どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
主人公が弱いロボで、超強いロボに作戦勝ち無双するロボットアニメ
2014年度に注目度バツグンだった、オリジナルロボットアニメ。
主人公側がリアル寄りの普通のロボット兵器で、敵側のチート性能なスーパーロボット相手に作戦勝ちしていくのが一番の見所。
政治的要素は薄め、主要三人+地球火星双方のキャラ達の(やや薄めの)群像劇だった。
ラブコメというかロマンス要素も意外に薄く、イナホ無双を淡々とお楽しみ頂くアニメか。
{netabare}『物語』
時代錯誤な貴族主義の火星帝国の過激派?が地球に侵攻、平和を願う火星の姫を狙ってきたり、姫を守る形で地球の学生(軍事訓練受けている半ばプロ)達が応戦していく。
火星の姫アセイラム、姫を慕う元地球人の火星の少年スレイン、そして地球の学生にしてある意味完璧超人なイナホ(彼が戦力差引っくり返して無双する)の三人を軸に、戦争ドラマが紡がれていく。
圧倒的科学力の火星が侵攻、火星のお姫様は平和願っていたが開戦してしまう…
最初はターンAガンダムを思い出す設定だと思った。
しかし火星帝国の歴史の浅さにまずビックリ(元科学者が初代で姫様は孫かよ!?)
1話でいきなり開戦に至る流れはテンポ早いが、火星の歴史の浅さもあって、些かバックボーンの底が浅い印象も受けた。
(50話アニメと2クールアニメでは単純に比較は出来ないが)
一見スケールの大きそうな話だがその実、火星騎士を一人ずつ迎え撃つ地味な展開が続く。
とはいえイナホの頭脳戦の面白さで毎話十分以上に引き込まれた。
後に「火星はオーバーテクノロジー遺跡の発見で超技術得ているが総合的国力は低くて貧乏、豊かな地球に羨望と憎悪を抱いている」事が判明。
なるほど、一見ターンAかと思いきや、物語の構造が全然違うっぽい。
地球側の主人公イナホがあまり感情を見せずに淡々と無双、あまり思想色が無く、その分純粋にバトルを楽しめた。
戦う動機的には、イナホ達地球側よりも、後半以降はザーツバルム卿ら火星騎士の方に説得力を感じた。
火星の民間人の少女ライエがアセイラム姫に屈折した感情爆発させる辺りで、ザーツバルムの本性暴露以前に、本作の構図が何となく掴めた。
弱い(弱くもないだろうがリアル寄りの普通のロボット)で敵の超チートロボットに作戦勝ちしていくのが面白かった。
一見チート過ぎる敵メカの弱点を的確に分析して勝っていくのは爽快!
作戦勝ち得意な主人公と言えばコードギアスのルルーシュみたいだが、コードギアスはまだ双方が互角の機体で戦っていたのに対し、本作は完全に非対称戦。
ちょっと珍しいタイプの主人公無双で興味深い。
イナホは頭脳・技量共に強いが彼一人の無双ではなく、ちゃんと仲間達の活躍もあったのが好印象。
一番最初の敵(キノコ頭の人w)が一番強かった気もするが、他の敵も決して弱い訳ではない。
最初に強敵持ってくる事で、まずは本作のスタイルがはっきり分かったし、構成としては良かったと思う。
人間ドラマとしては、メイン主人公であろうイナホがあまり感情出さず淡々と戦っていた感じ。
地球側はそのイナホを軸に各々のキャラが良い感じに活躍。
しかしマリト大尉は過去のトラウマに苦しめられ、最後まで活躍出来なかった…。
火星側のもう一人の主人公スレインがアセイラム姫の為に奔走するも、非常に辛い立場、果たしてどの時点で物語に絡んでくるか注目していたが、中々合流出来ず。
スレインの立ち位置が(良い意味で)終始不安定、彼が関わる時に物語が動く予感を感じていた。
後半、クルーテオ卿の誤解が解けたと思ったらザーツバルム卿強襲!
ザーツバルムの真意を聞かされ、それでも姫の為に行動…したと思いきや、衝撃のラストには仰天した。
うーむ?結局何がしたかったんだ…?
イナホとアセイラム姫、死亡確認!…とは限らん!?
