三崎鳴 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
オラオラオラオラオラオラオラオラ…
荒木飛呂彦作漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダース』を原作としたアニメーション作品。効果音、台詞回し、ポージング、王道を行く展開、書き込まれた力強い絵柄などが特徴の漫画業界でもトップクラスの作品。現在part8まで描かれているシリーズ中でも特に人気の強いのが本作。『ジョジョ』の大きなターニングポイントともなった「スタンド能力」の登場がかなり大きい。1部、2部までは泥臭いイメージの強い戦闘ものだったが、3部では超能力バトルの斬新さと単純明快なストーリーがエンターテイメント路線を強調し、本シリーズの大まかなイメージを築いた。色分けの強調された、無茶振りとも言える色彩設定と、効果音を文字として画面に張り出すあたりから制作陣の原作愛が伺える。昨今では俗に「俺TUEEE系」あるいは「主人公無双系」とでも呼ばれる作品が流行しているが、つまりは主人公サイドが負けないバトルものである。負けない、というよりは敵サイドとの間に戦力面での圧倒的な格差がある、とも言える。そういった作品郡は戦闘があまりに一方的で緊張感を損ねているというのが大きな問題となるが、爽快感は少なからずある為、肩の力を抜いていれるという利点が反面ではある。本作も負けないタイプの作品ではあるものの常にギリギリの戦況と頭脳戦を用意しており、駆け引きと緊張感が巧く融和していて、まさに戦闘という感じだ。主人公の強さを際立たせるために敵側を弱くするなどという作者の甘えともとれる愚策には走らず、最初にどこまで不利な状況に立たされているのかを分かりやすく提示してから戦況をひっくり返すという開放感溢れる勝負を表現している。そして個性豊かなキャラクター同士の掛け合いとチームプレイも魅力の一つ。あまりに長いため若干のマンネリ化もあり飽きが来ないとは言い切れない上、やや極端なクレイジーキャラや下品なネタ、グロテスクな描写も少なからず見受けられるため人を選ぶ作品かも知れないが、バトルものとしては目を通しておくべき一作である。
ちなみに本作は分割4クールの前半部。後半の出来にも期待したい。