「ばらかもん(TVアニメ動画)」

総合得点
90.2
感想・評価
2938
棚に入れた
14417
ランキング
60
★★★★★ 4.1 (2938)
物語
4.2
作画
4.1
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

シス子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

字は口以上に・・・

原作は未読

長崎県五島列島を舞台にイケメン書道家が島に住むの人たちや
幼女や少女たちとのふれあい(触れ合い?)を描いた作品

書道モノという情報を視聴前に仕入れていたこともあり
正直
観るのをしばらく躊躇っていました

そして
視聴して
ちょっと抵抗を感じながら本レビューを書いています

私のような字のへたっぴな人間が
レビューを書いて皆さんに披露するなんて許されるのだろうか・・・って

よく考えたら
レビューはパソコンで書いてるから
関係ないですよね~


とは言いながらも
きれい汚いは別として
文字は書く人の個性が表れるみたいで
書かれる文章や話す言葉
ひいてはその人の性格なんかにも繋がっているものだと思っています


長くなるので
この話はひとまずおいといて



本作のジャンルは書道

視聴前はとてもお堅いお話をイメージしていたのですが
まったく
これっぽっちも感じません

毎話
繰り返される
笑い

そして
ほのぼのとした島での生活

笑いも
クスって笑えるなんて軽いものではなく
とても笑えてしまう

離島という田舎が舞台
そして書道というちょっと重めのテーマ

そんな限られたジャンルの中で
某農業アニメみたいなエロネタやパロディに走ることもなく
ここまで絶妙な笑いネタを引っ張り出せるって
ある意味

・・・奇跡に近いかも


さらに
不自由ながらもほのぼの
のんびりとした島の生活

舞台である長崎県五島列島は
本作原作者のヨシノサツキさんの出身地ということで
現地の方言が多用され
郷土料理やお祭りなどの行事
独特のしきたりなどが細かく描かれており

某田舎アニメみたいに極端な萌えに走ることもなく
私のような真面目人間が観ても十分に楽しめます


特に感じたのは
とても方言が多いこと

生半可な方言ではない
というか
遠慮がないですね

主人公の「半田清舟(はんだせいしゅう)」(23歳・独身)くん以外
島の人みんな方言です

正直前半はほとんど理解不能でした

しまいには
字幕まで出したりして
最初はついて行けるか心配になりましたが
慣れてくると案外分かるものです

そして
そんな島の人たちの最右翼的存在だったのが
「琴石なる(こといしなる)」ちゃん

中の人は原涼子(はらすずこ)さん
9歳の女の子で
ドラマの子役などを演じている現役の女優さんです

最初登場したときは
すぐに子供の声とわかるくらいの
たどたどしさで

方言のリアリティを出すためにあえて現地の素人の女の子を起用してるのかな?

なんて
勝手に想像したのですが
経歴を見て

・・・驚きました

Wikiによると
出生地は神奈川県横須賀市

思いっきり標準語圏じゃないですか

原作者ヨシノサツキさんも認めるくらい方言がお上手とのこと
(私にはうまいのか下手なのか良くわかりませんでしたが)



とまあ
ここまで書くと

ほのぼの日常系ギャグアニメみたいな内容を連想してしまうのですが

あくまで作品のジャンルは書道

たしかに
せいしゅうくんの字を書くシーンがぽつぽつと出てきたりしてますが
ほとんどが笑いとほのぼのエピソードで

見た目は
字を書くのはオマケみたいに映ってしまいます

書道として
“うまい”字を書くことの難しさや
厳しさなんてものが
あまり感じられないかもしれません

でも
お話が進むにつれ
この作品の根幹となる部分
見せたいテーマが徐々に見えてきます

自分らしさ・・・

これが
この作品の真のテーマでしょうか


プライドが高くて神経質
相手がたとえ子供でも容赦なくむきになる幼稚さ
さらには
いつも衝動で動いてしまう(書道家だけに^^)
せいしゅうくん

でも
島の人たちとの交流や
島での生活を通して

本当の自分らしさというものを見つけることができた

その“自分らしさ”が
書展への出品作品に繋がったのだと思うのですが

これ
せいしゅうくんの心情の変化がとてもよく凝縮されて描かれてます

最初に書いた字は
衝動に駆られ思いのまま書き上げた字

会心の出来なのになぜか本人は納得がいかない

{netabare}出来すぎてる・・・{/netabare}

{netabare}これは自分の字じゃない・・・{/netabare}

{netabare}これはたまたま書けたんだ・・・{/netabare}

{netabare}これくらいの字島に行けばだれだってかけるんだぁ~~(←ちょっと幻滅した^^){/netabare}

{netabare}農家になろうと勉強しているときに
たまたま行った釣りでひさんいお(イシダイ:高級魚の意味らしい)が釣れたからって
漁師にはならないだろぉ~~(←飛躍しすぎだ^^){/netabare}

ってまあ
真面目なシーンのはずなのに
間の抜けたBGMとも相まって
とても笑えるシーンでしたが


そんな納得のいかないプロトタイプ(になってしまった)の一作目を蹴って

悩みに悩んだ挙句に書き上げた二作目

“衝動”ではない
本当に自分が書きたかった字を
“悩んだ”末に書き上げた渾身の作

これ
字のへたっぴな私が言うのもなんなのですが
うまい下手とかではなく
まさに感動の領域です

{netabare}サムネにしたいくらい^^{/netabare}

せいしゅうくんの友人で画商の
「川藤鷹生(かわふじたかお)」くんが作品をみて納得する様子が
とても印象的でした

まあ
結果は見てのお楽しみになりますが
どんな結果であろうと
観ている方は納得できる結末だと思います


書道といういままでになかった
私にとってはちょっと抵抗を感じるジャンルでしたが
とてもよく出来ていて
気持ちよく観られた作品でした



余談で

{netabare}最初に書きましたが
わたくし
本当に字が“クソ”がつくくらい下手で

こんな字では相手に失礼に当たる・・・

なんて勝手に思い込み

しばらく前までは友人の身内などで不幸があったときなんかは
御香典の名前はパソコンで印刷してました(←真似したらだめですよ)


でもある日
そのことを
知り合いのお習字の先生(私とそんなに年齢は変わらない)にお話したところ
とても長々と説教されてしまいました

手で書いた文字は
うまいとか下手とかではなく
その人の人柄や今の心境なんかも表現してくれるもの

今自分がこの字を書くことに対して
どう思っているのか
どんな心境なのか
その字を見ただけでいろんなことが想像できる

でも一ついえることは
嬉しいときでも悲しいときでも
人が書いた字は大抵“いい風”に受け取ってもらえる

不幸があったとき
いただいた御香典の字がほんの少し乱れていても
「ああ、この人は私の身内の突然の不幸に慌てて書いてくれたんだ。ありがとう」って

結婚式のお祝いで
いただいたお祝いの字がほんのちょと踊っていても
「この人は私の幸福を、感情をおさえられないくらい祝福してくれてるんだ。ありがとう」って

口で発する言葉以上に気持ちが伝わるのが
手書きのいいところ

それなのにパソコンで書くなんてもってのほか
{netabare}なに考えてるんだ
この世間知らずのひよっこがボケっ!!・・・{/netabare}


(その後延々と説教が続き・・・)


だから今度からはちゃんと自分で書こうね(怒
って

最後は怒られました^^;


字は口ほどに・・・
いえ

口以上にものを言うのかな^^{/netabare}

投稿 : 2014/10/13
閲覧 : 392
サンキュー:

45

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