この引き、2期が非常に気になります。
総じて
弱いロボで超強いロボに作戦勝ちが面白い!
毎話盛り上がり、終始続きが気になる展開は見事。
地球側はまんべんなく見せ場あるも、人間ドラマはやや薄めだが嫌味は少ない。
後味の悪い衝撃のラスト!どうするんだコレ…?
な感じです。
最終回以外のドラマ的には低空飛行だが特に不快感は無く、イナホ無双を淡々とお楽しみ頂くアニメだった。
評価は4.0か迷う所だが、キャラクターのドラマや設定の深さに若干物足りなさもあり、名作級には至らないと思った。
最終的な評価は2期次第…期待7割不安3割…いや!超期待しております!
『作画』
地球側の武骨なリアルロボット、火星の厨二スーパーロボット双方がカッコイイ。
ロボットアニメ史上でも珍しい(初?)完全な「非対称戦」を存分に描かれていた。
近年のスピード特化のロボットアニメ(銀河機攻隊マジェスティックプリンス、シドニアの騎士など)に比して激しさは無いが、迫力や緊迫感は十分。
キャラ作画はスタンダードな良作画な感じ、可も無く不可も無く。
『声優』
クルーテオ卿の速水奨さん初め燻し銀のベテラン声優多数。
ザーツバルム卿の大川透さんが一番の好演だった。
速水さんは、今一つ持ち味発揮出来なかった感(クルーテオ卿ェ…)
このまま退場していたら、速水奨さんの無駄遣いだよ!
2期で黒騎士として復活してくれよぉぉ!
主人公二人は安定しているも地味かも。
雨宮天さんはトーカちゃんやアカメも悪く無いが、やはりアセイラム姫みたいな清純な役が一番似合うと思った。
エデルリッゾちゃんの水瀬いのりさんにも注目。
こころぴょんぴょんしそうですw
『音楽』
本作で一番の褒め所。
OP「heavenly blue」がカッコイイ。
美しい歌詞とメロディーでたたみ掛けてくる感じが圧倒される。
歌詞が聴き取り易いのもポイント高し、2014年夏アニメでも屈指の良主題歌です。
おそらくはスレインのテーマなのだろうが、生憎と本編では今一つ本領発揮出来ず、主題歌負けしていた感が残念。
作中BGMがかなり効果的に使われており、非対称戦の緊迫感を大いに盛り上げていたのも高評価。
『キャラ』
本作の作風を構成していたのは、ひたすらイナホのキャラクターに尽きる。
感情が皆無なのではなく、極めて冷静で合理的思考の持ち主。
正直積極的な魅力は乏しいが、かといって不愉快なキャラでもない。
戦う以外は空気…でもなく、ストーリーの要所にはしっかりと関わっていく。
良くも悪くも、本作はイナホを中心に回るストーリーだった。
ユキ姉やインコちゃん等、地球側で可愛く面白味のあるキャラ多かった。
会話の掛け合いで各々の個性が発揮されていたのも良い。
マリト大尉は…きっと2期に大活躍してくれるさ!
しかし、良くも悪くもイナホありきのキャラ達であって、個別では特に印象的では無いかも。
火星側では、最後までスレインの立ち位置が分からず。
それが良い意味で物語のキーマンっぽさを終始感じさせるのに重要なキャラであったが、最終的には良く分からないキャラクターだった。
スレインは「革命機ヴァルヴレイヴ」のエルエルフのポジション(行動原理がお姫様への忠誠)だと思うが、エルエルフとの差は、主体的に物語に関われるか否かであった。
主人公とは、物語を主体的に動かし得る存在を指す。
イナホが正に主人公無双していた傍ら、スレインは今一つ主人公らしく無かったのが残念。
クルーテオ卿は全く良い所無く、これでは単なる道化だと思った…。
アセイラム姫は典型的な平和主義の姫君、安定して可愛かったが、踏み込んだ魅力は発揮出来ず。
むしろライエの方が若干だが感情移入出来た。
一番魅力的だったキャラは、「待たれよ」卿ことザーツバルム卿だった。
単なる悪役では終わらない信念がカッコイイ。
キャラ層は中々厚いのだが、抜きん出て感情移入出来る程でも無かった。
3.5か4.0かで評価は迷います。
2期に期待したいところです。{/netabare}