れのん。 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
とても楽しいラブコメ風味のギャグアニメ ・ キャラが魅力的
原作未読
2014年夏、放送。
制作は動画工房。
少女漫画家、椿いづみの4コマ漫画原作。
話が進むにつれ、さすが4コマ原作で、ラブストーリー要素より、ギャグ要素が強まってくる。きらくにみれる。テンポがよく、おもしろいので、最終話まであきることなく視聴できた。作画がすぐれていると思った。
とりわけ、ヒロイン佐倉千代のキャラデザインが、魅力的で可愛い。千代は、ちょっと応援したくなるほど一途に主人公野崎くんに恋しているが、背が低い。野崎くんはとても背が高いから、この二人はたいへんな身長差である。{netabare}千代が、野崎くんとの初デートでわくわくしているシーンがあったが、二人の歩幅はぜんぜん合わない。野崎くんは歩くのがはやすぎるのだ。「ちょっとは千代に気を遣えよ」と、漫画脳の野崎くんにあきれてしまうから、身長差がみごとなギャグになっている。{/netabare}
野崎くんは高校生だが、同時に、売れっ子少女漫画家夢野咲子である。この作品では、少女漫画家の世界についてのエピソードや、漫画家の視点から見た話が多い。学校の様子や季節の行事についても、しばしば、漫画家視線でみられている。自分にとっても、これまで考えたことがなかったり、知らなかったりした、漫画業界の話がかなりあっておもしろかった。
声優については、主人公野崎くん役の中村悠一さんは、とても声がよく、声の良さそのものが、ギャグの要素になっていたように感じた。
ヒロイン佐倉千代役の小澤亜李さんは、主役は初めてだと思うが、とても好感の持てる演技だった。千代がとても魅力的なキャラになったのは、キャラデザインだけでなく、小澤亜李さんによるところが大きいと思った。ただ、ときどき、セリフが聞き取れない or 聞き取りにくいときがあったように感じたが、自分の耳がわるいのだろうか。
この作品のギャグは、むちゃくちゃ笑えるものも多かったが、感性的に自分には、どこがおかしいのか、ちょっとついていきにくいものもあった{netabare}(4話 野崎のうさぎギャグ、8話 堀部長をお姫様だっこした鹿島が馬になったり牛頭になるギャグ、10話 野崎が演劇の代役を務めたとき、クマのぬいぐるみを着る話など){/netabare}。
また、ギャグは意外性が大切だと思うが、視聴していて落ちがよめてしまうことが、わりとあった{netabare}( 例えば、9話。雨で制服が濡れてしまった千代に、野崎くんが「服を脱いだ方がいい」というシーン。千代はあわてるが、ここでは、野崎が千代にセーラー服を着せてモデルをさせようとする落ちだと、よめてしまう ){/netabare}。
このアニメの、他のアニメにない個性的なおもしろさは、野崎くんが描いている少女漫画「恋しよっ♡ 」の虚構世界と、主人公やヒロインなどキャラたちの現実世界を、物語がいったりきたりするところだと思う。アニメの中で、野崎くんが描いている少女漫画がしょっちゅう出てくるのが、リアルでもあり、ギャグにもなっていた。
ラブコメとして佐倉千代と野崎くんがいい雰囲気になると、ほぼ必ず、ギャグ落ちになってしまう^^ ギャグや、漫画家ネタ・個性豊かなキャラたちの人間関係などがメインの作品なので、ラブコメとしてのストーリーが進展しないのは、しかたないのだろう。恋愛が進展してしまうと、別のアニメになってしまうということだと思われる。それはわかるのだが、ヒロイン千代のキャラが、ギャグアニメとしてはあまりに可愛すぎ、明朗快活、元気で一途なので、みていて応援したくなってくるから、どこか、わりきれない気持ちになってしまった^^
ときには、二人がいい雰囲気になって、少しラブコメっぽい話になってほのぼのすることもある。{netabare}
