じたん さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
好きなキャラが出来ました
●総論
とても楽しめました!
物語は海を舞台に主人公たちの恋愛、成長、葛藤などが微妙に揺れ動く感情を含めて丁寧に描かれていきます。
この作品様々な登場人物の視点から語れるんですがそうするとありえない分量になりそうなので一応テーマを二つに絞ってそれを軸にいろいろ考えていきたいと思います。
ちなみに僕がこの作品の中で一番好きなのはダントツで紡です!
だからだいぶ紡よりで物語を観てましたw
●変わらない関係性と変わっていく関係性
{netabare}
光、マナカ、要、ちさと
この4人は同級生で海の中のしおししおという町でずっと育ってきました。
小さいころからいつも一緒の仲良し4人組で、はじめこの4人組が変わらない関係性の象徴として描かれていきます。
確かに慣れた世界、役割の決まった世界は居心地のいい場所であり続けますが、それでは自身のさらなる成長や新しい発見は望めません。
成長や発見のため未知の世界、はじめは居心地の悪い世界に飛び込むことも必要でそのタイミングが彼らにとっては陸の学校に通い陸の人間とコミュニケーションをとる場面でした。
特に何事に対しても偏見を持たず多様性を認めることができる紡の存在はマナカに大きな影響を与えます。
そうして4人の関係性に変化が見え始めたとき大きな事件が起こります。
4人のうちちさき以外の3人が冬眠状態になってしまい、半ば強制的に一緒に歩んできた「時」をずらすことで関係性を変えてしまいます。
皮肉にも1人だけ「時」がずれたのが4人の関係がずっと変わらないでいて欲しいと願ったちさきでした。
ちさきは眠り続ける3人への責任で、3人が起きたときそこからもう一度一緒にやり直せるように、明らかに変化していく外見をよそに気持ちだけは5年前と変わらないでいようと葛藤します。
でも紡と過ごした5年間は確実にちさきの中で思い出として積み重なっていきます。
これは妄想も入りますが紡は5年間1人ぼっちになったちさきを支え続けたんだと思います。(高校も同じ制服だったので合わせたんじゃないかな…)
4人一緒でなく1人で過ごすことになったちさきの時間の隣にいつもいてくれたはずです。
時の流れが否応なく変えていくいくちさきの「変わること」を支え続けたはずです。
そんなちさきと紡の関係性を表現する大好きなシーンがこちら。
さやま君からもらった5つのシュークリームを4人で学校で食べることになりそこでみうなとさゆを発見
ちさとはあっさりみんなで食べてと渡し、おじいちゃんの病院に向かいます。(シュークリームは残った14歳のみんな5人で食べます。)
病院で鉢合わせた紡とちさき(両方とも19歳)はおじいちゃんが買っていてくれたコーヒーゼリーを食べてちさきがこうつぶやきます。
「わたしコーヒーゼリーのほうが好きかも…」
もちろんコーヒーゼリーは19歳の大人のメタファーでシュークリームは14歳の子供のメタファー
5年間ずっと隣にいた紡への感謝や愛が伝わってきてすごく良かったです。
紡と一緒に過ごしてきた5年間にちゃんと意味があった気がして嬉しかったです。
変わらない関係性があれば変わっていく関係性もありますが、それを少しずつだけどありのまま受け止めていく姿がちさきを通じて語られていました。
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●人を好きになること
{netabare}
この部分は光の成長と共に描かれていたと思います。
最初のころの光はひどかったです(笑)
さすがにマナカに対して「いつまでも後ろにいてくれればいい」的な発言をしたときは引いちゃいましたねw
結局はじめのころの光は相手を自分の思い通りにしたいだけみたい。
これは「人を好きになること」ではないですよね。
だけど自分とは違う陸の人間と出会い、大人な紡と出会い、お姉ちゃんの問題を解決しようとし、さらには陸と海の間の問題も解決しようと奮闘する中で確実に光は成長していきます。
そしてラストみうなを助けたいと光が涙を流し、それを見てみうなが自分のために泣いてくれる光を好きになれて良かったと思うシーン
人を好きになることとはどういうものか考えさせられました。
好きになることは相手を自分の思い通りにすることでは決してなくて
むしろ相手の意識の中に入っていき相手の目で世界を見れるようになる
光の成長をみながらそんなことを考えました。
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●最後に
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やはり紡が好きすぎる自分としては紡とちさきとの5年間をもっと観たいと主人公そっちのけでずっと思ってましたw
紡と5年も同棲したらたいていの女性は落ちちゃう気がする…(笑)
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