OZ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
グラウンドに咲く九輪の華
原作のライトノベルは未読だが
前々から気になっていたので観てみる事にした
■グラウンドに咲く九輪の華■
時代は女性の社会進出が一般的でなかった大正末期。
女学生達は男を見返す為
ルールも知らない野球へと打ち込む
現代の青春部活物を大正時代に置き換えた『大正野球娘。』
王道一直線の物語はベタな展開であるが
定番のメンバー集めや
試合に敗れては挫折 成長と
クライマックスに向け
段々と盛り上がる構成は極めてオーソドックス。
野球だけかと思いきや
日常回が半分を占める為
野球に詳しくなくても
楽しめるのが今作品の強み。
その反面 試合が少なく
ガッツリと野球を楽しみたい人には
もの足りなく映るだろう。
突き抜けた面白さは無いけれど
最後までブレないのは評価したい所だ。
そして印象に残ったのは音楽面。
OP「浪漫ちっくストライク。」は
これぞアニメと思わせる曲で
飛ばせないOPの一つ。
しかし 何と言っても劇中BGM「そして、歩き出す」が
素晴らしい出来で驚いた。
度々要所で流れるのだけれど
大正時代を背景とした曲調は
見事にハマっていて
今作品が上手く表現されている。
この曲だけでも高評価だ。
野球を通じて成長を遂げる大正娘達。
懸命に逆境を乗り越える彼女達の姿には
自然と応援にも熱が入り
観終わった後は
爽やかな気分になれる作品である。
■弱点は尺の短さ■
ここまで称賛しているが
今作品には決定的な弱点がある。
何と言っても"尺が足りない"に尽きるだろう。
王道を地で行くシナリオは
どこを盛り上げれば面白くなるかのをポイントを
キッチリ抑えているのだけれど
全12話では収まりきっていない。
したがってキャラの掘り下げが
充分に出来ているとは言えず
最終回も一気に幕引きへと繋がっているので
「えっ?これで終わり??」と
何とも消化不良なのが残念である。
チームとして櫻花會は好きだけれど
一人一人の印象が薄いのは実に惜しい。
せめて2クールで24話構成ならば
もっと輝きを放つ作品になっていただろう。
■ハイライト■
観ていて最も熱くなったのは
最終回で鏡子がダイビングキャッチを成功させた場面。
巴の口車に乗せられ
頭数が足りない野球部へ入る事となった
左翼を守備する女の子。
元々 巴目当てなので
野球への情熱は当然希薄であり
ハッキリ言って外野の穴。
まともにフライも捕れない
チーム一頼りない彼女だったけれど
ここぞの場面でプロ顔負けの
ダイビングキャッチでピンチを凌ぐ。
今までダメダメだった鏡子なだけに
身体を張った根性のファインプレーは
思わずウルっときてしまった。
他にも巴のホームラン等
グッとくる場面はあったが
今回はここがハイライトでした。
■あとがき■
期待半分で観ていましたが
予想を覆して楽しめました。
終盤で一気に話が進んでしまったのは残念だけれど
最終回のBパートは盛り上がったね。
OP曲が流れた辺りで目頭が熱くなってさ
最後は小梅が果敢にホームスチールした結果
朝香中に負けちゃうんだが
「もしかしたら逆転するのか!」って
本気で応援しちゃったよ。
あそこで勝っちゃうより
負けてしまうのが今作品の良さで
正々堂々と迫熱した名試合だったね。
質の高い音楽も相まって
尺の短さだけが本当に惜しい。
2期はおそらく無いだろうけど
続編を強く希望したい作品だ。
満足度 ★★★★★★★☆☆☆ (7)