どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
和風魔法少女+サイコホラー+摩訶不思議世界観。マイナーだけどもっと評価されてほしい
「うたわれるもの」と並ぶ、初のUHF(独立放送局)アニメ。
「夢使い」と呼ばれる和風の魔法少女(青年もいるけど)が、悪夢(悩み持つ人から生まれる怪物)と戦って、悪夢に囚われた人々を救っていく感じのストーリー。
和風魔法少女とでもいうような摩訶不思議な世界観と、人間の心の闇にスポットを当てた結構ダークな展開が見所。
※2014年9月時点でレビュアーが私含め実質2人しか居ない、ドマイナーアニメ。
結構面白いのになぁ…
{netabare}『物語』
「現実(うつしよ)は夢、夜の夢こそ真実(まこと)」
童遊斎(わらべゆうさい)オモチャ店という玩具屋(と見せて、摩訶不思議な呪物沢山置いてある店)の店主の17歳の美少女・三島塔子とその妹の三島燐子は「夢使い」である。
夢使いは、人々の心に潜む悪夢(人のネガティブな心が具現化した怪物というか、現象そのもの?)と戦い、悪夢を夢へと還す事で、人の心を救う役目を持っている。
そんな塔子たち夢使いの活躍を描いたストーリー。
ジャンルとしては一応「変身魔法少女物」に当たるだろうか。
しかし魔法というよりは機械や呪術や巫女、陰陽道諸々を融合させた、和風テイストの摩訶不思議な独特の戦闘スタイルが特徴。
非常にユニークなので一見の価値があるも、ちょっと変わり種過ぎて初見の人は戸惑うかも?
世界観はまるでオモチャ箱をひっくり返したかのような、夢と現が混乱してくるような不思議な感じ。
この独特の空気感というか雰囲気は、結構人を選ぶかも知れない。
人の負の感情が具現化した敵と戦う、後の作品では「夢喰いメリー」「ハートキャッチプリキュア」「しゅごキャラ」等の系譜かも。
ただし、原作が成人誌(月刊アフタヌーン)な為か、かなり踏み込んだダークな話も多い。
単純にバトルで悪夢を倒せば良いのでは無く、まずは依頼人の心の闇を知り、それをちゃんと解決してケアする事も重視している感じ。
中々ハートフルなエピソードがある一方、かなり重く深刻な話もあるので、あまり気楽には視聴出来ないタイプのアニメ。
ハイライトは終盤、ヒロイン・三島塔子自身の過去のトラウマが最強の悪夢を生んでしまう。
父に愛され、自分が幼い時に死んだ父を愛していた塔子。
なんと、愛する父を殺めたのは、父への禁断の愛を暴走させて悪夢を生んでしまった幼き日の塔子自身であった!
…父娘の近親愛!?しかも幼女のヤンデレ!?
前代未聞な重ーーーい愛の悲劇には、ただただ唖然とした。
辛い記憶に囚われる塔子を、妹の燐子や仲間たちが必死に助ける。
蘇る父の言葉…
(禁断であっても、人が人を愛する事は止められない)
(その想いは受け止められないけれど、愛する事は決して悪い事じゃないんだよ)
妹や仲間の助けも経て、父への想いを受け止めた塔子は悪夢を倒し、夢使いとして、これからも人々を悪夢から救う戦いを続けて行くのだった…。
塔子さん、切ないです。
父娘近親愛しかも父殺害というトンデモな重い展開、しかしラストは父への想いをちゃんと受け止めて前へと進める、良いラストでした。
『作画』
マッドハウスが手掛ける作画は安定感あり。
一風独特の画風と雰囲気で、一般的基準の良作画かは微妙。
だが個人的には好きです。
本作独特の雰囲気も出ていたかと。
バトルシーンは正直、本格派の魔法バトル物に比べて見劣りする感も。
個人的には好きなんですが、作画評価はやや落ちるかも。
『声優』
ヒロインの三島塔子は川澄綾子さん、妹の燐子は真堂圭さん。
新入り夢使いの茶川三時花(さがわ さとか)は能登麻美子さん。
関智一さんと久川綾さんも。
豪華声優陣で全員本領発揮の好演だった。
特に真堂圭さんの幼女役はかなりハマリ役。
また川澄綾子さんは、ラストのヤンデレ演技が超怖かったですw
『音楽』
OP「夢迷宮〜光と闇のダンス〜」
ED「鼓動」
共に本作のテーマを完璧に捉えつつ、幻想的で美しい名曲。
かなりマイナーな本作ではあるが、名主題歌です。
また作中BGMも優れており、本作特有の摩訶不思議な雰囲気をしっかり演出している。
音楽面では高評価。
『キャラ』
三島塔子さん(さん付けしたくなる好きなキャラ)超可愛いです。
17歳にしては大人びているというか世間ずれしている世捨て人っぽいお嬢様。
人々の心の闇を静かに見つめる神秘的な美少女だった。
(アニメ史上類を見ない、ファザコン・ヤンデレという危険ヒロインでもあり)
妹の燐子ちゃんも可愛い。
9歳にして超しっかり者の天才児!元気一杯に変身して戦う姿は超キュート!
三時花ちゃんもちょっとドジっ子で可愛いです。
29歳の美青年にして「12歳以下の女の子にしか興味がないロリコン」橘一(たちばな はじめ)も面白し。
いやロリコンなんだけど、結構カッコイイ一面もあったり。
『追記・原作との関連について』
本作は「謎の彼女X」(2012年度アニメ化)の植芝理一先生の漫画が原作なのですが、原作漫画とは完全に別物です。
原作読者としての推測ですが…
『アニメは、原作漫画の前日譚』なのでは?と推測します。
まず、アニメの塔子は「右目でしか泣けない」、これは父への想いがトラウマとなっているからで、最終話で、両目から涙を流せるようになった(父への愛という呪縛から解放された?)ラスト。
原作漫画では第1話から右目でしか泣けない設定が無いので、おそらくはアニメ最終話のエピソードを経て塔子が成長→原作の更に大人びた塔子に繋がるのでは?
また、原作漫画の三時花(さとか)ちゃんはかなりのしっかり者で殆どミスをしないのに対し、アニメでは新人っぽくてドジっ娘。
おそらくはアニメ時点では新人でミスが多く、アニメ後と思われる原作漫画では経験積んでいるのでは?
…以上は勝手な推測で、もしかしたら関係無いかもです。
原作ファンとしては、原作通りのアニメ化も観たかった気がします。
(原作通りだとグロ過ぎて放送出来ないかも?)
けれど、アニメ版夢使いも良い作品でした。
あにこれに限らずマイナーアニメだけど、少しは多くの人に観てもらいたいです。{/netabare}