Attack さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
☓☓☓は無駄死にじゃない。
彼はシビュラシステムの本性を垣間見たが故に殺され
更に死後もシステムに利用されてしまう。
5才で潜在犯と認定され隔離施設で育ち
そして執行官となり少しばかりの自由と居場所を手に入れた彼は
決して仲間を裏切ることもなく、取り乱すこともなく死んでいった。
と、少し書いてみるとなんだか無駄死にな様な気がしてしまうが
彼は殺される直前も犯罪係数が上昇していないのだ。
シビュラシステムの本体を見てしまい
禾生局長にドミネーターを向けられてもなお
ドミネーターはパラライザーに変形した
(結局はデコンポーザーで粉々にされたが、あくまでもそれはシビュラシステムが犯罪係数とは関係なく変形させたものである)
彼がもしシビュラシステムを心底軽蔑し納得していなければ
彼の反抗心は犯罪係数の上昇という形できっと現れていただろう。
きっと彼は、あの死を受け入れていた。
最後の言葉はきっと、彼なりの皮肉に過ぎず
心の底からそう思っていたわけではない。
そう思いたい。
そしてそんな彼の死が常守監視官を成長させる一助になったということは
この物語を見た人にとっては明らかであり、今更どうこう言うことでもない。
その上で常守監視官がシビュラシステムを容認したのは
彼女が感情よりも理性が勝ってしまうタイプの人間であるからであろう。
こうやって書くと、第一話の狡噛執行官を撃った場面が反論として上がるであろうが、
あのシーンも、後から取り返しのつく狡噛へのパラライザーと
どうしようもならない島津 千香へのエリミネーターを頭の中で比較した結果だと思われる。
取り乱しているようで、最低限の後先は考える、
そんなところがシビュラにも気に入られてしまったのかもしれない。
そんな彼女の選んだ結末は見ている側からするとなんとも煮え切らない現状維持。
犯罪係数が上がらなかった辺りから、
縢執行官もシビュラシステムを必要悪として容認していたと思われ、
そういう意味では彼の意思を引き継いだとも言えなくもないが
常守監視官はどうにも免罪体質者とも取れる描写が多い。
(自由に犯罪係数を上下できた槇島と比べると弱いが)
つまり常守監視官はシビュラシステムにとっては理解不能な異分子に近い。
シビュラシステムの予想の範囲外に存在する彼女だからこそ、
二期ではシビュラの予想もつかない解決法を出してくれることを期待する。