「M3 -ソノ黑キ鋼-(TVアニメ動画)」

総合得点
57.6
感想・評価
347
棚に入れた
1782
ランキング
7001
★★★★☆ 3.2 (347)
物語
3.0
作画
3.2
声優
3.3
音楽
3.3
キャラ
3.1

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ホラー&心理劇&群像劇。最後まで観ると良作だが致命的スロースターター

ジャンルは一応ロボットアニメなのだが、ロボット戦闘よりも、心理劇や群像劇重視の作風。
2クールのうち、開幕から16話程度もかけて、ひたすら鬱々とした心理劇と群像劇が繰り広げられる。
作画やキャラクター等に傑出した魅力があるワケでもなく、全体の半数以上は我慢を強いられる構成なので「3話くらいまで面白くならなければ切る」等の視聴基準をお持ちの方は、まずオススメ出来ません。

後半から終盤そして最終話に至る物語は中々良く、個人的には最後まで視聴して良かったと思える好きなアニメです。


{netabare}『物語』
「無明領域」という謎空間から出現する怪異「イマシメ」と戦うべく、人型兵器「マヴェス」に乗る8人の少年少女の戦いを描く物語。
無明領域に入った生物や普通の物体は「屍鋼」(しばがね)化してしまうため、無明領域に入って戦えるのはマヴェスだけ(マヴェスは耐性あり)という設定。
※無明領域は、他作品だと「絶縁のテンペスト」っぽいと思った。
よし、パイロット候補生の少年少女達が、イマシメとロボットバトルする話だな!?
と思いきや、ストーリーはやたらと怪奇ホラー路線だったり、エキセントリックなキャラクター達の衝突や葛藤で鬱々とした展開が続く。
バトルが中々盛り上がらず、また過去の酷いトラウマに囚われた鬱展開が観ていて辛い。
また、序盤から世界観の説明が殆ど無く(あったのかも知れないが、見落としたか?)、よく分からん状況下で、よく分からん内に謎の敵と小競り合いしつつ、話の主流はひたすら身内のゴタゴタと過去のトラウマ展開…が、特に盛り上がりも無く延々と続いていく。
……うーん、スロースターターなアニメは嫌いじゃないが、流石にエンタテイメントとしては構成がマズイのでは?

それでも、エミルの苦しみやシバガネ化、マァムのおどおどした可愛さ、ササメの可愛さ、そしてヘイトのエキセントリックな狂人っぷり辺りが、観ていてかろうじて飽きない要因だった。
主人公アカシがキレ易い性格で、若気の至りとはいえ、こまでくるとイライラさせられるも、ヘイトの方が更にウザいので、うまく中和されていたように思える(錯乱)。
ヘイトが退場した後、面白さが更に半減してしまった…
ついでに、ヒロインのササメも退場、ただでさえ魅力のあるキャラ少ないのに大丈夫なのか?と思った。

アカシが、立派すぎる兄であるアオシにコンプレックスを抱き反発する、過去のトラウマ展開が中盤の主流だった。
無明領域は精神的な幻覚見せる特殊空間なので、そこでのアカシの心理劇が、やはり鬱々と、延々と続く。
…後半~終盤の展開に必要とはいえ、やはり長過ぎる。

序盤からの鬱々とした展開を経て、マッドサイエンティスト・夏入が本領発揮し出す辺りから、面白くなってくる。
その頃にはアカシも兄アオシの想いを受け止めて成長しており、序盤から見て主人公として大きく成長したと実感できる。
島の子供たち、ササメそして裏ヒロインであろうヤンデレ少女ツグミの怨念、無明領域とイマシメの秘密…
ストーリーの全容が明かされていくのだが、ここら辺は正直、もっと早く明かされてても良かったと思った。
とはいえ、本筋が見えてくる後半(16話くらいか)から、結構面白くなってくる。
…ここまでが長いんだよなぁ。

