もけもけぽー さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
異文化交流は難しい
異世界に日本の萌え文化を輸出するお話。
異世界とはSFファンタジーによくある、剣と魔法とモンスターや亜人種がいる世界で、王制によって統治されているといった古くからお馴染みの舞台。
現代日本の社会情勢とは全く正反対というか異質の文化をもつ世界に、日本の漫画やアニメ、ゲームなどの萌えを輸出したらどうなるか?といったストーリー。
主人公は極普通のありふれた引きこもり型オタクで、萌え文化を輸出する伝道師としての役割を担うことになる。
ファンタジーという異世界へ現代の少年が飛ばされる~といった展開は割とよくある設定で、そこでの騒動もある程度お約束の範囲内で面白く見せてくれている。
王制による階級社会でカースト底辺の人間に高圧的に振る舞う上流階級の人間、それに威勢よく立ち向かう主人公、そんな主人公に惚れてしまう薄幸のヒロイン。
というよなエッセンスもお約束通り味付けされています。
この作品で僕がどうにも釈然としなかったのは、そういった異世界に飛ばされた現代人ファンタジーのお約束そのものではなく、そういったお約束の扱い方なんですよね。
まず全く文化の違う2つの人種が出会うわけですから、様々な衝突は避けられないわけで、そこを主人公がどう上手に落とし所を見つけつつ、双方に利ががあるよう協和という物語を作っていくか、あるいは異世界の文化に翻弄されつつも逞しく生きていく主人公のひたむきさのようなものを期待していました。
ところがどっこい、どうもこの主人公は自分の価値観は絶対正しいというような理念の持ち主のようで、王国の構造を簡単にぶっ壊そうとするんですね。良いことしたなーみたいな顔で。そのあたりがどうしても共感できませんでした。そしてそういう独善的な思想をまんまと利用されて侵略行為に加担する側として大活躍します。
それと主人公が萌えを力説するのですが、「萌えとは~~◯◯なものだのだ!」って演説する人が僕は苦手なんですw お前が決めるなよと。メイド服だろうがスク水だろうがBLだろうがなんでもいいですが、「これはこうじゃなければいけない」みたいなオタクは、実際の理想的なオタク像からは遠いと個人的には思います。ギャグで描いてるとしても寒くなると感じました。
萌えに触れた異世界人の反応とか、エッセンスやテーマは面白かったんですけどね。