カントムハイヴ さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
軋む筋骨、蠢く臓腑
時は江戸時代初頭、天下太平の世の中。
武士の生き様、狂気と復讐の美学そして
命のやり取りという極限の緊張感を純粋に追求したアニメです。
そこに感情的色彩や潤いなど一切なく
あるのはどこまでも渇いた粛然たる空気の凛冽と
呼吸すら忘れてしまいそうになる張り詰めた無の間
そして狂人による狂気に満ちた武士道。
一際鮮やかに描かれる流血。
派手なアクションはなく斬った斬られたの結果のみを伝えます。
あまりにも獰猛であまりにも清廉で美しいとさえ感じてしまう恐怖です。
物語は狂気に魅入られた二匹の雄を主軸に進み
それぞれの信念に基づき死にもの狂いで武士道の頂点を目指します。
かたや命を拾われた大恩のため。
かたや運命を否定し欲のままに。
複雑に絡み合い怨嗟にまみれ屍の山を築き続け
大業を成すために鬼と化す激情を熱く静かに描いています。
ただこちらにも臭ってきそうな程
生々しい表現がされており
視聴の際はある程度の覚悟が必要です。