「ROBOTICS;NOTES [ロボティクスノーツ](TVアニメ動画)」

総合得点
77.5
感想・評価
1707
棚に入れた
8771
ランキング
618
★★★★☆ 3.6 (1707)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ネタバレ

オキシドール大魔神 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

主人公が普段は冷めているからこそ

 『CHAOS;HEAD』『STEINS;GATE』に続く、5pb.とニトロプラスのコラボレーション企画「科学アドベンチャーシリーズ」の第3弾をアニメ化した作品。
 自分はロボットものがあまり好きではないが、この作品は素直に楽しめた。
 まず、第3話。ぶっちゃけちゃっちいタネガシマシン3改で決勝まで行き、ミスタープレアデスと善戦したのが良かった。主人公の、同人ゲームで世界ランク5位という設定が活かされ、俺つええが発揮されていて良かった。3話ラストでは屁理屈をこねてロボ部を存続させるところや、ヒロインの性格を熟知している主人公が予め日高を呼んでいたのも良かった。それからは日高の頑固なお父さん問題の解決、14話でのロボット大暴走を止めるためのキルバラ勝負も良かった。
 16話で、物語は大きな転換点を迎える。大事故発生によって細谷が重傷、淳和は精神ダメージを負い、ロボ部は廃部。極め付けにみずかさん死亡と鬱展開。17話で、それでもロボを作り万博出場を諦めないヒロインに対して、主人公はキルバラで喧嘩を吹っかけ、わざと負ける事でヒロインにとことん付き合うという展開がまたよかった。19話では、万博出場も、ヒロインの姉の手によって荒らされ、今度の今度こそ、ヒロインが完全に落ち込む。自らの夢を諦めてしまったヒロインに、主人公も一度は失望して何も言えなくなるも、その後、ずっとやりたい放題やってきたヒロインの姉にいい加減ムカついている。だから見返してやろうよ!と思いの丈を吐き出す。もうこういう落ち込んでいるキャラに発破をかける展開は大好き。
 20話からはもうご都合の連続。だけど熱い展開。何かあった時に学校の責任と言い張る為に、ロボ部を復活させて入部届を出しなさいと粋な教頭、ヒロインの姉に対抗するため、島民総出でロボを作り直すなど。21話では、無茶をして死ぬかもしれない主人公を思って、ここにきて尻込みするヒロインに、絶対死なないと約束する主人公。ロマンチックの欠片もないものの、主人公らしいしれっとした告白、そこからの見てて恥ずかしいくらいの甘酸っぱいキスシーンまでの流れからの、フラウによる「リア充爆ぜろ」の魂の叫び。
 極めつけの最終話。いよいよヒロインの姉との頂上決戦。スペック差は歴然な上、今回の敵ヒロインの姉はゲーマーとしても格上。圧倒的に不利な戦いを、ARデコイや主人公の体質(というか後遺症)スローモーを駆使して、何とかまともな戦いを繰り広げる。姉の中にいる君島を追い出すためにポケコンの再起動が必要で、一時的に主人公が行動不能になり、その時間をヒロインが結果的に稼ぐことに成功。戦いの中で外部からの電力供給が断たれ、主人公側は制限時間が5分しかないため、チキンプレイをすれば自動的に姉側の勝ちという状況で、主人公はボロクソに挑発する。ヒロインの叫びに主人公の挑発により、一時的に乗っ取られた意識を取り戻すヒロインの姉。最後の激突の際に、体に大きな負担がかかるスローモーを三度使用。そして、「4フレ右に避けるんだよおおおおお!」と姉のクセを見切りガンツク1の渾身の一撃を決め、決着。君島コウをデリートし、大団円となる。
 物語の総評として、3話での俺つええ、14話での主人公の頑張り、16話から19話の鬱、立ち直りの波のある展開、20話からご都合ではあるものの熱い展開(そもそも自分は筋の通った展開より、熱くするためならばご都合のほうがいいと思うタイプ)、全編暗いカオヘや、大学生や大人が中心なシュタゲと違い、「少年少女たちの夢と青春」を描いた正当派の群像劇として良作と言って差し支えない。シュタゲも完成度は高かったし、熱いシーンも散見していたが、個人的にはこちらの方が瞬間最大風速は高いし、素直に楽しめた。まあ唯一の不満点はキャラ退場くらい。そのキャラ退場がのちの展開に活かされていたとも思えなかったからなおさら。
 物語の最後、宇宙飛行士は主人公で、ガンヴァレルの肩に乗っているのはヒロインなのか気になるところである。
 
