音乙 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
観る機会に恵まれなかった良作
2期前半11-12話に該当したはずの話。
特別番組として編成されると、それこそ放送数分前に知って慌てた覚えがある。多分見落とした人も多そうなので、2期直前にされるという再放送を勧めたい。
原作中でも重く救いもあまり多くない作品。
いつもの蟲師ワールドで評価が代わり映えしないのはご容赦いただきたいが本当にこの古い朴訥とした世界観が好きだ。
無音という効果音がこれほど許されている映像作品も少ないと思う。
ただ今回珍しく気になったのは作中で幼少期の回想があるクマド。
かなり長い期間ある場所で生活していたのは分かるのだが、その期間での作画は丁寧に月日を重ねるものの、声が惜しいことに対応していない。
少年から少し大人へ、その変化を幼少を演じられた西田さんという方にもう少し演じて頂けなかったものかなという点はある(ただ1~3年程度の差を他の声優さんを用いると同じ人間なのに異なる印象が出てしまうのも事実なのでここは難しい所だろう)
逆に現在のクマドを演じた三上さんの角度角度による変化は素晴らしかった。
そして追うものの大きさと難儀さ故に一族に負わされた業の深さと悲しさは淡々とした中でも十分恐ろしさを持って理解する事が出来た。
本当に惜しむらくは前半の終了にこれほど最適な話もなかったろうに、ということである。
{netabare}
「クマド」の有り様は人間としての極地にある「自分」とはどうやって形成されているものなのか。
そして「中身」が抜けてしまうたびに入れ替えられる人造の蟲師という業は悲しいとか非道とか割り切れるものでない重さもあり、善も悪も割り切れないもやもや感をよく描きだしている意味でこの作品は好きだ。
淡幽が友人のこの事情をいつか知ることがあるかもしれないと思うと本当に「禁種の蟲」に絡む人々は幸せというには難しい境遇に切なくなる。
{/netabare}