ひげ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ある種のエポックメイキングとなりえる名作
一般人がまっとうに評価するならば同じ頃の『まどか』以上の超クオリティー。金も手間も半端ない。そのかわりクセも個性もないし、アニメ的な美学もかっこよさもない。
意味深な伏線、怒涛の展開でもべつにないわけで、1話見逃したってなんとなくわかるくらいシンプル、お約束。
だからこんな予定調和なお話で気になるのは終盤どうお話を畳むのかってことのみ。
BDが売れるとも思わない。キャラのフィギュア化の要望がたくさんでるとも思わないw。
まったくターゲットが別次元である。ノイタミナ的に一般人、R16、18というのが対象であろうか。こんなパケ絵でオタクを釣り上げつつも、本質は万人向けでオトナ向け。
ネタはすべて既存の使い古されたものばかり。
『女』というものを描く点ではまさに朝ドラ。
古い朝ドラがおばーちゃん、90年代までのが母ってことか。
テーマ自体は少女の社会進出、成長物語、と完全に魔女宅であり千と千尋。
雰囲気、展開は『ららら』が流れてきそうな往年の名作ドラマ達のもの。
しかしながら聖地巡礼のしがいがありすぎる、実写ベースにしつつも手の入った空想だからこそ美しい背景。
キャスティングというかどちらかというと演技指導だろうか・・あの3人のヒロイン内2名のうるさくてウザいけど愛おしく思える演技がうますぎる。女将のスイはもちろん神演技。
実写だとあざとい、わざとらしくてできないからか、ここらへんもいろはがアニメである必然性なのかな。
でも肝心なところは顔で語るんですねぇ・・。最終回も涙腺崩壊狙いの美しい演出かと思いきや・・・・。染みる・・。渋いんです。
ただ、岸田先生を使った以上萌えアニメのファンのハートもキャッチしなきゃいけない、サービスシーンが非常に多いのが笑えます。
それもご愛嬌。販売促進。一昔前のドラマの定番といえばそうだし、温泉旅館モノだしね。湯気から枝からよく仕事してます。
とにかく脚本、演出、配色、シリーズ構成と抜かりがありません。
丁寧に作るだけでこれだけのものができてしまうことに感動。
実際に実写ドラマスタッフもかかわっているので昼ドラのようといわれますが絶対に実写では出せない独特のオーラ纏っています。
2次元であるからこそ、なぜか出てくる不思議なリアリティ。
アニメの新しい世界を開拓したといってもいいんじゃなかろうか。もしくはこの手のアニメの集大成というべきなのか。
個人的には視聴者自身へぼんぼらなきゃってメッセージを与えてくれた最終回の締めは御見それしましたのひとことしかでない。ほんと前半で背景人物紹介、後半から最終回までのお話の進め方は最近の作品では一番よかったかも・・・。
前述のようにすごい!ってお話ではないのですがあっという間に時間が経ちます。
かなりのお気に入りなので言いたいことは『しばらくは続編作るな』ですかねw
追記 新作映画がサイドストーリーのようで安心しました。多少はその後の描写があるってもしかたがないかもしれないけど、そうでないとね。せっかくの作品にドロを塗るような真似はさすがにしないようで。