 続いてキャラについて。ロボノでよく叩かれがちな点が、主人公が性格悪いとか冷め過ぎなどだ。それはそうなのだが、なんだかんだ言って最終的にはヒロインの言うことは聞くし、割と行動も起こしている。何より、普段が冷めているからこそ、19話でのヒロインへの激励シーンなどが際立つ。また、良くも悪くも主人公の態度は一貫している。
 
世界を救う戦いだと、誰かが言った。
おまえたちに全人類の希望がかかっていると、誰かが言った。
でも、俺にとっては。そんなこと興味なくて。
これは所詮、自分の中の衝動をみたすためのもの。
それが不謹慎だと言われようと、構わない。きれい事じゃないんだ。
興味があるのは、ただ、全国ランキング1位のヤツを倒して、その頂点 全一になることだけ。
その先にあるもの? その先なんて、なにもない。なにもないんだ。
それでも。いや、だからこそ、求めるんだよ。
だって俺は・・・ 英雄でもなく。 軍人でもなく。ロボットアニメの主人公でもなく。

格闘ゲーマーなんだから。

 上記は最終決戦の前の主人公のモノローグだが、要はそういう事だ。世界を救う戦いだとか、そんなのはどうでもよくて、全国で一番、つまり全一になりたいだけだと。全一になるのに意味なんてない、ただの自己満足。不謹慎だと言われても関係ない。格闘ゲーマーとして勝ちたい。このスタンスは14話でのキルバラ勝負でも見受けられる。もっとも、これらは全面的に受け取るようなものでなく、フラウや世界を救う建前というか、照れ隠しのようなものもあるかもしれないが、それでも割合としてはゲーマーとしての意地が大きく占めているのだろう。このスタンスを不謹慎、ゲーム中毒と批判的に見る人もいるかもしれないが、何であれ一貫して潔いという点では、自分は好感が持てる。
 また、ただのゲーマーではなく、ヒロインの事も大事に考えているのが所々で見受けられる。17話でキルバラ勝負においてヒロインにわざと負けるところなんてその典型。回りくどいと言えばそれまでだし、捻くれているのは確かだが、本質的には王道的な主人公とそれほど変わらない。最終話ではキルバラをアンインストールして、次のステップに進もうとしているなど、成長も窺える。
 次にメインヒロイン、瀬乃宮あき穂について。元気過ぎるのと、一人称が「うち」で若干鬱陶しいが、近年まれに見る程の情熱的で前向きなところは高ポイント。空気は読めないが性格は良いし、普通にかわいいし、髪下ろしても可愛いし、21話からのヒロイン力は高いし、かなりの良キャラ。
 あとはまあ、基本的には不快になるようなキャラもいないし、ゲストキャラのなえちゃんも正当に成長してそこそこ活躍してよかったですねというくらい。14話でのフラウちゃんは可愛い。
 木村良平とナンジョルノはハマっていた。名塚の演じ分けもさすが。
 OPは、前期後期ともに曲はなかなか。映像は前期が中の上。後期が上の下。特に後期OPのサビからの映像は楽しそうで羨ましいと思うレベル。

 ノイタミナじゃなかったら24話から26話くらいまでやれたのかなーと邪推してしまう。サブタイトル「ここからは、俺達のゲームだ」はツボだった。

投稿 : 2016/07/08
閲覧 : 430
サンキュー:

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