退会済のユーザー さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
個人的に『名作』とは認定出来なかった理由!
2クールに渡って1話毎の感想を書いていたのですが、最後の最後に消えてしまったので、総評として書き直したいと思います。
ダメ出しや苦言ばかりだったので、罰が当たったのだと思いますが、罰の当たりついでに酷評気味に本音で書いてみたいと思います。
誤解の無いようにあらかじめ言っておきますが、この作品の評価は自分の中でも『最高ランク』に入ります。
この作品が始まってスグに「お気に入り」に入り、4話目には「名作の予感」と言っていました。
良い部分も多々有りましたし、背景好きの自分にとってはたまらない背景も多々有りました。
にもかかわらず、全話見終えて個人的には「名作」認定には至らないと判断しましたが、何故そう判断したのか、その理由をつらつらと書いてみたいと思います。
この作品のコンセプトとして「音楽」「個々の想い」「命」「トラウマ」と有りますが、肝心のコンセプトがどれ1つとして納得いく物が無かったという事です。
まずは「音楽」ですが、作中の設定として「中学生の演奏」となっているので、最高に上手い演奏を期待してはいけないと思うのですが、この作品の性質上『演奏=心理描写』な訳で、演奏中の心理描写を独り言のようにしゃべらせるのと同じように、演奏から奏者本人の「想い」が伝わって来なかった事です!
つまらない演奏でも、観客が「上手い」「素晴らしい」等と思っている描写や、色んな演出やカメラアングルとかで視聴者に上手い演奏だと思わせる事は出来ていましたが、元を正せばつまらない演奏なんです!
ここまで心理描写に焦点を当てた作品なのですから、上手くはなくても奏者本人の想いが伝わってくるような演奏が欲しかったんです!
2話目のかをりの演奏を基準にして考えれば、確かにヴァイオリンと比べればピアノは抑揚を表現するのが難しいのでしょうが、それはヴァイオリンと比べるからであって、ピアノ自体は決して抑揚を表現するのが難しいという楽器ではありません。
確かに楽譜通りに弾かされるピアノコンクールって退屈ですけど、上位者の演奏は楽譜通りに弾けるのは当たり前な上で、更に優劣を左右する物と言えば「楽譜には一切記載されていない物」な訳ですから、作中でも触れてますが、強弱や抑揚を始めとして「奏者の作品への理解度や解釈」といった『奏者の心理的な物・内面性・イメージ』が大きく関わってくる訳です。
そこが演奏自体で表現出来ていなければならず、極端な事を言えば「演出や観客の反応なんて入れなくても『演奏だけで伝わってくる』」ような演奏が欲しかったんです。
ガラコン・凪との連弾を除けばコンクールという場での演奏シーンな訳ですから、いくら回想シーンとは言え、そこに存在していなかった楽器の音色を当て込んでしまうとか、あり得ませんから!!
8話目の絵見の演奏が良かっただけに、9話目もしっかり聴かせて欲しかった。
極めつけは10話目、弾き直し後の3たび変わったそされる公生の演奏!途中からアンサンブルになってるじゃん!!
演出でカバーするしか違いを表現する方法が無かったのでしょうが、コンクールの場面でアンサンブルは無いでしょ!!
君の為に演奏しよう!と、かをりと演奏している風にしたかったのは分かりますし、途中から公生の脳内イメージの「心象風景」的な演奏だったのも理解してますが、コンクールの場での演奏なのですから、やっぱり間違ってますよ!!
そんな安易な演出方法もマイナス要因になりました。
「個々の想い」ですが、最終回の〆方で言えば、公生・かをり・椿まではOKとしても、絵見・武士・凪を途中であれだけ掘り下げておいて完全に放置ってどういう事?
凪に関してはある程度良しとしても、個々の想いの集大成でクライマックスであったハズの最後のコンクールがアレでは、消化不良で見ているこちらがストレス溜まります。
絵見・武士を掘り下げて、ただ優劣を争うという訳ではなく、同じピアノ奏者というライバル関係と、同じピアノ奏者だからこそ分かり合える関係と、個々の憧れや想いを上手く引き出せていたと思うからこそ、そこを蔑ろにしてあっさり〆てしまったのも、大きなマイナス要因になりました!
凪に関しても、憧れ・ヒーローだった武士と、敵にして自分のピアノの先生となった公生との間での揺れ動く感情を、如何様にでも表現出来たでしょうに。
「命」ですが、題名・OPですでにネタバレ気味でしたが、早くも3話目で「悲しい結末」であろう事が確定的になるくらい早いネタバレで、しかも死へのトラウマ・恐怖心をことさら強調する脚本や演出が、自分には正直「不快」でした。
「カラフル・最も美しい嘘」というキャッチコピーを強引に当て嵌めてますが、『何がカラフルだったの?誰がカラフルだったの?“最も”美しい嘘って?あの嘘が“最も”美しい物なの?』って、ツッコミたくなるような内容でした!
それにしても、題名にもなっていた最大の「嘘」を遺言書とも言える『手紙』でさらっと流してしまうとは・・・。
序盤でネタバレしてるのは明らかだったのですから、もっと他に良い方法は無かったものでしょうかねぇ??
これは原作の問題ではなく、アニメ制作時の「シナリオ・脚本・構成面の問題」なんです!
「命」をテーマにしていたのなら、最終回の〆方は唐突過ぎて安易過ぎで、何かの都合で急遽強引に切り上げた最終回の〆方としか思えませんでした。
公生のコンクールとかをりの手術の日を同じ日にした意味とは?
演奏中に幻覚めいた物を見せる為ですか?
違いますよね!
