クゴ さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
大人の箱の中で生きる子供たち
先に総評から書きます。
テロモノの皮を被った(装置として扱った)、青春モノです。人の性質、配置、構図が一話から殆ど何も動かないですし、政治思想や警察構造は典型的です。このアニメが箱に見えました。以上。
最終回。序盤で柴崎は娘に電話をかけます。ここに、家族として当たり前の事と刑事として当たり前の事を混ぜている。終盤で米軍がツエルブを撃ったのはナインにスイッチを押させる為だと思います。今作ではアメリカは日本のことを嫌っているので、放射線で汚染されてもいいと思っているのでしょう。あと、ハイヴのことも考えるとナインの寿命が近いことは理解していたのか。
高高度核爆発って電磁パルス出せるんですね(『GODZILLA』のムートーみたい)迷惑です。アイスランドのオーロラを見たかったのか、ナイン。飛行機が墜落するのは『ヨルムンガンド』の世界でしたね。結局の所は墜落してないですし、米軍の機体が動くのも伏線として機能していました。病院の方も手を打っていない筈は無いですし、その為の犯行予告でしょう。何か『サマー・ウォーズ』の御祖母さんのシーンを思い出しました。『サマー・ウォーズ』は気持ち悪い(要は「頑張れ頑張れ」しか言ってないですし、言われる前から頑張っているでしょうに……)のですが、今作は指示にまだ具体性があったので必死さが伝わってきました。
施設に六笠と三島は関係無かったですね。良いんですよ、六笠は可愛いから。三島を見てたら、アニメのヒロインは「天は二物を与えられ度合」がよくよく考えると酷いという事が分かる。三島はエロ可愛いという一物しかない。でも、その一物も無いとナインもツエルブも靡かなかったでしょうね。三島リサは殆どの視聴者に「要らない子」のレッテルを貼られたので、ある意味で革新的なキャラクター。いや、ナインたちとの対比として要るでしょう。
ナイン、ツエルブ、ハイヴが『極黒のブリュンヒルデ』の女性陣と重なります。「余命幾何も無い若者は人生のどの時期を生きたいか」がテーマなので、同じようにハイヴが歳の割には背伸びした風貌をするのはそういう意味も含まれているだろう。そして、ナインを追う理由はそれと乖離するように子供のような理由。
今作は乙女ゲーアニメを観ているような感覚もあって、三島から『AMNESIA』の主人公(パウリちゃん)を感じました。でも純粋に異世界に入ってしまった主人公で言えば『神々の悪戯』とか……いやもうそんなこと言い出したらシチュエーションモノなんだから当たり前ですね。三島は受け身的な選択をする「選べよ、カネキ~」とヤモリに迫られる側の人間。
※私は特に政治に対して意見は無いですので誤解無きように(※アニメに対してはあるよ!)
今作はコテコテの反米、反日を打ち出しているので、これはもう娯楽でしょう。今の時代でアメリカがあれだけデカい顔出来ますかね?と思わなくもないのですが、実際にそういう面があるから切り抜くと今作の様な構図でもいいのかな。とかく今作のアメリカは日本のことを利用しようとか最悪、邪魔だから崩壊しろとしか思ってない。日本が敗戦国から抜け出す為に立てたアテネ計画。失敗に終わった計画で生き残った三人の内の一人のハイブをアメリカは奪って、あわよくば利用しようとした。しかしながら、逆に便利に使われる構図になり、殺すことに。ハイヴがあの地位に行くまでの経緯が知りたいというか流石にディテールが無い。
「残響のテロル 完」って書いちゃダメじゃないですかね?
残響にならない。というか根本的な解決(解決は出来ないと思う)はしていないので「完」にすべきではないと思います。ナインとツエルブの物語だとしたら、彼らは自分たちの為に動き、目的を完遂したのだからいいのかもしれないが。
ナイン、ツエルブ、ハイヴは被曝者で寿命が短いというわけではなかったのですけれども、要はリアル日本での被曝者の比喩にしているのでしょう(敢えてミスリードするのは制作陣の本当に心優しい配慮だと思う)。要は『進撃の巨人』や『ソード・アート・オンライン』で見られた、「いつかは分からないが必ず自分たちを殺す環境」がテーマになっていて、序盤に書いた「箱」というのはこれを指すのかなあ。