分すぎるほど伝わってきます。
とにかく雰囲気作りが非常に上手く、舞台設定などあまり理解していなくても
物語の心が伝わってくる様な感覚です。
メインテーマに乗せて、ヒロインが「赤頭巾と狼」の物語を語るシーンの物悲しさは、
さすが演出の成せる技というところでしょうか。
自分としてはここの演出が一番好きですね。
かなり大人向けな映画ですが名作である事は間違いないです。