れのん。 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
スタッフのこだわりがすごい ☆ 美少女たちの戦車道
2012年10月から同年12月までと2013年3月に放送。
監督 水島努さん シリーズ構成&脚本 吉田玲子さん
制作 アクタス。 オリジナル作品。
このアニメは、ちょっとだけと思ってみはじめたが、みているうちに、むちゃくちゃおもしろくなってきて、はまってしまった。
だいいち、opで、美少女たちがヘルメットもかぶらずに顔を出して戦車に乗っているし、ピンク色の戦車があるし、これだけで、可笑しい。
自分としては、とてもおもしろかった作品なので、長文になってしまってごめんなさいm(__)m
萌え系の、可愛い女子高校生たちのゆるい日常と、とんでもなくミリタリーで、戦車映画の名作を連想させる戦車戦。こんなに異質なはずのものを、ぶっつけて融合させてしまった。
{netabare}大洗女子学園の各戦車チーム名は、ウサギさん、カメさん、カバさん、アヒルさん・・・。各戦車には、可愛いマークがついている。
女の子らしく甘いものをみんなで食べにいっても、そこは戦車カフェで、食べるのは戦車ケーキ(5話)^^{/netabare}
エンターテインメントとして、すばらしいと思った。アニメには、いろいろな可能性があることを、再確認。
たぶん、男性向き。・・・と、最初は思っていたんだけど、けっこう女性にもファンがたくさんいるようだ ♫
自分は、ミリタリー要素、とくに戦車については知識がなく、わからないことが多かった。しかし、戦車ものを含む戦争映画は、けっこうみたことがあったし、このアニメの歴史ネタや音楽については、よく知っているものが多かった。なので、そのイメージやエピソードを重ねて、楽しむことができた。
武部沙織役の茅野愛衣さんが、「アフレコ現場は見渡す限り女の子が並んでいて、女子校のようです」とコメントしていたが、登場人物はとても多くて、ほとんどが女子高生。キャラが多すぎて、ふつうなら名前が覚えられないけれど、大筋を理解するには、だいじょうぶ。
ヒロインの西住みほは、可憐で内気な性格で、とても女の子らしいキャラ。しかし、みほは、不屈の闘志をもった優れた戦術家で(あるはずで)、そのギャップがこのアニメのヒロインらしい。{netabare}
みほ隊長のセリフの柔らかさは、戦車戦の優れた指揮官としては、とことんミスマッチ(たぶん、そこがいい)。
仲間への指示も、いつも丁寧語(「~してください」)。
みほ隊長の「パンツァーフォー!」は、勇壮なはずなのに、なんとも可愛らしい。
最終話で、大洗チームが壮絶な試合に勝って、夕陽を背景に、ライバルの姉まほと握手し、仲間の方にもどっていく決定的シーンでも、みほちゃんは、可愛く女の子走りしていた。{/netabare}
ツッコミどころは満載^^{netabare}
・・・・いくら安全に配慮された武道だといっても、実弾が使用され、建物は破壊されているし、どう考えても死傷者がかなりでそうなんだけど? 血まみれになってもおかしくないぞ?
・・・・一試合で、砲弾、戦車・建物・道路などの修理費だけで、何億という金が飛ぶはず。それだけ金があるなら、そもそも、大洗高校を廃校にする必要ないだろう?^^
・・・・
しかし、このアニメを楽しむには、たぶん、あんまりマジメにみてはいけない。{/netabare}
物語は、ベタで、わかりやすい。{netabare}
試合(戦車戦)でも、大洗女子学園チームは、いつも相手チームより車輌数や性能が劣勢なのに、優れた戦術と練度の高さ、チームワークと根性で勝利する(練習しているシーンは多くはないけれど)。 {/netabare}
あれほど充実した戦車戦を何度も描いていて、登場人物も多いのに、最終話で物語をきちんと終わらせているのは、みごとだ。
このアニメの試合(戦車戦)では、死にません、けがしません、よごれません、血も出ません、・・・・(ほんとは、そんなはずないんだけど^^)
そういう安心感で楽しめるという意味では、このアニメのミリタリー要素は、むしろ戦車ゲームに近いのかな?
