STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
まさにBoy Meets Girl
舞台は20世紀初頭のヨーロッパで、こんなもの実写で制作
したらとんでもなく制作費が掛かりそう。こういうジャンルも
アニメが強さを発揮できるなあ、と改めて思ったりした。
まず全編を通して思うのは、主役であるヴィクトリカの
魅力で、この作品はストーリーにしろ、設定にしろ、あくまで
ヴィクトリカを土台に成り立っている印象。
このヴィクトリカの魅力だが、作画における容姿、性格や
特徴の設定と共に、ヴィクトリカに魂を吹き込んだ中の人で
ある悠木碧さんの演技力も大きい。同時期に放映されていた
「魔法少女まどか☆マギカ」のまどか役の演技が好評だった
が、こちらも負けてない。
ただ、ヴィクトリカが突出して印象度が高かったせいか、
他のキャラが今一つ凡庸に感じてしまった。早い話、
ヴィクトリカと渡り合えるようなキャラがいなかった。
序盤ストーリーはヴィクトリカと久城による事件の謎解きを
中心としたミステリーものの体裁を取って進んでいくが、
この事件のトリックがちょっと稚拙。熱心なミステリー
ファンなら気付いていると思うが、ほとんどのトリックが
他作品で使われているもので新鮮味もない。
ただ、話が進んでいくにつれて、事件解決そのものより、
事件を通じてヴィクトリカと久城のつながりを深めていく
ことに重点を置いていることに気付く。意図したものか、
偶然の産物かは判らないが、結果として事件にあまり
インパクトがないことで、ヴィクトリカと久城の繋がりの方が
印象に残るようになっていた。
回を追うごとに事件自体もヴィクトリカ自身やソヴュール
王国の裏歴史に関わるようなものになっていき、事件を解決
するごとに、視聴者にとって作品全体の謎である
ヴィクトリカの出生の秘密やソヴュール王国を巡る陰謀などが
明らかになっていく。各事件のそれぞれはあまり因果関係は
ないのだが、順次謎が明らかになることで、作品に連続性を
持たせており、この辺の話作りはなかなか上手いなという
感じ。それにつれて、ヴィクトリカと久城との結びつきは
より深くなっていく。
そして、全ての謎が明らかになるが、まさに視聴者にとって
カオスのかけらが全て揃った段階だが、ストーリーは歴史
ものの様相を取り、ヴィクトリカと久城は運命の波に翻弄
されていく。こうして窮地に陥ったヴィクトリカだが、
そんな彼女を救うのは聡明な頭脳より、久城との絆や
母コルデリアの母性愛だったりする。優秀な頭脳のみを
期待され、愛を知らずに育ったヴィクトリカが、偶然に久城と
出会ったことで愛を知り、それにより自身を救うことに
なるという、Boy Meets Girlここに極まれりといった
エンディング。
最後に。
史実では1939年に始まる第二次世界大戦が、この作品では
1925年に始まってしまいます。第一次世界大戦の年代と
キャラの年齢の兼ね合いからそうなってしまったのか。
まあ、ソヴュール王国自体架空の国なので、パラレル
ワールドのヨーロッパ近現代史ということで・・・。