「とある科学の超電磁砲S(TVアニメ動画)」

総合得点
88.9
感想・評価
3559
棚に入れた
20750
ランキング
97
★★★★☆ 4.0 (3559)
物語
3.9
作画
4.1
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.1

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ネタバレ

オキシドール大魔神 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

どうした!?長井

 まず前期OPシスターズノイズの映像について。
 御坂vs麦野のシーンがあり、そこに黒子と上条が介入するというシーンがある。
 実際は、御坂と麦野は戦うが上条と黒子は介入しない。
 つまり、いわゆるOP詐欺なのが極大なマイナスポイント。
 OP詐欺自体は珍しくないが、OP詐欺にも限度がある。
 たとえば、御坂のレールガンと麦野のビームが真っ向からぶつかるくらいの詐欺なら仕方ないと思う。原作にそんなシーンはないが、御坂と麦野が戦うのは事実だからだ。その事実を基にして、先述の例えレベルの詐欺なら分かる。
 しかし、上条や黒子が介入となると話は違う。原作にはそんなシーンどころか事実すらないし、原作の展開上、上条に助けられるまで御坂が孤独で運命に抗うのがレールガン視点の妹達編の醍醐味だ。麦野戦で助けが入ってしまっては、その醍醐味が薄れてしまう。
 加えて、そもそも御坂と麦野なら御坂の方が強い(レベル5の序列は強さではないが、現在までに判明している両者のスペックやこれまでの描写を鑑みれば、それほど苦戦もせず御坂が勝つ可能性が高い)のに、まるで黒子と上条の助太刀がなければピンチだった、麦野とはそれほどの強敵だ、と勘違いさせるような上条や黒子の介入という演出をかましたOPは非常にマイナスポイントである。
 これがどれだけおかしいかをBLEACHでたとえるなら、尸魂界編での白哉vs恋次の戦いにおいて、白哉側に卍解習得した一護と体力万全の石田が加勢するレベルのおかしさだ(敵や味方の立場は除いて、パワーバランスの話として)。
 ナルトでたとえるなら、波の国編でのカカシvs再不斬でガイやアスマが加勢に加わるレベルだ。無論、波の国編での再不斬戦と言えば、第七班しか出ておらず、ガイやアスマが参戦した事実などないし、仮に参戦したとしたら余裕勝ちになってしまい戦いにならないのは、ナルトを少しでも知っていれば分かるだろう。
 さらに言えば、禁書ではかませにされる率が高い麦野をあたかも強キャラのように見せてしまうのは、麦野ヘイトすら入っているとも言える。アニレー1期にはOP詐欺はなかったから、事実改変に加えパワーバランスを理解していない今回のOPの酷さは余計に際立った。
 曲はいいだけに非常に残念。
 
 冗談抜きで、一切の誇張なしで、あえてミスリードを狙った作品(まどマギなど。もっともまどマギはオリジナルアニメだし詐欺もくそもないが)を除いて、ここまでめちゃくちゃなOP詐欺は見たことがない。
 これを超えるOP詐欺があれば、ぜひ教えてほしいレベルだ(おそらくないだろうが)。

