STONE さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
まどマギ・チルドレン?
創作物においてインパクトのある作品が発表されると、その後で大なり小なり影響を受けた
作品が出てくることはよくあることで、アニメにおいても「新世紀エヴァンゲリオン」の後
なんかはエヴァ・チルドレンとでも呼ぶべき作品が結構出てきた。
で、この作品に関して、ざっくりした印象は「魔法少女まどか☆マギカ」の影響下にある
ような作品だなあと。
全体的に悲劇性が高い感じで、展開は元より、敵であるダエモニアにしても人間の弱さが
起因して発生するというなかなか鬱性の高い代物になっている。
主人公である太陽 あかりはダエモニアの声が聞こえてしまうが、人が道理を曲げてまで己の
欲求を叶えてしまうと、罪悪感や後悔が生じてしまうことはよくあることで、これを知って
いながら、その敵を倒さなければならないというのも、なかなか辛い設定。
更にダエモニアを倒すと、元の人のことが皆の記憶から消えてしまうというのは、肉体的な
死と、自分という存在そのものが無かったことになるという二重の死になっており、なかなか
悲劇性が高い。まあ、残された人は、その人を失った悲しみを味合わなくて済むのだろうけど。
最初はぎくしゃくしていたあかりを始めとする4人の少女が次第に繋がりを強くしていくが、
やっと皆の心が一つになったと思ったら、後は不幸の連続で下り坂を転げ落ちていくような
展開。
ただ、この手の鬱モノはキャラの感情や行動により生じる不幸がもどかしさも相俟って
悲劇性を強めたりするのに対して、この作品は月詠 るなの嫉妬によるもの以外は、
ケルブレムの攻撃の一つだったり、ダエモニアの特性によるものだったりするので、なんか単に
連続で事故にあったみたいで、結果として悲劇的事象の数の割には悲惨さがあまり
感じられなかった。
るなの嫉妬の方も、あかりとの出会いから闇堕ちに至るまでの心情描写がいささか足りない
感じ。
結局は最後はみんな元通りでハッピーエンドに終わるが、これをやってしまうとそれまでの
悲劇性が凄く安っぽくなってしまう。
全てをボロボロにしろとは言わないけど、シリアスな鬱モノをやる場合、ある程度は悲劇が
生んだ傷痕を残しておくべきかなと思う。
異能バトルものとしてはそれなりにまとまっていたが、人間ドラマとしては底が浅く、全体に
薄い印象だったかな。