どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
生と死が錯綜する摩訶不思議なファンタジー。話は難しいがアイちゃん可愛い
ファンタジア文庫のライトノベル原作の、ファンタジーアニメ。
15年前に神様が死んだ?らしく、以来「人が死ななく(死ねなく)なった」世界を舞台に、死者を死に還せる「墓守」の力を持つ12歳の少女アイが多くの生者や死者たちと関わったり、旅を続ける物語。
不思議かつ儚い美しさを感じる独特の世界観と、アイちゃんの可愛さが見所のアニメ。
生と死が交わる幻想的で切ないストーリーではあるが、本作全般としては、些か中途半端で地味であり、序盤に世界観や雰囲気を気に入った人向けの「雰囲気アニメ」かも。
個人的に、好みの作風ではありました。
{netabare}『物語』
まず、OPから続き、その特異な世界観に興味を惹かれた。
神様が死んだ?から、もう人は生まれないし、死なない(死ねない)?
生きているように見える村人が実は死者だったり、死者を葬れるのは墓守だけ、アイは墓守?
生と死の循環・理が停滞した、我々視聴者の常識が通じない異常な世界観。
表向きは穏やかに暮らす少女アイ(かわいい)の幼く無邪気な視点を通して、生と死の物語が始まる。
どんなに表向き平穏でも、死者がいつまでもこの世に居るのはおかしい…?
死者は不死身だが次第に脳が腐って理性無くしていくらしく、アイは葛藤の末に、自らの墓守の使命を果たし、世界を救う決意をする!
うーむ、切ない。アイちゃんの健気さが可愛く、
死者の駆逐に執念を燃やす不死身の青年ハンプニー・ハンバートと、彼に妻(死者)を葬られハンプニーを恨む男ユリーとの因縁に関わるアイ。
生きるとは?死者でも愛する者の心とは?
一筋縄ではいかぬ人間の心を、幼いなりに素直に見つめるアイの心情…
切ないが、きちんと救われた、良い話だった。
正直本作の山場はハンプニー・ハンバートがアイの父親になって、娘に葬られる序盤辺りまで。
ここら辺の下りは少し涙腺が緩むくらい切なくもハートフルな話だった。
ここから先はユリーや墓守の女性スカーらと共に世界を旅する話になるが、本作の不思議な世界観が更に深まって興味深くなる一方、展開はややスローテンポに。
死者の国の姫ウッラとの交流で、アイの「自分自身の目で世界を見る」本作のテーマ?が何となくではあるが伝わってくる。
あくまで何となく、であり、ここら辺の世界観とテーマは、やや難しく感じた。
(私の理解力不足かも。あるいは原作読めばより良いのだろうか)
その後アイが拉致られゴーラ学園という学園(という名目の異能者の子供達の収容所?)に入れられる事に。
そこの比較的近い世代の子供達との交流、異能力系の話になってくる。
学園脱出の後、時空が完全にループしている封じられた都市の話に。
…これ「ゼーガペイン」じゃね?と思ったですw
正直込み入った話になってきて混乱しがちではあったが…
要は「各々の願いが現実的に奇跡を起こし得る」世界のルールに基づく物語だったみたい。
序盤の死者の村にせよ封印都市にせよ「停滞した歪な世界はダメ、自らの意志で生きてこそ、生きている」というのが本作のテーマなのだろうか。
総じて、
終末観漂う幻想的世界観
幼く素直に本質が見れる少女視点で「生きる」有り方を問う?
感じの物語だと思ったです。
終始興味深かったし総じて好みのタイプの世界観と物語ではあったものの、正直序盤以降は些か難解というか、楽しみ方に迷う面は否めず。
まあ…アイちゃん可愛い。って事で良いでしょう!
『作画』
アイちゃん可愛い。
幻想的ファンタジーを描いた世界描写は中々の美しさ、総じて好みの良作画でした。
『声優』
アイ演じる豊崎愛生さんが思いの外可愛い好演。幼くとも素直に世界の実態を見つめる意志の強さも出ていた。
浪川大輔さんと藤原啓治さんが良かった。序盤の良エピソードを支えていた感。
『音楽』
OP「Birth」がテーマをしっかり盛り込んで、かつ雰囲気バッチリの良曲。まずこのOPで本作に期待を持った。
BGMもかなり良い。
『キャラ』
アイちゃん可愛い。
生と死が錯綜する世界で、自分なりに素直に有るべき姿を見つめられる、強い幼女ヒロイン。
その純粋で無垢な可愛さはバツグン!
アイちゃんが可愛く無ければ本作切ってたですw
ハンプニー・ハンバートとの交流が本作の山場だった。
他、光るキャラは居るものの、やや印象が弱かった。{/netabare}