セレナーデ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
地球に優しい2段構え
中原麻衣目当てだったけど結構な掘り出し物。思わぬ収穫だった。
少女マンガのステレオタイプを扱ったネタが上質なせいか、作品自体が恋愛発展を絶妙に回避していくラブコメのステレオタイプそのものなのにあまりいやらしさを感じない。メタ的な笑いとすれ違いネタの2段構えが利いており、人間観察ネタで登場させたキャラを、ラブコメの場で再び活躍させるエコロジカルな仕組みと手腕に感心。
メインキャラが男4人女3人ってのもうれしい。申し訳程度に顔を出す悪友と主人公の周りでシラミのようにわく美少女というわけの分からない男女比が幅を利かせてるなか、出色の理想的男女比だ。その影響もあってか、女子3人の個性が三人三様しっかり際立っててとっても素敵。全然埋もれてない。つい霞んでしまいがちなポジションにいる千代ちゃんもツッコミ役としてニュートラルな魅力が光っててよかったぞ。
ただ、一方で野崎くん以外の男キャラの魅力がやや画一的でそこらへんもったいない気がした。造形も含め似たようなレーダーチャートをしてる。野崎くんのほかにも、もうひとりくらい身近に「振り回し役」の男キャラが欲しかったところ。周囲を困惑させるという意味で男サイドは少し寂しい。みこりんは自分で自分を振り回す自滅キャラだしねぇ。なんなら生徒会長とか体育会系みたいなわかりやすいキャラが代わりにいてもよかった。どうせステレオタイプをネタにしてるんだし、ステレオタイプなキャラを使っても全然イケそうな気がするのだ。
あと、不満ついでにいうと、ツッコミもちょっと食い足りない。予感した通りの単調なツッコミがきたり、狙いすぎて薄ら寒くなったりと、少々センスに欠ける。「ツッコミ芸」といえるくらいのインパクトが欲しかった、っていうのはあの顔芸の前ではわがままになるんでしょうか。
ちなみに、本命の中原麻衣だけど、いいよね、あれ。ああいう声色でもこなせるのかと。というのも、初見全く気づけなくてスルーしてしまった。メインらしき大方が出揃っても一行にでてこねぇ、後半から出てくるのかーとか考えてたらエンドロールで初めて気づいた。鹿島ってどいつだっけ、このおとこ女か、と聞き耳を立てると、たしかに自分の知ってる中原麻衣が一瞬現れる。調子いいこと言うようだけど中原麻衣の演技力の高さを改めて実感。やっぱいい仕事をするお方だ。随分前だけど光と水のダフネでのゲロ演技は圧巻の一言だったよ。そのときの確信を裏付ける演技を垣間見れただけでも満足。