 後期OPは曲は中の上、映像はまあまあ。
 EDは前期後期ともに良くも悪くもない。井口と三澤をゴリ押したいのが分かっただけ。
 

 続いては本編について。
 まず妹達編についてだが、テンポが悪すぎた。
 妹達編は、原作禁書、禁書漫画、アニメ禁書、原作レールガンと、四回もメディア展開されている。いくら世間的には人気の話だからと言って、何回もやられたらマンネリ気味にもなる。もっとも、どこまでメディアに触れているかは個々人による。自分はまさにこれまで四回、フルに妹達編を見てきたわけだが、中にはアニレーしか見ていないという人もいるだろう。
 が、果たしてそんな人達がどれくらいの割合いるだろうか。これだけメディア展開されていれば、おそらくどこかで1回は妹達編に触れている割合の方が多いだろう。
 そして、大抵のフィクション作品は、余程面白くない限り1回見れば満足である。
 だからこそテンポよくやるべきだったのに、緊張感を削ぐようなオリジナルは入れるわ尺が余っているからかアニメ禁書より丁寧にやるわで散々。
 かと思えば、常盤台の寮での上条と黒子の会話はカット。そのため上条がレポートを入手する経緯もカット。この辺は原作レールガンでもカットされている所ではあるが、どうせなら上条がレポートを入手した時の心理描写などやればよかったのに、そのようなやった方がいいところはなぜかやらない。
 取捨選択がどうしようもない。
 その上、妹達の目を普通にしてしまう始末。にわかの中には、「クローンなんだから目は御坂と同じで当然。むしろアニメ禁書が改変した」とのたまう輩がいるが、原作禁書から妹達の目は御坂とはしっかりと差別化されている。長井はあえてやっているのかもしれないが、意図が分からない。そもそも個人的には妹達編自体そこまで好きではないから、禁書と被っている部分はなおさら苦痛だった。
 良かったのは作画と声優陣の演技だけ。
 サイレントパーティー編は、オリジナルなのでそれほど期待してなく、その分、劇的につまらないと思うことはなかった。
 ただ、決して不満がないわけではない。
 アニレー1期のオリジナルは、粗削りではあったものの熱く無理のない描写だった。
 その点、2期オリジナルはそれほど熱くないし無理がある描写も多かった。
 1期オリジナルは御坂や黒子といった強キャラは派手な活躍をして、初春や佐天といった弱者は、派手ではないが実力に見合った、けれど彼女達にしかできない活躍をした。佐天のキャパシティダウン破壊がまさにそれだ。やったことはバットで機械殴っただけ。普通なら誰でもできる事だが、あの状況では佐天しかそれができなかった。佐天は初春の助言ありきでキャパシティダウンを破壊し、それによって能力を使えるようになった御坂が最終的に勝利する。まさに友情の勝利といえる展開だった。
 しかし今回は違う。
 佐天がバット一本で駆動鎧相手に大立ち回り。さすがに駆動鎧を破壊するまでには至らなかったが、それにしたってキャラの実力と描写や設定が噛み合ってなさすぎる。佐天が巨大ロボットを一朝一夕で操作できるのも釈然としないし、いくら婚后がお金持ちだからって唐突に巨大ロボットが出てきたのもご都合過ぎる。百歩譲って資金面は目を瞑るとしても、製造期間がおかしすぎる。何の知恵も戦略もなく兵器には兵器、という捻りのなさすぎる力押しの展開だったのもつまらなかった。
 アニレー1期は四人いたからこその勝利だったのに対し、今回はほぼバラバラで活動し、最後は御坂でごり押しただけ。規模は前回よりでかいものの、そこに至るまでの展開が雑すぎて熱くなれない。
 そもそも御坂が他のメンバーに助けを求めるのもおかしい。ポルターガイスト編は、妹達編の前なので「闇」をそこまで実感しておらず、佐天にも説得されて四人で特攻は分かる。
 しかし妹達編で闇を知った御坂ならば、まかり間違ってもどうしてもやむを得ない場合以外は、リスクを考えて自ら助けを求めるなどしないはずだ。  
 事実、原作の大覇星祭編では助けを求めていない。
 にもかかわらず、友情をゴリ押したいのか四人で特攻させた。それならそれを貫き通せばまだしも、実際はバラバラで活動したから始末に負えない。
 アホみたいに挿入歌をぶち込んできたが、シスターズノイズは妹達編のための歌であって、サイレントパーティー編で流されても何の感慨もない。逆にオンリーマイレールガンは流さない始末。アニレー1期は比較的上手くやったのに、2期はどうしてこうなったと言わざるを得ない。

 アニレー1期は、原作を再現したものしか認めないという盲目的な原作信者はともかく、アニメから入った人には高評価だった。原作を読んでいる自分としても、よかったと感じる。
 しかし今回は、改悪や設定などの無理解による長井のオナニーをぶち込まれた事で原作信者からも、クオリティーの低さからアニメ組からも嫌われるという最悪のパターンになってしまった。大人しく1クールで終わっておくか、学芸都市や能力実演旅行をやってほしかったものである。

 2021年現在、とあるシリーズは右肩下がりが続いている。
 この長井のやらかしも、その原因の一つではあるだろう。

投稿 : 2021/12/31
閲覧 : 549
サンキュー:

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