各国の史実上の戦車が登場するが、その特徴は車内のレイアウトなどディティールまで再現されている。戦車好きのスタッフの執念。戦車戦での効果音にも、たいへんなこだわりが感じられた。
アニメで戦車をリアルに動かすのはとても難しいと言われているそうだが、この作品では、3Dによってみごとにそれを実現している。
圧巻は、三ヶ月遅延して制作された、ラスト2話(11話と12話)だと思う。
スタッフは尋常でない努力をされたにちがいない。
随所に、戦史ネタ・歴史ネタがちりばめられてる。
たとえば、2話の「フィンランドに謝れ!」 {netabare} ……可愛らしいコメディだが、ほのかに、史実のソ・フィン戦争で、圧倒的な敵の侵入に対して、祖国フィンランドを守るために英雄的に戦った人々へのリスペクトが感じられ、すばらしいセリフだった。{/netabare}
この作品は、たくさんのキャラをちゃんと描いている上に、ミリタリー、3D、作画、効果音、音楽etc. さまざまな分野で、すごいこだわりをもってつくられている。
よく、このクオリティでさいごまでやり抜いたなぁ、と思った。
自分がとくに興味を持ったのは、音楽だった。これほど、挿入歌やBGMにこだわりのあるアニメは、はじめてみた。各シーンで使われている曲の数々は、自分には贅沢なほど楽しかった。
1話~3話 感想{netabare}
可愛い女の子達が、戦車に乗り込み、可愛らしい事態になっている。
なんで、航空母艦の上に大きな谷川があるんだ? とか、とにかく、つっこみだしたらきりがない^^
優花里が、ジョニーが凱旋するとき(When Johnny Comes Marching Home 南北戦争の北軍の軍歌)をハミング・・・、ここでこの曲とは、こだわりが、ちょっとすごいと思った。
たぶん、こういう戦車のようなミリタリーな空間に、女の子趣味の内装、そこに可愛い女の子たちがいるというので、萌えるんだろうね。{/netabare}
4話 感想 {netabare}
聖グロリアーナ女学院(モデルはイギリス陸軍)チームは、試合開始前に紅茶を優雅に飲むし、戦車の車体に紅茶マークがついているし・・・、とおもってみていたら、試合(戦車戦)中に、ダージリン隊長が、紅茶をティーカップで飲みながら指揮していた^^
・・・試合(戦車戦)中に、トランプしてるし、バレーボールしてるし><
あいかわらず、つっこみどころ満載過ぎで、楽しい。
人がいっぱいいる市街地で実弾を撃って戦車道の試合をやっている。ふつうなら、騒音・振動で大問題だし、砲撃で壁をぶちこわしてる。
「うちの店がー! これで新築できるー!」って、むちゃくちゃ笑える。
おいおい! 駐車場の昇降機から、戦車、出てくるなー><
BGMも描写も、戦車映画風というか、あるいはゲーム風というか・・・、しかし、op 曲も含めて、音楽は、このアニメによくあっていると思った。
試合に負けたら、あんこう踊り@@ もう病気だ・・・まぁ、いい意味で?><
全国大会くじ引きの結果、サンダース高(モデルはアメリカ陸軍)が初戦。BGMが、リパブリック賛歌( republic hymn )なのがうれしい。 この曲は、もともと南北戦争の北軍の軍歌で、日本でもいろいろな歌詞で歌われて親しまれている。
物語も面白いし、アニメーションも戦車戦も驚くほど凄い。{/netabare}
5話~7話 感想 {netabare}
メインキャラたちの、親たちや家庭を描こうとしているのには、たとえ中途半端だとしても、好感が持てる。
戦術や試合経過(戦闘経過)は、本格的。
八九式に乗っているアヒルさんチーム(バレー部チーム)が、シャーマンに追撃されて、なんかわからないけど煙が出てるなかで、アタックしてるのには、笑った。
