yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
あー、京都に行きたい!
京都には人々の心を引き付ける何かがある。
1000年の悠久を簡単に飛び越える都。
その古の都では、
スマホが闊歩する現代と
鳥羽僧正の筆による鳥獣たちが戯れる古とが
何の違和感もなく同居している。
そんな京都を鏡に映したようなもう一つの都、鏡都。
そこで繰り広げられる一風変わった家族の物語。
家族ってなんだろう?
血のつながり?
人に限定?
物はダメなの?
他人も犬も猫も兎も
鬼も人形もティーカップも
家族にしたっていいんじゃない?
そこの集ったみんなが、
家族だって思えば、
それは、もう、家族なんだよ。
家族に生まれるんじゃない、
家族になっていくんだよ。
しっかりロケしたんでしょうね。
開けっ放した軒先からの眺め、
そこへ吹き込む枯葉の散らばる様子(高山時)
丸窓と角窓から覗く風景(源光庵)
など、京都ならではの美しい景色が描かれていました。
終盤は話が大きくなりすぎて、
いったいどこへ行ってしまうのやら?
と心配もしましたが、
深淵すぎるテーマには深入りしすぎず、
人間の身の丈に合った話に収まりました。
全10話と短めですが、
良くまとまった作品だと思います。
{netabare}神の子供である宮司と稲荷(明恵上人)。
彼らは神の御姿に似せて創れたのであろう。
そんな彼らに似ている人間という存在。
その人間は、
神の創造物なのか?
稲荷の創造物なのか?
はたまた進化論に従って生まれた存在なのか?
稲荷は孤独に耐えられなかった。
故に古都を鞍馬を八瀬を創り出し、
薬師丸を生き返らせ、
家族を創った。
そして、古都との間に子を儲けた。
それが、コト。
稲荷はコトのことを、
自分の分身であり、気持ち悪くて愛おしい、と言う。
これは、
子の親としての発言なのか?
創造物に対する創造主としての発言なのか?
いずれにしても神としてはあまりに人間的すぎる稲荷。
彼は神なのか?
神の力を持った人間に過ぎないのか?
それこそ、神のみぞ知る。ということか。{/netabare}
わざわざ高山時に出向いてまで、
鳥獣戯画扇子を入手し、
愛用している、
ギガ鳥獣戯画好きの私にとっては、
蛙と兎と猿が出てきた時点で、
この作品に好感を抱くのは当然のことだよね!