後半はアカシだけでなく、マァムら他のメンバーも大きく成長。
マァムの活躍が大いに萌え…燃えた。
「人と人とが直接繋がる」エヴァの人類補完計画めいた展開に。
それを否定しつつ戦うアカシ達、その思想に取り付かれるミナシ、ツグミ。
繋がる事で幸せになれる?(ミナシ)全部消えてしまえばいい?(ツグミ)
そうじゃない!直接意識が繋がらなくても、手と手の温もりは伝わる!(アカシ)
序盤からの鬱々とした心理劇の甲斐もあって、アカシの主張に確かな説得力を感じるのは良かった。

序盤からどう考えても絶望的鬱エンドかと思いきや…まさかのハッピーエンドで良かった。
最終的には視聴して良かったと思える好きなアニメになりました。
が、あまりにもスロースターター過ぎるのはどうにかならなかったものか。
バトルにカタルシスがあるタイプでも無いので、前半余計に我慢を強いられた。
せめて、もっと前半にストーリーの方向性と骨子を伝えてくれたら良かったと思ったです。


『作画』
キャラ作画は決して嫌いでは無く、ササメやツグミ、マァムら女子は可愛いが、一般受けしなさそう。
マヴェスはカッコ良いが、地味。
戦闘が夜中心で画面が暗くて見づらいのが、余計にバトルのカタルシス減退に拍車をかけている。
だが心理パートでの表情や、終盤戦の迫力は申し分無く、最終的には印象良かったです。

『声優』
松岡禎丞さんが、キレ易い未熟な主人公アカシを好演。
松岡さんは「さくら荘のペットな彼女」でも未熟な主人公を熱演しており、非常に合っていると思った。
ササメ&ツグミの小岩井ことりさんも魅力十分。
ササメの清純な優しさ、ツグミのヤンデレな怖さ共に十分。
マッドサイエンティスト夏入をベテラン・飛田展男さんが好演。

個人的に注目は、マァム役の福圓美里さん。
地味なぼっち少女で中二なポエムで解説役だったが、終盤は大活躍!
「だめ…大きい…こんなの…ムリ!」※注 敵の事です。
おぃぃぃ福圓さんになんて事を言わせるんじゃぁぁ!?
終盤の悲壮な決意と活躍ぶりは「革命機ヴァルヴレイヴ」のマリエを彷彿とさせるものだった(マリエちゃんも、福圓美里さんですし)。

『音楽』
全般に暗くて鬱々としている。
注目は坂本真綾さん歌う後期OP「レプリカ」
一見作風にそぐわぬ明るく爽やかな曲調で、意味深な歌詞…
最後まで観ると、歌詞の主題が分かって、良主題歌だと分かります。

『キャラ』
主人公アカシの成長ぶりが凄い。最終的には立派に主人公を務めていた。
マッドサイエンティストの夏入と、狂人ヘイトが、地味になりがちな物語を何とか引っ張っていた。
特にヘイトはニコニコ動画では非常に人気者で、退場した後も「ヘイト」コールが湧き起こる程。
※別作品だが「selector infected WIXOSS」のアキラッキーみたいな立ち位置かと。
エキセントリックなトリックスター、退場すると寂しい的な。
終盤再登場した時、アカシにウザく纏わりつく狂人ぶりは健在、全くヘイトさんは俺達の期待を裏切らないぜ!

ササメとツグミのヒロインズも可愛いが、本作で一番可愛いのは、マァムです。
「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」のもこっちを彷彿とさせるボッチだけど、終盤の大活躍は大いに燃える上に可愛かった。
前述の通りシチュエーションと中の人が革命機ヴァルヴレイヴのマリエを彷彿とさせ、死なないか心配になりました。

全般に群像劇としては丁寧で、最後まで観ればどのキャラにも愛着が湧きます。
…ただし、そこまで視聴するのに、忍耐が必要なのが難。{/netabare}

投稿 : 2014/10/02
閲覧 : 388
サンキュー:

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