「トラウマ」ですが、これが1番の減点対象で、どんなトラウマにせよ実際にトラウマを抱えて苦しんだ事の無い人が、頭の中の想像だけで書き上げた物語のようにしか思えませんでした。
黒猫を擬人化させて喋らせたり、音が聞こえなくなるまでの強烈なトラウマを抱えた人間が、ある切っ掛けで立ち直った場合、逆にそう簡単には同じ要因でフラッシュバックしたりはしませんし、またフラッシュバックしたのなら半年・1年は再起不能なハズです。
あんなに素晴らしかった13話目のガラコンで母親に「さよなら」出来た訳ですから、それ以後の公生の心理描写は、言葉を悪くすると『精神異常者』で、そんな精神状態をコンクール直前で描いてしまい、直前でフラッシュバックして取り乱したハズの公生が、直後のコンクールで皆を想いながら演奏し出して、音が聞こえなくなる事もなく演奏し続けるなんて、正直『あり得ない』ですし、かをりの死を悟ったのであれば尚更です!
音は聞こえなくても、いつの間にか気にする事もなく普通に弾けるようになっていたのかもしれませんが・・・。
にしても、かをりの容体・手術が母親の亡くなった時と同じに見えて、愛しい人を“また”失ってしまうかもしれない、という恐怖感・不安感を表現したかったハズですから、あの表現は的外れの検討違いだったと言わざるを得ません。
13話目で母親と「さよなら」出来たにも関わらず、まだ『病的』に公生を表現したいなら、母親とかをりのダブルのトラウマで、後追いしててもおかしくない非常に不安定な状態に陥るハズで、やはり早くても半年・本来なら1年以上は日常生活は困難になるハズです。
13話目で表現した『母親の想い』も台無しになってしまうじゃないですか(怒)
しかも、東日本ピアノコンクール本選から2ヵ月足らず、その後も家に1人で淡々と暮らし、あんなに冷静にかをりの手紙を読んで、涙も流さず取り乱しもしないなんて・・・。
母親をあれだけ引きずっていたのに・・・。
『「あり得ませんから!!」』
最終回Bパートの回想シーン自体は良かったのですから、何故、17話目以降、特に20話目位から公生の心理描写を、あんな変な描き方をしてしまったのか???
最終回Bパートのあの〆方をするなら、母親と「さよなら」した以降は、公生が“病的”に取り乱しては絶対にいけないハズです。
唐突に凪を登場させた理由は???
何の為に公生が凪を指導したの???
心理描写的に『絶対あり得ない』『全く納得出来ない』ので、これが最大の減点の要因で『名作認定』は出来ませんでした!
個々の想いや繊細な心理描写がメインのシナリオなのですから、まずは脚本を丁寧に作って欲しかったんです!
それに、やっぱりノイタミナ枠とA-1 Picturesのコラボで、適当で手抜きの作画シーンが目につきました。
今回は、キーになるアップの絵や背景はしっかり描いてあったのですが他のところは適当で、例えれば掃除をやろうと思えばしっかり出来るのに、基本ズボラで適当な女子が、友達が来るからと「見える所・目立つ所だけ綺麗に掃除して、見えない所はゴチャゴチャなまま」と言うようなお粗末な状態で、しかもしっかり隠しきれていないから、ズボラ丸分かり!ってお寒い結末な状態でした。
1話毎の感想を書いている時は、16話目~18話目の流れから「逆転ハッピーエンド」「病状持ち直しからの、あと1年パターン」の線も考えました。
反響の良さから製作サイドが2期を考えた場合、シナリオ変更の最後のチャンスでしたから。
結果は、当初3話目の予想通り「悲しい結末」となった訳ですが、ならば尚更、あの最終回Aパートは間違ってますよね!
あの最終回Aパートは、公生がかをりの死を『悟り・受け入れる』重要なシーンだった訳で、Aパート単体で判断すれば素晴らしい出来だったんです。
ただ心理的な側面や話の流れ・時系列的にも、あまりにも唐突過ぎて『違う』と言わざるを得ないんです。
最終回Bパートの〆方は原作サイドに添っての物でしょうから、本当なら東日本ピアノコンクール本選の直前位から最終回Bパートまでに3~4話は必要だったハズです。
OVAも出るらしいので、そこの端折った部分を掘り下げるのかもしれませんが、それこそ違うような気がするんです!
ならば、途中で終わらせてでも、時系列を崩さずにOVAでの最終回の方が良かったと思います!
そこが納得出来ていた上で最終回Bパートを見せられたら、EDが終わってもずっと涙が止まらなかった事でしょう。。。
何でここまで酷評しているかと言うと、きっと原作は『本当に素晴らしい作品』だっただろうと思うからで、脚本も作画ももっと丁寧に作り込んでいれば『過去に類を見ない名作中の名作』にもなり得たと思うからです!!
本当に残念であり、心から勿体ないと思うからです!!
まずは、最低3周は見て下さい。
(自分は、7周目を見ながら加筆しています 笑)
1周毎にイメージも解釈も変わってきます。
良い作画はビックリするくらい素晴らしく描かれていますし、良い背景も随所に見られて見応え十分です!
だからこそ、自分は勿体ないと思っているのです。
最後に、1クール目も良かったのですが、2クール目のOP『七色シンフォニー』凄く良い曲ですね!
あと、1クール目の“OPアニメに描かれていた”『黒猫』っ! いろんな作品で猫を見てきましたが、過去最高の『猫』です!
酷評メインでしたが、自分的には13話目と14話目・18話目が素晴らしかったと思っています!!
『 ピアノの音色♪ ヴァイオリンの音色♪ 』
やっぱり良い物ですね♪
原作が凄く良かったのであろうだけに、やはり他の局・制作会社で作って欲しかったなぁ!