景禎 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
僕はキメ顔でそう言った。
「化物語」の続編。ライトノベルでは「化物語」と「偽物語」の間に「傷物語」という編があり、こちらは劇場版アニメとして製作されるらしい。どちらにせよ、例によってわたしは原作未読です。
この作品を鑑賞するにあたり、前作「化物語」を見ておくのは、ほぼ必須条件だと思います。もし前作を見ないでこの作品を見ようとしても、かつての私がそうであったように、大抵は途中で息絶えます。
3話くらいまでは、例によって例のごとく主人公と彼を取り巻く女子たちの1対1の会話シーンの連続。前作を見てないと、登場する女子のキャラとかバックグランドとか主人公との関係とか分からないし、本当に単なる無駄話にしか聞こえないかもしれない。
また、この作品独特のスタイルへの耐性を養っていなければ、相手の女の子を取っ替えひっ換え行われる超ロングラン会話劇にはついて行けないかもしれない。
基本路線は「化物語」と同じ。すなわち、一見ファンタジー系バトルのようであり、他愛ない会話が中心ということで日常系のようでもあり、登場人物の構成からはハーレムもののようでもある。そんな感じ。
では前作と全く同じかというと、そこは否。前作との違いに着目すると・・・
その1。
前作より圧倒的にエロい。脱衣、入浴、パンチラ、パンモロ、歯磨き、その他いろいろ取り揃えて。しかし、形式的にはあくまでテレビ放映可能な範囲ではあり、先端や局部(こういう言い方がすでにアウトですが)を出さずに・・・というか、出さないが故に余計にエロイ。まあ言ってみれば、そこらへんのエロビデオよりは遥かにエロいと思いますヨ。
その2。
前作より圧倒的によく動く。シャフト+新房監督の作品に共通する細かなカットや視点の変化、顔や体の一部のドアップ、原色が多用された平面的で直線的な背景。そういった静止画中心の特徴を継承しつつも、ヌルヌル動く。動きが細かい、凝っている。ひょっとしたら前作の大ヒットを受けて莫大な予算が付いたのかも知れないな。うらやましい限りですね。
その3。
前作より饒舌。それも、ワケのわからん形而上学的なお話しにさらなる磨きがかかってます。意味のないコトバの遊びのようであるけれど、結構はっとするような内容も含んでいたりするから、余計にタチが悪い。(「悪い」というのは言葉のあや。本当は「良い」のだが)おまけに前作では無口キャラで通した忍(しのぶ)までが堰を切ったように話し始めたのには驚いた。
その4。
今回は妹萌え。前作ではほとんど登場しなかった主人公の二人の妹が、今回はメインヒロインとなります。妹萌え層が泣いて喜ぶシーン満載ですが、そういう層に変に媚びたりはしません。リアルに妹がいる人なら大抵同意して頂けると思うのですが「妹は異性には見えないし、当然ながら恋愛対象外」・・・ですよね。この作品のウマいところは、そういう基本ポリシーは踏み外さず、それでいて妹萌え層に強烈にアピールするウマさ、巧みさにあるように思います。脱帽です。
今回も一応前作と同じく怪異がテーマであるのですが、その中でもタイトル通り「偽者」というのがキーワードとなります。「本物」と「本物と区別が付かない偽者」は、どちらが価値があるか?というような問いが出てきますが、そのような哲学的で形而上学的内容を含んでおり、単なるお気軽エンタテイメントをはるかに超越しています。気のせいかも知りませんが・・・。
さて、それこそどうでもいいことですが・・・「つきひフェニックス」で登場する斧乃木余接(おののきよつぎ)の口癖「僕はキメ顔でそう言った」。私、このセリフ聞いて「うぅ~ぅ~ぅ~ん・・・どっかで聞いたことあるなぁ~」と強いデジャブに襲われました。たぶんですが、銀魂69話「ゴミの分別回収にご協力下さい」で登場するタマがデジャブの元?
違ってたら教えてください。