STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
オタクライフ!
原作は未読。
今でこそ、オタクライフを描いた作品はそれなりにあるし、多数のキャラが出てくるような
作品にオタクキャラが一人や二人いるのも珍しくなくなったが、この作品発表時はオタク
ライフを、それも正面から取り上げた作品は希有だったような記憶がある。
作中で描かれるオタクは取り立てて美化して描かれることもなく、一般からは卑下される
ような存在。
更に作品の中心であるサークル「現代視覚文化研究会」(以後、げんしけんと表記)に
至っては、他のオタク系サークルからも低く見られているが、実際サークル活動らしきことは
何もやっておらず、そう見られてしまうのもしょうがないといった感じ。
ただ、この積極的に何かをするでもない感じがまったりした空気感を生み出し、げんしけんを
居心地のいい場所にしている要因の一つでもあるみたい。
普段は何をしなくても、事あれば奮い立つかと思いきや、サークル存続に関わるような
一大事でも消極的なまま、結局は非オタクである春日部 咲に助けられるとなんとも情けない
限り。
なんかダメ人間の巣窟のような描かれ方だが、本人達もそれを自覚しており、「オタク
なんだからしょうがない」といった一種の開き直りのような感じで、オタクライフを満喫して
いる様子が見ていて楽しい。
ストーリー的にはあまり大きな動きはなく、キャラの個性を楽しむ作品といった印象。
一応、主役は笹原 完士となっているが、濃いメンツの多いげんしけんメンバーの中では、
特に際立った個性もなく、行動的にも受身な印象。ストーリーに大きく関わっていないところが
逆にげんしけんを見つめる視点のような存在になっており、視聴者と同化するような役割を
担っているように思える。
実際のところ、メインモチーフであるオタクライフを見せてくれるという点では斑目
晴信が、ストーリーを動かしていくという点では春日部が主役的立ち位置にいるみたい。
この春日部だが、非オタクとして、オタクであるげんしけんメンバーとの思考、行動の違いを
見る比較対象としての役割も果たしているような印象。
更に次第にげんしけんメンバーとも慣れ親しみ、部室を居心地のいい場所と感じるように
なっても、本人はオタクにはならないところが面白い。作中で語られる「オタクはなろうと
思ってなるものではない」をまさに地で行っている感じ。
EDにおいて、毎回その回の一騒動後の部室の様子が描かれるが、スローテンポなED曲の
効果もあって、事が終わった後の虚脱感のような空気感が感じられて、なかなかいい味を出して
いる。