・・・負けたチームも、終われば爽やか。
聖グロリアーナ女学院が、車輌数の少ない大洗チームに配慮して、あえて四両しか使わなかった、戦車道のフェアプレーもすごいね。
麻子のお祖母ちゃんが倒れて病院へ。ヒロインの姉まほが、麻子のためにヘリを使わせるのも戦車道・・・、なるほど。
戦車や戦闘シーン、戦車の内部、等々、作画がすくれている。
夕焼けの空をヘリが飛んでいくシーンをはじめ、風景もかなり美しい。
謎の大浴場(7話)には、びっくり。 {/netabare}
8話 プラウダ戦 15両vs6両 感想 {netabare}
どのアニメでもいえることだけど、生徒会が強大な権限をもっているのが可笑しい。
大洗女子学園の生徒会室は、航空母艦の艦橋にあるみたいだし、しかもそこで、あんこう鍋(大洗町の冬の名物)やってる(笑)
プラウダ高校(モデルはソ連陸軍)の最初のBGMは、なんと、チャイコフスキーのバレー音楽「くるみ割り人形」。 びっくりした。
「よくも、カチューシャを侮辱したわね! 粛正してやる!」 …… このあと、シベリア送りetc、スターリンネタがいっぱいで笑えた。
「ウラー!」って、ほとんど完璧に、ロシアなんだね^^
プラウダ高校の戦車隊が雪の中を進撃するシーンの挿入歌に、ロシア語の合唱でカチューシャを歌っていたのは、可愛らしいだけでなくみごと。声優さんたちがロシア語で歌って二重唱になっているところがすごい。{/netabare}
9話 感想 {netabare}
いろいろすごい! ほとんどミュージカル。
プラウダ高校の女子高生たちが、たき火に当たりながら、ロシア語で「ポーリュシカ・ポーレ」を歌いながら、コサックダンスを踊っている。
さらに、カチューシャ隊長がそりの中で眠るシーンで、ノンナが、これもロシア語で「コサックの子守歌」を歌う。これは、ノンナ(プラウダ高校チームの副隊長)役の上坂すみれさんのアドリブらしい。
上坂さんは大学でロシア語を専攻した人らしいが、ロシア語発音指導も含めてよいしごとをしている。上坂さん自身、ロシア文化やロシアへの思い入れが深い人だから、すばらしいと思った。
エルヴィンと優花里は、雪中斥候にミニスカートで行ってるけど、遭難するぞー><
・・・というか、「雪の進軍」歌ってるしー 日本の軍歌ですな^^
「どーせ、生きてはかえらぬつもりー」ヘ(゚∀゚ヘ)
「さむい」「おなかすいた・・」・・・窮地に追い込まれ、絶体絶命の大洗チーム。
「指揮をたかめてください、隊長、!」
で、なんと、みほ隊長が、「あんこう音頭」を歌って踊り出すしたのには、まいった。すごいね、このアニメ^^
あんこう踊りは、かなりこっけいでセクシーなんだけど・・・、自分はちょっとここで、「眼下の敵」という映画の名シーンを連想してしまった。 {netabare}
この映画で、第二次大戦中のドイツ海軍Uボートは、連合軍駆逐艦の爆雷投下に追い詰められ、海底で絶体絶命に陥る。このとき、Uボートの歴戦の名指揮官は、乗組員たちに軍歌を歌え、という。その歌を駆逐艦のソナーが探知し、海底のUボート乗組員たちが、絶体絶命でありながら、なお士気旺盛であることを知る・・・という、感動的なシーン。
美少女たちが「あんこう音頭」を踊るのとちがうのは、わかってるけれど^^{/netabare}
「やはり、これは、八甲田・・」「天は、我々を見放した・・」「隊長! あの木に見覚えがあります~」
このあたりのセリフや歌は、映画「八甲田山」ネタ。 {netabare} 突然踊り出したみほ隊長に、「八甲田山」で兵士の一人が極寒と疲労で狂い死ぬシーンを連想したわけだ。{/netabare}
