どらむろ さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
文学的?哲学的?アニメらしからぬ恋愛青春アニメ。理解せずとも空気感を愛でるべし?
「凪のあすから」に続きP.A.WORKSが制作した青春恋愛アニメ。
美しい作画と複雑に絡み合う少年少女の恋愛ストーリー…
いかにもP.A.WORKSらしい恋愛アニメなのかなー?
と思いきや、極めて散文的というか、一貫した脚本が存在しないかのような、摩訶不思議なアニメでした。
{netabare} 『物語』
まず、私は浅学にして文学や哲学には疎く(特に文学は全く興味無し、哲学の方は最近クオリア等に多少関心あり)、本作の難解な考察に関しては、他のレビュアーさんにお任せします。
あにこれに限らず、極めて興味深い考察や論評がネット上にあるので、それらが参考になりました。
本作は少年少女の少しドロドロした恋愛青春ストーリーかな?
P.A.WORKSだし、止め絵やニワトリやEDからは「true tears」っぽさを感じるし?
と思って視聴開始しました。
ヒロイン・透子はじめ顔馴染みの仲良し少年少女たちの、付かず離れずの関係性に、イケメン転校生・駆(かける、通称ダビデ)の登場で、波紋が広がっていく…。
恋愛には至らぬ透子たちが、次第に恋愛関係を意識し出し、幼い関係性が動き出し、様々な葛藤が生まれる。
うんうん、王道(P.Aの)だなぁー。
ところが、本作はどうやらファンタジー要素もあるらしく、透子とダビデは「未来のカケラ」なる謎のビジョンが見えるらしい。
ん?本作は前作「凪のあすから」に続きファンタジーっぽい?
ダビデの異様な朴念仁?ぶりと、透子の超天然さが合わさり、彼らが意図せずに仲間たちの関係性がグチャグチャと掻き回されていく辺りが面白かった。
透子とダビデ以外の男女は(比較的だが)普通の少年少女で、紆余曲折あれど、甘酸っぱい青春恋愛で少しずつ成長していく。
問題は透子とダビデで、この二人の会話が終始、謎であった…。
私にはチンプンカンプンなのだが、何となく、雰囲気は分かる?的な。
本作はヘタに難しく考えるのではなく、独特の空気感を感じていくのが吉かも。
※詳細な考察は、他のレビュアーさんに丸投げしますw
最終話直前のエピソードがどういう意味を持つかは、サッパリ分からない。
最終話では、皆それぞれに成長し、それぞれの恋が始まる予感。
話はよく分からんが、まあ恋愛なんてものは、明確なシナリオが存在するワケでもあるまい。
何となくの空気感で、何となく関係性が動いていく。
その過程をニヤニヤと眺めるのもまた一興だと、浅学な一視聴者は思いました。
※他作品で恋愛物とは別ジャンルだけど「ゆゆ式」という日常系アニメがあります。
女子高生の、他愛の無い会話が、脈絡も無く流れるように話題が飛んでいき、初見ではかなり戸惑うのですが…
慣れてくると、この取り止めの無い会話劇の独特の雰囲気・空気感こそが魅力だと気付きます(あくまで合う人は。合わない人はダメでしょうけれど)。
…果たして「ゆゆ式」を引き合いに出すのが妥当かは分かりませんが、本作は真面目に脚本の整合性やテーマの意味を考察しても徒労に終わるだけなのかも?
グラスリップの透子とダビデの会話も、理屈を思い悩むよりは、「何となく文学的?何となく哲学的?」な謎の雰囲気というか、空気感を感じられればそれで良いのでは?
何ジョジョ、透子とダビデの会話が意味不明だって?それは理屈を考えようとするからだよ。逆に考えるんだ…意味不明でもいいさ、と。
本作は、アニメという「文法」を逸脱した作品なのでは。
ちっともアニメらしくない。
まるで、恋愛小説みたいな。(私小説殆ど読まないんですけどw)
明確な脚本やストーリー性は皆無、散文的というか、考えるな感じろ!的な。
視聴者は「アニメ」を期待しているので、アニメのお約束を逸脱した本作の評価が酷評なのは止むを得ないと思った。
※別作品だが例えば「悪の華」とか「ブラックロックシューター」みたいな作品が、アニメの文法を逸脱している(悪い意味だけでなく、良い意味でも)。
本作もまた、良くも悪くも、アニメらしくない作品なのだろう。
個人的には、何となくの恋愛の空気感をもって、結構楽しめました。
物語評価は1.5点でも良さそうだが、個人的に結構好きだったので、超贔屓して2.5点です。
『作画』
流石はP.A.WORKSの良作画。幻想的な美しさも目を引く。
十分以上に可愛いのだが、抜きん出た魅力がある程では無かったような。
いや、妹のヒナちゃんの可愛さだけは非常に評価する!
止め絵多用する演出は「true tears」彷彿とさせるが、止め所が謎なシーンが多く、不謹慎ながらギャグにしか見えなかった場面多数w
※他レビュアーさんが、止め絵の狙いを考察しておられるので、参考になります。
『声優』
深川芹亜さんは透子の天然な可愛さ存分に出ていたので良いとは思うが、若干ぎこちないかも。
全般に安定感あり。
『音楽』
OP、ED共に申し分無し。BGMも雰囲気良い。
作中で効果的に活かされていたかは…どっちとも言えないのが本作らしいw
『キャラ』
青春恋愛ストーリーとして、良く居るタイプのキャラクターたち。
透子は天然な可愛さあるも、正直意味不明な会話劇で若干印象が悪い。
とはいえ、特に不快な程ではなく、やはり可愛いヒロインだった。
ダビデは謎だが、こういう役回りの舞台装置として見れば、特に好きでも嫌いでも無い。
※他作品だと「アルドノアゼロ」のイナホのような感じだと見ていた。
妹のヒナちゃんが一番、眼鏡っ子のさっちゃんが次いで可愛かった。
ヤナギとヒロが一番成長が見られた。
全般にキャラクター的には、そこそこ好きな感じです。{/netabare}