「TIGER&BUNNY [タイガーアンドバニー](TVアニメ動画)」

総合得点
87.4
感想・評価
3364
棚に入れた
17310
ランキング
156
★★★★☆ 4.0 (3364)
物語
4.0
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
4.1

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ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

おっさんホイホイ

ヒーローものの主人公というのは大別すると3種類くらいに絞れます

ひとつは「共感型」
いわゆる等身大のヒーローというやつです
主人公の欠点や無力さの描写に力をいれて感情移入させ
努力や仲間との絆で壁を乗り越えていくタイプです
本作ではワイルドタイガーこと鏑木虎徹がこのタイプ

もう一つが「憧憬型」
物語の最初から実力をもっているエリートタイプのヒーローです
どちらかと言うと同性より異性受けがいいのが特徴で
嫌味になりすぎないように悲劇的なバックグラウンドが用意されていたりすることも多いです
本作ではバニーことバーナビー・ブルックスの担当です

最後は「変身型」
「共感型」の主人公が変身によって一時的に「憧憬型」のようなスーパーヒーローになる形
強力なヒーロースーツや時間制限のある強化能力など
本作にもこのタイプの要素も盛り込まれてはいますが
物語の構成の仕方としては前に挙げた二つのタイプを主軸としています

今回、特筆すべきは主人公である鏑木虎徹
失敗ばかりでも心の中には正義の炎を灯し続けているワイルドタイガー
明らかに「共感型」のヒーローとして作られているのが分かります
しかし、「共感型」のヒーローは基本的には10代の少年少女
なぜなら、アニメ制作会社の想定するコアターゲット層がそのくらいの年齢だからです
それに対して虎徹は30代バツ1子持ちと
およそ子供たちの共感を得られるとは思えない設定
自分の理想とする仕事と会社から押し付けられる成果主義、商業主義のギャップに苦しみ
仕事に打ち込む毎日の中で愛する家族とは疎遠になっていくばかり
日々劣化していく自分の能力と成長目覚しい後輩たち・・・
これはどう考えてもティーンズの共感を誘っているものではありません
虎徹の姿に共感を覚えるのはもっと上の世代
狙い撃ちされているのは昔漫画やアニメで育ったサラリーマンのおっさんなのです

キャラクターデザイン桂正和というところからも狙っている客層が伺えます
電影少女が少年ジャンプのお色気担当として異彩を放っていたのはもう20年も前の話
今でもヤングジャンプで連載を持ってはいますがこちらは少年誌ではないですし
今の少年少女は桂正和の名前すら知らないかもしれません

もともとサンライズ内部でもあまり力をいれていないプロジェクトだったと聞いています
ティーンズをコアターゲットにした作品は巷にあふれかえっていますから
敢えて限られたパイの奪い合いから抜け出して
ニッチなマーケットを開拓しようという狙いがあったのでしょう
これでは数字は出ないだろうと保険的に実在企業のロゴ入り広告も導入し
円盤を売る以外の利益の出し方を模索していたわけですが
しかしこのアニメがニッチどころの騒ぎではなく大当り
最初に広告をだした企業もまさかここまで当たるとは思っていなかったことでしょう

ストーリー展開はよくも悪くも王道
先が読めるところも少なくありませんでしたが
変にサプライズを狙ってコケるよりもずっといいでしょう
王道展開というのは万人に受け入れられやすいからこそ
いつまでも使われ続けているのですからね

ラストも無難にまとめられていたと思います
しかし敢えて作品内で完結させずに色々と伏線を残し
次回作に引っ張るというやり方はあまり褒められたものではありません
予想外に人気が出たのでこれを使ってもっと稼いでやろう
という下卑た思惑がくっきりと現れてしまっているのは
なんともいただけないものがあります

しかしながら王道と凡庸は紙一重ですから
期待されずに始まりこれだけの人気を博した今作の続編が
多方面からの期待を一身に受けてスタートした結果大コケ
一期できれいに終わらせておけば・・・
なんてことにならないことを祈っています

投稿 : 2011/09/26
閲覧 : 442
サンキュー:

28

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