しゅりー さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
はるかな輝きへ
2011年夏に好評を博したTVアニメ「アイドルマスター」の続編。A-1 Pictures制作。
錦織敦史監督、高橋龍也さんなどTV版のスタッフが多く参加して制作された劇場公開作品です。
続編なのでTVアニメかゲームかでアイドルマスター(以下アイマス)のファンになった、
所謂プロデューサーという人々向けに制作された感が強い作品です。
視聴を検討される場合は、TVアニメ版を多少観ておくことをお奨めします。
2014年冬の公開時には当時流行した週替わりの来場者特典が6週間分用意されていました。
長年多くのプロデューサーから様々な方法で資金を巻き上げてきたアイマス狂気の搾取力。
それが遂に映画の形になった訳ですが、やはり6回以上足を運ぶ猛者はいたのでしょう。
ちなみに本作「VideoM@ster版」は劇場公開当初に問題になった細かなミスの修正と
ライブシーンの演出強化がされた完全版的な映像作品となります。
「VideoM@ster版」がBD/DVDに収録される映像であるため、
劇場公開時のバージョンはもう観ることはできないかもしれませんね。
本編はTVアニメの物語を通して成長した765プロのアイドル達がアリーナライブに向けて、
バックダンサーとなるアイドル候補生達と関わりながら試練を乗り越えていくお話です。
本作では劇場版の短い時間の中で特に春香と伊織(と雪歩?)、そしてアイドル候補生の中から
春香に憧れているという矢吹可奈とストイックに振舞う北沢志保の2人が大きく物語に関わります。
他のキャラクターもしっかりと脇を固める活躍をしてくれていますが、
それほど多く描かれないキャラクターもいるので「好きなアイドルの描写が少なくて残念!」
と思われる方はいらっしゃるのかなと思います。
私的な願望としてアイドル候補生(アイドルマスター ミリオンライブのキャラクター)である
望月杏奈のスイッチが入った状態がわかりやすく表現されるシーンが数秒は欲しかったです。
ただ、本作においてはアイドル「天海春香」の人となりについて考えさせられることが多く
気が付いたら他のキャラクターより春香の事ばかり気になっていた印象があります。
過去のゲームでただ一人TrueEndでプロデューサーとの別れが描かれたり、
TVアニメでも(仲間たちのエールがあったとはいえ)自分の問題を自己解決してしまったりした春香。
アイマスのメインキャラであり、理想的なアイドルキャラとして描かれる機会も多かった
彼女の存在について一つの答えを出していたように思います。
映像としてはキャラクターの立ち居振る舞いや細かな仕草なども凝っていた気がしますが、
個人的には早朝の海の静けさとか夏の日差しの強さ、秋の陰鬱な雨模様など
アイドル達が過ごす日々の風景がしっかり描いてあったおかげで
短い上映時間の中でも時間の流れが印象的に描かれていたように感じます。
最後のライブシーンは使用曲「M@STERPIECE」がいかにもアイマスらしい曲で
好みもあるかと思いますが素晴らしいシーンになっていました。
個人的には残念に思うところも多少ある映画ですが、
アイドルを描写するアニメが好きな方には1度観ていただきたい作品だと思います。