「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者[ハガレン](アニメ映画)」

総合得点
71.8
感想・評価
578
棚に入れた
3797
ランキング
1282
★★★★☆ 3.9 (578)
物語
3.9
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

これはバットエンドですか...?

テレビ版の続き物です。
ダークファンタジー。漫画原作ですが、本作は完全なオリジナルです。
テレビ版で積み上げてきたキャラクター描写を台無しにしているような展開が多いです。これなら、テレビ版のラストの方が、まだ納得できました。
設定も矛盾点だらけ...。


■原作改変しすぎ...

テレビ版でオリジナル展開に入ったので、原作改変は仕方がない気もしますが、あまりにもラストがしっくりこなかったため、ちょっとだけ書かせてもらいます。

テレビ版や原作でも、真理の扉から黒い腕が出てきたり、沢山の目がエドを見るシーンはあったと思います。この映画では、いとも簡単に真理の扉を開けてしまいます。もちろん、黒い腕や沢山の目の描写は描かれていません。
さらに、テレビ版では現実の世界に行くことは難しい描写が描かれているのに、この作品では今までの設定を覆すかの如く、沢山の人が扉を行き来しています。

ここまでなら、ご都合主義として、目を瞑って楽しめたのかもしれませんが、アルの下りでもう呆れてしまいました。

どういう展開だったかというと、
「アルが自分の魂を鎧に移し替えて、現実世界のエドと会いに行く、そして鎧から魂が離れると、その記憶がアルの元に戻る。」(以下、①)
こんな感じです。

アルの体は、真理の扉の中に吸い込まれていって、戻ってこなかったのですよね?
エドが扉を開くことでやっと戻ってきたのですよね。扉を開かないと戻ってこなかったのでは無かったのですか?
鎧に定着した魂は戻ってこないのではないのですか?
鎧が壊されると死亡する扱いになると思うのですけれど、それは現実世界に肉体が無いからですよね。それでも、肉体は真理の扉の向こう側にありましたから、もしも①が起こりうるのであれば、魂は①で現実世界から元の錬金世界に移動しているわけですし、鎧が壊されると死亡になる設定と矛盾している気がするのです。

なぜなら、現実世界で鎧から魂が離れて、錬金世界に戻るのであれば、アルが錬金世界で鎧を壊された時に、どうして現実世界に魂が戻らないのかが不思議で仕方ないからです。

単に補足されていなかっただけなのかもしれませんが、今までの旅を台無しにするような設定だと感じました。



せめて、真理の扉が開いたから、魂が錬金世界に戻ってきたということにして欲しかったです。①の展開は真理の扉が開いてなく、今までのストーリーを台無しにするようなとんでも設定でした。


■キャラクター

テレビ版で完結して欲しかったです。敵キャラクターの描写も微妙ですし、ノーアの印象も地味すぎて、テレビ版でじっくりと内面を描いてきたウィンリィに変わって、魅力的なヒロインになるとは思えないのです。

ノーアにエドとキスまでさせておいて、あの地味な扱い...。(エドは寝ていましたが)
真理の扉を開くために用意されたキャラクターなのでしょうか?
とにかく、地味な扱いでした。

それでいて、ウィンリィの扱いもちょっと酷かったです。エドにオートメイルを届けてから、エドがいなくなってしまう。最後にいなくなったエドとアルの写真を見て、懐かしい思い出に浸る...。
エドとウィンリィの関係を、テレビ版で描いてきましたよね。エドは現実世界に戻ると行った時に、ウィンリィに何かしてあげないのですか?
ちょっとエドって無神経...。

それでも、この辺は好みの問題で済まされそうです。

しかしながら、マスタング大佐やホーエンハイムの扱いはそうはいきません。
マスタング大佐にあんな扱いをさせるなら、登場させなくて良いです。中途半端に登場させて、どうにもならない虚しさをアピールした後、いなかったかのようにフェードアウト。

最後に活躍しましたが、真理の扉を壊すためと、単なるファンへのサービスのために登場させたとしか思えませんでした。もっと自然な登場の仕方があったのではないでしょうか?

ホーエンハイムとエンヴィーの扱いは、素っ気なくて嫌いです。あれだけテレビ版では引きずってきた関係を、あんなにあっさりと終わらせて、ちょっとガッカリしました。テレビ版でどういう終わり方をするのか、楽しみに観ていた私の好奇心を返してください。凄く残念な気分になりました...。

ラースについては、もうちょっとだけ反省した様子を描いて欲しかったです。何を考えているのか分からないまま、グラトニーに食らわれることとなるので、自分のやった事を後悔する描写があれば、また違った印象を持てたでしょうね。

現実世界の無駄なキャラクターを出さなくても良いので、もうちょっとウィンリィとラースの扱いを変えて欲しいです。特にラースについては、幾つか描写を付け加えるだけで、抜群に良くなると思うので。


■ラスト(完全な好み)
テレビ版でバッドエンドを見せておいて、映画版でハッピーエンドを見せられても、中途半端になるだけなので、どちらかに絞って欲しかったです。
私は、どちらかというとハッピーエンドの方が好きですが、バッドエンドを見せられてから、中途半端なハッピーエンドを見せられても、後付けにしか思えませんでした。


ハッピーエンドと言っても、他のキャラクターは報われずに、エドとウィンリィとの関係も蔑ろにしたまま、「弟と一緒に旅が出来ればそれでいい」というようなエドの価値観には呆れてしまいます。
向こうで暮らしたから、現実世界を他人事のようには扱えないという台詞にも、ちょっと呆然。考え方が自己犠牲になっていますね。エドは、もっと「何が何でも、幸せになってやる」というようなガツガツした性格だったと思うのですよね。どこでブレたのでしょうか?


最後に一言。
後味が悪すぎます。好みなのでしょうが、こういうラストは受け付けません。
それでも、評価するとするならば、テレビ版で積み上げてきたキャラクター描写を台無しにするような設定や展開が多かったので、かなり低いです。


スターシステムってほんと怖い...。

投稿 : 2014/10/01
閲覧 : 774

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