11話はその例。 千代は、野崎くんといっしょに昼食を食べられるのがうれしくてたまらない。しかも、昼食は野崎くん作の特製カレー弁当で、さらに、野崎くんは千代のために、お茶、おかわり、デザートも用意して至れり尽くせり。有頂天の千代だが、さすがにここらで我に返って、「もうちょっと、がんばれよ、私!」^^
さらに学校からの帰り、野崎くんに「いっしょにかえってもいいか」とさそわれた千代は、どうせ、漫画の素材のためのどっきりがあるのだろうと身構えているが、家につくまで何事もおこらない。不審に思った千代がなぜさそったのかときくと、野崎くんは、「なんでって、いっしょに帰りたかっただけだけど?」と答える。{/netabare}
ラブコメとして当たり前の展開が、このアニメではめずらしいので、千代にとっても視聴者にとっても、新鮮でなのである。
キャラや人間関係は、おもいきり、ギャグやアニメ全体の雰囲気を楽しめるように設定されている。野崎くんは、女子力も高く、料理もうまい。親も家族も同居していなくて、一人住まいだ。まあ、多くのアニメ・漫画で言えることだが、野崎くんは、いくらなんでもこんな高校生がいてたまるか、というようなキャラである。ただし、彼は、少女漫画のパターンとしての恋愛には詳しいが、現実の人間関係をいつも自作の少女漫画をとおしてみてしまっており、そこがとてつもなくおかしい。野崎くんは、リアルな人間理解力が著しくおとっている少女漫画脳のもちぬしなのだ。
{netabare}「俺なんて、初恋もまだだしなぁ!」・・・・、少女漫画家になるには、リアルな恋愛経験は必要ないらしい(1話)^^{/netabare}
これでは、いくら千代が一途に恋しても、野崎くんに振り回されてギャグになってしまう。
{netabare} 例えば1話。千代が野崎くんに、「最初は背の高さと男らしさに惹かれて告白したんだけど、気づかれなくて、でも話す機会は増えて、でも便利屋くらいにしか思われてなくて・・・」というと、野崎くんは、「そんなやつのどこがいいんだ?」とこたえる。爆笑ものだ^^ {/netabare}
脇役も、個性的でおもしろい。{netabare}たとえば、瀬尾 結月と若松 博隆のカップルのエピソード(10話)。B級映画への反応をみると、瀬尾は、完全におかしい^^ 「学園の王子様」鹿島も、存在自体がギャグというようなキャラだ。鹿島と堀演劇部部長のエピソードもおかしい^^{/netabare}
12話(最終話)
{netabare} 夏祭りの描写。
祭りを見下ろす夜の暗い公園のジャングルジムで、野崎くんと千代は、いい雰囲気になる。千代は、浴衣姿。花火があがる。典型的なラブコメの最終話のように、一見、みえる。
千代は、野崎くんの横で、入学式 & 野崎くんと出会って以来のさまざまなことを回想する。「 ぜんぜん関係は進まないけど、私、どんどん野崎君を好きになってく。きっと、ただの友達と思われてるんだろうけど、でも私、野崎君のこと、ずっとずっと好きだよ」・・・、モノローグのつもりが、声に出して千代はいってしまったらしい。野崎くんが千代の顔を見るので、千代は、「どうしよう、きこえちゃった?」と顔を赤らめる。野崎くんが何か千代にいうが、花火で聞こえない。 ed をはさんで、千代は、「え、なに?」と野崎くんに聞く。そこで野崎くんは、口をちよの耳元に近づけて、普通の声で、「俺も好きだよ、花火・・・」・・・また、ギャグ落ちである^^
しかし、千代は落胆することなく、笑う。「ありがとう、いっしょにいてくれて、いまはこれでしあわせだよ」
野崎くんはいう、「次のネタは花火だな」
千代 「うん!」(ちよちゃんの明るさと健気さに、みてるほうが、ちょっと泣きそうかも^^) {/netabare}
いや、このアニメとしては、最高の終わり方ではないだろうか。もちろん、千代を応援している視聴者にとっては、ちょっと、わりきれない気持ちもあるのだけれど。