「東京喰種(TVアニメ動画)」

総合得点
86.3
感想・評価
2778
棚に入れた
15691
ランキング
204
★★★★☆ 3.9 (2778)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

2期決定おめでとう!

 面白かったです。原作未読。事実上未完の作品なので、レビューは控えようかと思っていたのですが、2期に向けた備忘記録として残しておきます。


最終話:{netabare}
 最終話で語られていたのは、おそらくカネキのエディプスコンプレックスの解消です。もちろん両親に該当するのはリゼとジェイソンです。母親に対しては、手を拘束し、組み敷いた上で捕食をしています。父親に対しては、同質化(白髪と拷問)し、圧倒した上で捕食をしています。この構造は、エディコンに関するもので間違いないと思われます。
 分かりづらいのは、このエディコンが、「人間の」ではなく、あくまでも「グールの」ということで描かれていることでしょう。
 人間におけるエディコンとは、幼児期の男の子が母親を欲するも、絶対的な父の存在に屈し、諦めるという構造です。この諦めの結果が自我の獲得につながります。
 これがグールにおいては、母親を内在化できるし、父親を打倒できるんだ、となっています。人間では乗り越えられないとしても、グールは乗り越えられるということです。ヒナミも両親を超えた存在として描かれていましたし、人間との違いが明確化されているようです。また、幼児期の「性」の問題がグールにおいては「食」として表現されています。

 ここから想定されるのは二点あります。

 一点目は、エディコンの解消による自我の獲得をもって、カネキが生き方を選択できるようになった、ということです。
 カネキが人間でもグールでもない「第三の道」を選択するであろうことは既に描かれていますが、カネキにおけるグール観は定まっていなかったように思えました。つまり、「人間」と「何かわからないもの」との中道を探るという答えのない道にいたのです。
 エディコンを解消することによって、カネキのグール観が「リゼでもジェイソンでもない何か」に定まりました。この「何か」の部分が実際に何なのかは、今後語られることになると思われますが、少なくともカネキの中では、グールが「何かわからないもの」ではなくなっているはずです。
 エディコンの解消を描いたことにより、初めて「人間」と「グール」との中道を探ることが可能になったのです。もちろん結論がすぐに出るわけではなく、スタートラインに立ったということです。

 二点目は、グールの生体です。
 人間が「性欲+食欲」で成立している部分が、グールにおいては「食欲+食欲」で成立していることが明らかになりました。従って、グールは人間よりも、性欲が欠けているか、繁殖能力が落ちているか、いずれかの方向性を持っているはずです。今後は、グールがなぜ生まれたのか、どのように繁殖するのかなど生体に関することが中心になるでしょう。
{/netabare}

第一話と最終話:{netabare}
 この作品は、人間とグールの争いを描いたものですが、カネキ個人のものと種族のものという二つの方向性があります。第一話と最終話は前者です。

 第一話の流れをまとめると、リゼvsジェイソン、グールカネキの誕生、初めての食事、です。
 グールカネキの誕生は、現時点では、リゼの臓器が移植された結果だ、ということしかわかっていません。皮膚や細胞ではなく、臓器、です。文字通りリゼがお腹を痛めて産んだ子がカネキなわけです。カネキの人間としての母はカネキママですが、グールとしての母はリゼなわけです。
 一方で、育ての親というのは別にいます。トウカです。初めての食事をサポートしたのがトウカですから、彼女は立ち位置としては育ての親に該当します。
 なお、第一話の最終カットは、トーカの補助によるカネキの食事(ゴックン)でした。

 第一話の構成が最終話でどう変わったかを見てみます。
 リゼvsジェイソンが、カネキvsリゼとカネキvsジェイソンになりました。これは上で述べたエディコンの話です。
 これを受けて、グールカネキの幼児期が終わり、自我を獲得しました。これは心理上の誕生に該当します。
 最終話の最終カットは、第一話と同じく食事(ゴックン)でしたが、育ての親の補助を受けない自立したものとして描かれています。

 ここからの展開は、幼児期の終わりのあと、つまり思春期に流れていくものと思われます。相手はおそらくヒロインのトウカでしょう。今まではほぼ育ての親の側面しか描かれていないので、恋愛に発展することはありえませんでした。トウカが親の概念から離れたことで、初めて恋愛側にシフトすることができるようになった、と言えます。
{/netabare}

 最終話は原作と描き方が違うらしいですが、第一話と最終話の構成の親和性を見るに、アニメ版は非常に上手く描けていたと思います。表面上のストーリーが完結しなかったのは残念ですが、カネキの内面に関しては、誕生と再誕をリンクさせた素晴らしいものだったと思います。
 無事第2期も決まりましたし、今後に期待しています。

投稿 : 2014/10/13
閲覧 : 313
サンキュー:

9

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