れのん。 さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
15分×9話 サラリーマンと新人声優の恋愛物語
原作既読
2006年2月~ 3月放送(1話15分 × 9話)
花見沢Q太郎さんの漫画が原作(全16巻のうち、第1巻のみをアニメ化)
監督&絵コンテ 中村隆太郎さん(去年、亡くなりました)
シリーズ構成・脚本 吉田玲子さん
制作 シャフト
個人的には、ちょっと、忘れられてしまうのは惜しいかな、と思う作品です。
26歳のサラリーマン松丸くんと、20歳の新人声優 恩田赤(cv酒井香奈子さん)の恋愛物語。cvの酒井さんは、現実にも新人声優だったので、忘れられない作品になったことだろう(ただし、必ずしもcvも新人声優がしなければならなかったことはないとも思うが)。
原作はラブコメ要素がやや強いが、アニメ化された1巻については、わりと大人の恋愛物語という面もある。吉田玲子さんは、原作1巻を生かしながらやや改変し、原作以上にまとまった物語としている。
15分×9話なので、ちょっと気分転換にでも見終わってしまう長さ。好みは分かれるだろうが、テンポがよくて、わかりやすいし、きつすぎるどろどろ展開もないから、男女とも、気楽に楽しめると思う。
原作は花見沢さんだが、アニメ、原作漫画ともに、裸や下着を描くシーンはほとんどなく、エロ要素もあまりない。
ギャグ要素もそれほどつよくはなく、アニメ化された部分は、ほのぼのと進んでいく恋愛もの。松丸くんと恩田赤の二人をはじめ、キャラクターにも、基本的には好感が持てる。松丸くんの勤めている製菓会社の描写は、それほど現実離れはしていない。8~9話がストーリー的に原作よりちょっと重いが、ラストへのストーリー展開上必要なことだと考えたのだろう。
1話の二人の出会いは、{netabare}映画館。 こういう感じの映画館て、今でもあるの? と思ってしまう昭和風映画館。 ああいう映画館で見知らぬ松丸くんに明るく声をかけちゃうヒロインの赤って、現実にあり得るキャラかなと、ちょっと思うが、でもまあ、それほど不自然ではない。ずっと字幕を音読している赤に、ひいてしまう松丸くんだが、名画の声あてにあこがれている新人声優としては当然のことか。松丸くんが、はじめは声優にまったく関心も知識もない設定がいい。
で、二人が知り合った日の夜に、いきなり火事がおこり、新人声優の赤が、まくら一つ抱えただけで焼け出されてしまうという設定、都合よすぎるけれど、ものがたりとしては、自分はそれほど気にはならなかった。
近所の火事で目が覚めた松丸くんが、いきなり外に出るだけでなく、赤のことを心配して走って行くとか、いろいろ、ありえるの?、とは思ってしまったけど、これも、自分はそれほど気にならず、楽しむことができた。{/netabare}
恋愛の始まりは、社会に出ると、高校までと比較してリアルでもいろいろな場合がある。
たしかに、このアニメ第1話の二人の出会いは、現実にはなかなかあり得ない設定ではある。もともと、原作漫画が、新人声優と普通のサラリーマンの恋愛を描こういうねらいがあったので、このようなちょっと現実離れした出会いが冒頭にきたのだろう。原作は、2巻以降16巻まで、声優をヒロインにしているということが売りで、人気もそこそこあって長期連載されたことと思う。
だが、アニメ化された部分については、新人声優がヒロインであるというのが作品のおもしろさの中核ではあるが、ふつうに、二十代の男女のちょっとかわったカップルの物語としても楽しめる面もある。登場人物はほとんど大人でありながら、このカップルの恋愛模様に、複雑な駆け引きはない。後半に少しどろどろがあるが、松丸くんの優柔不断と未熟さが原因。松丸くんの印象としては、もうすこしおとなになれよ、と、ときどき突っ込みたくなる。もう一人の女性の田中さんは、どうみても魅力がない、あからさまな悪役キャラ。
恩田赤と松丸くんの二人が、お互いのなまえを確認するのは、{netabare}二人が○○することになる直前というストーリー。でも、これはわるくない話と思った。むしろ、二人が同棲していながら、最初の一夜をのぞいては、「だめー、私、松丸くんの恋人になったわけじゃないでしょ」と、ずっと○○しないというのは、若い松丸くんにはちょっと酷いような・・・・。 「あー、めんどうだ、彼女でもない女といっしょに暮らすなんて」と、松丸くんは、当然、ぼやくことになる。
5話では、経験のほとんどない赤が、エ○ゲーの声あてをすることになって悩み、マネージャーに「彼氏に協力してもらったら?」といわれる。で、松丸くんは優しいから協力するのだが、しかし、あの状況でも、○○しないで練習だけするというのは、ちょっとすごいね^_^; 松丸くん、このへんはえらい。{/netabare}
声優アニメでは、ほかにOVA「こえのおしごと」があるが、あの作品は設定に無理がありすぎ、原作の意図?も別なところがあった。そういうわけで、REC-レックは、声優をヒロインにしてまじめにつくろうとした良作だと思う。
最終話でも、松丸くんの性格のわるい面が、前半、かなりでている。
{netabare}「引っ越し費用がたりなかったら貸してやるよ」とか、、ちょっとひどすぎるね。これは、原作になかったような気がするから、ラストへむけての必要性からこういう展開にしたのかな。
しかし、これに対して、恩田赤は、「松丸くんが落ち込んでるのにも気づかないで・・」と、いい子すぎる反応。{/netabare}
最終話後半の展開は、ちょっとべたな感じもするし、大人の男女というより、どこか高校生くらいのカップルみたいだが、そのギャップも自分には好印象だった。
{netabare}「仕事よりもっと落ち込んだのは、悩んでたとき、大好きな女の子に八つ当たりしちゃったことで・・」
「わたし、その女の子はおこってないとおもうな・・・」 {/netabare}
最終話は、吉田玲子さん、うまくまとめたなっていう印象です。