ギバチサナ さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
音楽が神だが、それに負けない構成の「報われないハッピーエンド」
岡村天斎と菅野よう子のタッグは贔屓目でどうしても好きな部類だが、この作品は飛びぬけて好き。
ただ楽園へ行きたかった。それだけの事。
たった一つの願いを叶えたいだけなのに、なぜ。
どうして思い通りにいかないんだ。
幸せを求める事がなぜこんなに邪魔とされるのか。
迷惑なんて、かけるつもりはないのに。
当たり前の幸せを持つ人間は、とびきり自分に対して被られる「不幸」に敏感です。
一方、本作の主人公である絶滅されたと言われた伝説の獣・狼は、狼としての幸せを諦め人間に化けながら、己の本来の姿を否定し続ける。
この作品を見て、なんでこんなに切なく報われないのに、最後ホっとしたのか。
それこそ人間だからこそ感じることの出来る感情というか。
醜い欲望を持つのはやっぱり人間だけなんだろうなと認識できたというか。
でも、そんな欲望を持つ人間の中にも、純粋な想いと言えば嘘になるでしょうが、人間以外の「他人」を想う人だっているんだよと、そういう意味での「救い」はあるように感じます。
狼たちの結末を可哀想と取るのか、安心と取るのか。どちらにせよこの脚本を作った信本敬子さんは素晴らしすぎる。
作品も素晴らしいですが、音楽がとても良い。
菅野よう子の真骨頂ではないだろうか。
攻殻やマクロスFなどのサウンドではなくて、私はやはりこの作品だったりカウボーイビバップの、楽器を思う存分使う菅野サウンドが好きだ。
弦楽器、ストリングスが好きな人は絶対に、必須としてこのアニメは見るべき。
私にとっては、神作です。