青陽 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
残響な彼らが世界に遺した残響
テロル まとめ
戦後、復旧し高度成長を遂げても日本は敗戦国であった。アメリカよいしょ、虎の威を借る狐
それではいかん、独立をせねばならない!
軍事力をも凌ぐ優秀な人材を育成するアテネ計画。
対象となった子どもたちは無茶な実験により死に、しかもアメリカに見つかり計画はおじゃん。唯一の生き残りであるハイヴはアメリカ側に引き取られる。
その後、いつかの憲法改正を視野に入れて秘密裏に作られていた原爆が盗まれる
主犯はかつてのアテネ計画の残響、脱走した2人組ナインとトゥエルブ。
アテネ計画の首謀者、そして日本国に対する反逆。
残響のテロル…秀逸なタイトルだ。
OPの歌詞
「世界から弾き出されて」
「生まれてから死ぬまでに何をしたい?」
「最期に引き鉄をひいてやろう」
「冬が全てを覆う」
彼らが生きられる残りの期間は短かった
ナインが何度も口にしていた「おれたちには時間が無い」というのはアテネ計画により投与された新薬の影響なのだろう
ハイヴも未確認の症状を発症させていたし。
ハイヴが出てきてライバル登場かと思われたが、敵ではなく彼女もまた被害者。
このアニメにおける敵は日本、そして政府
「日本の皆さん、さようなら」なんと印象的なセリフ
放たれた最後の爆弾、誰にも止められない…?最終回どうなる⁇
最終話を観終わって…
途中で映ったビルの明かりが9の形になっていた!
3人がただただ遊んでいるシーンでたまらなく切なくなったのはおれだけかな…
けっきょく彼らがしたかったのは自分たちを世界から弾き出した日本政府の残酷な計画を明るみに出すこと。
そして
だれからも必要とされず、闇の中を生きてきた自分たちの存在を人々の心に強く残すこと。
無差別テロでも、日本を電子機器の無い時代に戻したかったわけでもない。
調べたら原子力爆弾を高高度爆発させると人工的にオーロラを発生させることができるらしい。
連続爆破事件に、核爆弾でのあの混乱。そして爆発したときの衝撃的な光景とその後の美しいオーロラ。
そして電子機器が壊れた不便な生活。これでは政府も揉み消すことはできないし
人々の心に
そして世界に
スピンクスの存在を大きく印象づけた。
なにより柴崎とリサ2人の理解者が彼らをずっと覚えていて墓参りにも来てくれる。
嗚呼、彼らのテロは成功したのだ。だからわざわざ最後に「残響のテロル 完」と大きく書いたのだろうね。
テロルがドイツ語だからVONもドイツ語の前置詞かと思ってたけど、希望という意味だったのか…
ナインはいつも希望を聴き、希望を求めていた。メッセージとして残したのは希望を欲していたからか。それとも自分たちが日本の闇を暴く希望になると表現していたのか…。
【OPED】
さすが菅野よう子と言いたくなる劇伴の素晴らしさとこの2曲のテーマ。OPは映像と合わさってすごいかっこよかった!その格好良さスタイリッシュさはおそらく今期1だろう。
歌はガリレオガリレイの人が歌っていたのか。全然気づかなかった
歌詞は上でも触れたとおりナインたちの覚悟を示したもの。世界に引き鉄をひくこの作品そのものだった。
EDもこれまた印象的。今期でもかなり気に入った。「誰か、僕にヒントくれないか〜♪」スピンクスからの挑戦状を考えながら思わず口ずさんでしまっていた。
歌っているのはAimer
ガンダムUCとかのテーマ歌ってた人だったかな?すごい印象的な声と歌い方でもっと色んな曲を聴きたくなった。
歌詞も意味深。頭上に撒かれたのは海でなく核爆弾でしたね。
全体的に歌詞から閉塞感を感じた。歌も嘆いているような感じだったし。9も12も5もリサも
翼を毟られてどうしようもない現実にもがいていたんだなぁ
衝撃的な出会いと別れがあった夏を越えて
リサは強くなれたのかな?あの家庭環境にも負けず強く生きてほしい。
大衆の評価として…
徐々に失速していった、などイマイチ評価が高くないのは何故か?
1話の衝撃
すげえことが始まりそうだという期待の幕開けに対して、テロを起こした事実の判明が収束として物足りなかったのだろう。
おそらく
人々に潜む無意識の破壊衝動が揺り動かされたから。
今の日本をぶち壊してほしい
という心の奥底にある気持ちが満たされなかったゆえの低評価なのかもしれない。
しかし、これくらい大規模なことをしないと政府の闇は暴けないんだなーと私は感じた。テロルの世界では日本政府の闇が明かされたけど、現実の日本ではいろいろ揉み消されてるんだろうな……ん?おっと誰か来たみたいだ
{netabare}
……佐川○便の兄ちゃんでした。ってことでいろいろ追記
ネットで感想を見たらガッカリするものが多かった。アニメの感想まとめサイト、特にTwitter
「飛行機が墜落して人が死んぢゃっただろうし彼らを認められないよ」
「医療器具が必要な病院の人は死んじゃっただろうから死人ゼロじゃないだろ」
とか、もうアホかと…。本当に最終回を観てたのかと小一時間問い詰めたい!
ギリギリのところで飛行機の全着陸が確認されたって報告が入るシーンあったし
交通省などを通して医療機関や交通機関に連絡させるよう指示してるシーンもあったじゃないか。
米軍の戦闘機は干渉を受けないよう設計されているわけだし
ナインが音楽プレーヤーを電磁バルスから守るケースに入れてあったんだから対策は取れるということ。
そういう医療器具を用いている病院は日常でも停電になったら困るわけだし、医療機関が何の対策も準備してないわけがないだろう。
病院では死ぬ人も出るんじゃとか思い批判するくらいなら何故ここまで想像できないのか。
彼らの軌跡を振り返ると
・核爆弾を盗んだときと同じVONというメッセージを残して、後のテロ行為の犯人が核爆弾を盗んだ人物と同じであることを示し、自分たちの危険性を教えて注目を高める。
・アテネ計画に関与してた人物に関係する建物を狙ってテロをする。わざとなぞなぞを出して挑戦状を送ることで、知識があり事象と事象を結びつけられる推察力の高い人物を求め、自分たちのメッセージを読み取れる信頼できる敵を探していた。
…ということは
ナインたちも本当は核爆弾を使いたくなかったはずだ。
できれば逮捕され記者会見で本人が話すことで事実を明るみに出したかった。
しかし、計画は邪魔されてしまう。
残された時間が僅かな彼は
最終手段として原爆を空へ舞わせたわけだ。
頭脳明晰なナインが高高度核爆発の被害を想定しなかったなんてことはありえない。
自分たちができる限り死者を出さないようにしていることを気づいてくれる人間がいたから…
数々の謎解きや空港での協力を経て、柴崎という刑事が信頼に足ると判断したから
核爆弾を打ち上げる準備をしておいたのだろう。柴崎なら彼らの真意に気づいてくれると信じて…
全てが積み重なった結果。だから
全11話の中に
彼らが生きたひと夏に
無駄な部分なんて無かったんだよ
{/netabare}