どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
よさこい舞う少女たちの青春。王道な女子部活物、メインは成長物語
女子中学生たちが「よさこい」踊りでがんばる、女子部活物アニメ。
少女達がよさこいを通じて交流し、時にケンカしたり波乱もありつつ、懸命に頑張り成長する姿を描いた、王道な青春ストーリー。
少女たちの絆と成長を重視した物語だと思った。
結構重いシリアス展開も多い為、専ら日常系萌えアニメを期待している人には不向きかと。
また、絵柄が極めて独特で(個人的には可愛いと思うが)好みが割れそうです。
{netabare}『物語』
よさこいに情熱を燃やすアメリカ人少女ハナに誘われて、平凡な少女ナルがよさこいの世界に足を踏み出す。
まるで「妖精みたい」なハナの登場は、ナルにとっては非日常、違う自分に変われそうな、そんな予感を感じるに足るインパクトがあったのだろう。
そう思わせてくれる幻想的な導入に目を惹かれた。
※アイエエエ!ハナちゃんの身体能力がニンジャ並みナンデ!?
あにこれに限らず厳しい方が多い模様だが、私的には全く問題とは思わなかったです。
アニメはファンタジーだもん!細けぇ事はいいんだよ!というスタンスですので。
多分、ナルちゃんにとっての、非日常の出逢いの感動を、強調して見せる表現だったのでは。
実際、私はこの導入部を見て、本作に強く惹かれたです。
ここからの展開は正に女子部活物のお約束通り。
部員集めに時間が掛かるスローテンポな展開が特徴。
主要な少女それぞれに葛藤や問題を抱えており、素直によさこいに参加するには、ハードルを超えて行かねばならない。
この過程で多くの苦しい葛藤やギスギスした対立が生じる為、正直ちょっと観ていてストレスを感じてしまう。
※きらら系列だからと日常系萌えを期待していた人は、まずここで辛くなるかと。
ごちうさとは完全に別コンセプト、ごちうさ難民はむしろ「ろこどる」「ヤマノススメ2期」のが合ってます!
元気がカラ回りするハナ、中々集まらない部員。
引っこみ思案なナルがまず参加するまでにも葛藤があり、ナルが加わった後、お嬢様のタミお姉ちゃんも協力してくれる、その様子を見て気に食わないナルの幼馴染ヤヤちゃん…。
中盤若干だがドロドロした関係性は、やや少女漫画的だなと思った。
確かにストレスを感じる展開だが…
裏を返せば、彼女たちの仲の良さ、関係の深さの現れでもあり、つまりは百合萌えも感じられるという事!
ナルちゃんを巡るヤヤちゃんとハナちゃんの確執?っぽい流れは、結構萌えましたw
…それはともかく。
本作はメイン主人公ナルも含めての少女たちの成長物語の側面が強いと思った。
それぞれに抱えている問題が、よさこい部を懸命に立ち上げ頑張る過程で、よさこいを踊るという目標に収束していく。
「百合版中学生日記」的な感じ、ここらへんの少女たちの成長の過程こそが本作の見所ではなかろうか。
よさこい部の行く手は前途多難、様々な障害やトラブルを経て、最後のメンバーのマチちゃんも加わり(姉である先生との確執という問題を乗り越えつつ)次第に成長し、絆が深まっていく。
テンポが遅く日常回に尺を割いていない点も、これまでの前途多難な試練を乗り越える過程で十分絆は出来ていると思う。
タミとマチの生徒会コンビの関係は、よさこい部参加以前から描写されていたのも地味に大きい。
終始トラブル続きで中々気持ち良くよさこいに打ち込めない展開が続き、やや視聴にストレスは溜まる。
けれど、それらを乗り越えてよさこい部が結束していく姿は、文句無しに応援したくなった。
そして終盤の山場。
ハナが帰国して祭りに参加出来ない!?
ハナの分までがんばろう!
と思いきや、奇跡は起きる…!
ここからラストへの流れは極めてベタなお約束で先が分かってしまうのだが、それでも大団円では大いに胸を打たれた。
よさこいシーンがイマイチという指摘もあるが…
本作のメインはよさこいというより、よさこいを通じての絆と成長だと思う。
もし、ハナと出逢ったばかりの頃のナルだったら、果たしてハナを笑顔で見送れただろうか?
両親と一緒に暮らす選択をしたハナ、そのハナを涙を堪えて笑顔で見送る仲間達…の、初期からの成長ぶりこそが一番の見所なのだと思った。
総じて
基本プロットは実にベタで王道な女子部活物
テンポは悪く、重いシリアスも多くて気楽に楽しくは視聴出来ないタイプ
しかし少女たちの絆や成長は非常に丁寧に描かれている
ラストはベタだが文句無しの王道で感動する
一つの物語として見事に綺麗に完結させつつ、続きもあり得るラスト。
最後まで視聴して良かったと思える良作でした。
『作画』
極めて独特でクセの強い作画は、人を選ぶだろう。
この作画で敬遠する視聴者多数の模様なのが残念。
私も最初は戸惑ったが…すぐに慣れて、今では十分以上に可愛いと思えた。
表情やしぐさが魅力的で、素直な可愛さが存分に出ていたので、個人的には文句無し。
ラスト、よさこいシーンをしっかり描写しなかった点も評価下げる要因らしいが、演出的に十分満足。
無論、あそこでよさこい披露していれば尚良かったかも。
『声優』
新人声優多し、全員存分に持ち味発揮していたと思う。
ハナ役の田中美海さんはWake Up, Girls!(メイクアップガールズ)では一番キャラが立っていた「みにゃみ」役に続き、印象的な演技だった。
タミお姉ちゃんの大坪由佳さんは批判されがちだが…世間ズレしたお嬢様っぽさが出ていてむしろ良いと思った。
(ビビットグリーンの頃から、私には違和感とやらがサッパリ分からんです。何の問題が?)
『音楽』
本作一番の真骨頂。
OP「花ハ踊レヤいろはにほ」
ED「花雪」
共に素晴らしい名主題歌。
主題も作風も完璧!ああ^~心がぱぁーっとぱぁーっと晴れやかになるんじゃ^~
感動のラストで極めて効果的に活かされており、ベタでお約束とはいえ、グッと心打たれたです。
『キャラ』
金髪元気娘のハナちゃんが可愛かった。見ているだけで元気をくれる。
重くなりがちな本作を最後まで視聴出来たのも、ハナちゃんの可愛さによる。
女子部活物のテンプレなキャラ多かったものの、メンバーの中心として成長していったナル、ツンデレなヤヤ、ちょっと天然なお嬢様タミ、そして眼鏡ッ子生徒会長のマチちゃん可愛い!
少女たちを見守り支える大人の層が厚いのも好印象。
親や先生、海坊主たちが良い味出していた。
「ろこどる」とも共通するが、大人がしっかりしている作品は概して良作多いです。{/netabare}