風呂は熱め さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
生きる覚悟を自問せずにはいられないアニメ
巨人vs人類。それも人類の圧倒的劣勢という無茶苦茶な設定で物語ははじまる。
●そもそもなぜ巨人が存在しているのか?
―詳細不明。
●億単位はいたであろう人類がそう簡単に100万弱にまで減るものだろうか?
―詳細不明。
●人類が負け続けたにせよ、巨人の情報があまりに少ないのはなぜか?
―詳細不明。
こんな具合だ。やはり世界観は極めて不躾かつ非常識である。
が、しかし!!凄まじく勢いのあるストーリー、生々しいまでに凄惨な戦闘描写と狂おしいほど繊細でリアルな人物描写にあれよあれよと引き込まれてゆき、不思議と最初は不躾かつ非常識だった世界観が、みるみるうちに現実味を増してゆくのである。
巨人という無慈悲で、理不尽で、猟奇的で、規格外の暴力は否応なく「死」を連想させる。他方で、そんな「死」と対峙するキャラクターたちの姿は、同時に「生」を強く実感させる触媒となっている。「生きる」実感が希薄になりがちな私たち現代人にとって、このアニメは懸命に生きることの大切さをありありと思い起こさせてくれる。視聴者自身が懸命に生きているかを問いかけてくるのだ。
単純に話自体も二転三転して面白いけれども、上述のような「剥き出しの生と死の対比」こそ、この作品が放つ最大の魅力ではないかと思う。