勇壮なはずの「パンツァー、フォー」が、このアニメではいつも、可愛すぎる^^
バレー部チームがフラッグ車で、スポ根、全開。
敵中突破作戦は、雪夜と敵砲手の視界の悪さと全速突撃に賭けており、よく練られていた。戦闘シーンのクオリティも素晴らしかった。 {/netabare}
10話 感想{netabare}
うーん、五十鈴華が、戦車型の花器に花をいけて、花道家元の母にゆるしてもらったのには、びっくり。ありえないだろ><
決勝戦前夜、大洗女子学園の各チームは、カツを食べたり、モチベーションを高めるためにバレーをしたり映画を見たり。
ウサギさんチーム(一年生チーム)が、みんなで「戦略大作戦」を見て感動して泣いていたシーンは、印象的。実際、翌日の試合(戦車戦)で、ウサギさんチームは、それを生かしていたし。
しかし、実際の戦闘でさえ、人命救助が大切な場合があるのに、ましてや、戦車道の試合は戦争でなく乙女のたしなみ(武術)なのだから、人命救助しようとしたみほを、邪道呼ばわりする西住流家元の母親や姉のまほは、アニメの中のフィクションとしても、理解できない。 「仲間を助けた行動」、そんなん、まちがってるはずがないでしょ^^
黒森峯高校(モデルはドイツ国防軍)のBGMに、「エーリカ」が流れていたのがすばらしい。{/netabare}
11話~12話 黒森峰戦 18両対7両 感想{netabare}
みほの乗るアンコウチームがフラッグ車。
大洗チームは、黒森峰チームに、完全に包囲されてしまう。
「マルタ大包囲戦のようだな」「あれはかこまれたマルタ騎士団が、オスマン帝国を撃破したぞ」・・・、このネタは、16世紀の話がもとじゃないかしらん。塩野七生さんが書いてたような気がする。
もくもく作戦とか、おちょくり作戦とか・・・、作戦のネーミングが、いちいち、かわいい。
「レオポンが、ぐずりだしたぞ!」
「はいはいー^^、だいじょぶでちゅよー^^」
自動車部チームの少女たちすごい。走行しながら、戦車を修理してしまう。しかも、幼児言葉で戦車に話しかけながら・・・
そうか、ドイツの戦車は燃費わるいから、燃料切れになりやすいわけか。バルジ大作戦だな。
川を横断中に、ウサギさんチームはエンストして車体が傾き、危なくなる。大洗に転校する前の、みほのトラウマ体験と同じ状況。
ここで、川の中を、戦車から戦車へ飛び移っていくみほちゃんは、身体能力高すぎてほとんど超人。みほちゃん、神がかってきてる。
橋を壊してしまうのも、ちょっとすごすぎる。そのあと、また、市街戦に持ち込むし。しかも、街はなぜか無人だし。
11話の後半も、かなり本格的に映画の戦車戦のイメージに近い。ただ、このアニメでは、死の恐怖はないんだな。
史上最大の戦車、マウス登場。
おおお!
黒森峰高校戦車隊(モデルはドイツ国防軍)のBGMは、映画「バルジ大作戦」で有名になった、「戦車兵の歌(パンツァーリート)」じゃないか!
このシーンは、この曲しかないという選曲だ。{netabare}
映画「バルジ大作戦」では、第二次大戦末期のドイツ軍地下戦車基地で、戦死者が相次いだため補充された幼すぎる少年戦車兵たちが、指揮官閲兵中に思わずパンツァーリートを歌い出し、ついにはそれが大合唱になる。未熟な少年兵たちでありながら士気さかんであることを描写した、感動的な名シーン(史実は、この作戦の結末はドイツ側にとって悲劇的なものだったが)。
{/netabare}
ほんとうに、このアニメは細部にこだわって制作されている。
さいごの作戦、ふらふら作戦@@ みほさん、戦術の天才だねー {/netabare}