STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「巻かなかった世界」の物語
原作は未読。
一応、1期2期の続編のような形を取っており、1話目でこれまでの総集編のようなものが放映
されたが、多少内容が異なっていたりして、少々戸惑ったり。
1期2期はアニメオリジナルの部分があったり、原作自体連載が終了となった後に、他紙で
再開したりと色々な変遷があったりしたためみたい。まあ大意は判るからいいけど。
本作は「巻かなかった世界」の桜田 ジュンの物語といった内容で、1期2期に対するパラレル
ワールドものと言ってよさそう。
ただ「巻いた世界」もリンクしてくるため、並行世界を行き来するようなSF的テイストも
加味されており、これまでのファンタジー一辺倒といった雰囲気とはちょっと異なる感じ。
「巻かなかった世界」のジュンは冴えない日々を送る大学生。結局は中学の不登校から
そのまま後ろ向きだったみたい。
「巻いた世界」のジュンの中学生以降は判らないが、中学時に少しずつ前向きになっていく
描写があったりで、その後の人生は「巻かなかった世界」のジュンとはかなり違ったものに
なりそう。そう考えると真紅を始めとするドール達との出会いは相当大きかったのだろうなと
思う。
「巻かなかった世界」のジュンは大学入学による環境の変化に期待をしていたようだが、
結局は変わらず。本人の気持ちが変わらないと、環境だけ変わっても同じようになってしまうと
いうのはよくあることかな。
過去を悔いるような描写が何度か見受けられたが、こちらの世界でも真紅と出会うことで前へ
進むための何かを掴んでいくジュン。
まあ、物心ついてから人生は日々選択の連続みたいなもので、一度選択を間違えたとしても、
その後の選択で軌道修正できるはず。全て理想通りにいけるわけではないけど。
そういう意味では、作品中の「巻くか、巻かないか」の選択は人生の選択のメタファーの
ようにも思えた。
一応。
個人的には、不登校=後ろ向きとは考えておらず、他作品の言葉ですが、
「生きるための逃げは有り」だと思っています。
ただ、どうせ逃げるなら、その逃げを後に有効に活かしてほしいかなと。
一方のドール達だが、本作はジュンに焦点が当てられたためか、ドール同士のバトルや日常の
コメディ要素は大きく減退。ドール達の活き活きとした描写を楽しみにしていた人は結構
がっかりだったのではないかと。
本作のジュンはアパートで一人暮らしと慎ましい生活環境。それゆえに真紅との暮らしも妙に
生活感があったのが面白かった。これはバトルにも波及しており真紅と水銀燈のバトルも
1期2期に較べると、シャワーの水掛け合戦だったりチマチマしていたのがおかしい。
真紅のジュンへの態度は、ジュンが大きくなっても相変わらずといった感じで、よくよく
考えるとこの真紅に加え、水銀燈、翠星石とやけにツンデレ率の高いドール達である。ドール
らしい気品を崩したくないゆえのものか。
制作会社が変わったためか、絵のタッチはかなり異なる。
可愛らしさは1期2期の頃の方があったように思えるが、人形感ということに関しては本作の
やや無機質な印象のタッチの方が出ていたような。
人形感ということに関しては、ジュンがドールを作る描写が多かったのも大きかったかな。
展開自体はそれなりに楽しめたが、ちゃんと描くべきところをはしょったり、逆にサクサク
いっても良さそうなところでダラダラ余計な描写をしたりといった感もあり、ちょっと時間の
掛け方が下手な印象があった。