STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
水銀燈の物語
原作は未読。
これは水銀燈が主役と言っていい話かな。
真紅を始め、金糸雀、翠星石、蒼星石、雛苺が仲良くやっていく中、孤高の存在として独自の
魅力を放つ水銀燈だが、そんな彼女の誕生から今?のような気持ちに至るまでがよく判る。
自身が未完成品であることを自覚しているからこそ、「父(ローゼン)に愛されて
いないのでは?」という疑念が生まれ、それゆえに余計に父への愛を求めるようになったの
だろうか?。
そして、アリスになることで父に愛を得ると共に、未完成品の自分が完璧な存在になるため、
アリスゲームにここまで執念を傾けるようになったのか?。
その姿は悲しく、おぞましく、そして美しい。
後には見ることのできない水銀燈と真紅との触れ合いは微笑ましくあるのだが、ここでの
真紅に対する感謝の思いがあるがゆえに、それが憎しみに転じた際の憎悪の念はかなり深い
ものがありそう。
何故、水銀燈が他のドール以上に真紅を敵視するのかが、よく判る描写だった。
この真紅への憎悪は水銀燈自身の誤解と嫉妬に基づくもののようだが、それだけとは
言い切れないところが興味深い。
歩き方を教えるなどの、真紅の水銀燈に対する行為は、水銀燈に対する優しさなのだろう。
しかし、これらの行為は自身はローゼンメイデンであり、未完成品の水銀燈はローゼン
メイデンではないという線引きの上に成り立っているものであり、真紅自身は無自覚
なのだろうが、ある種の差別意識のようなものが感じられる。
それが終盤において、水銀燈への罵倒という形で表に出たが、ここでの真紅は精神的な醜さが
見られる。
他にもアリスゲームで他のドール達と戦うことに何の躊躇もないところなど、いずれもテレビ
シリーズの真紅には見られなかったものである。
そう考えると真紅も随分と変わったものだなと。
話の大半が桜田 ジュン達がマスターになる以前の近世のヨーロッパらしき場所が舞台だが、
こういった点もテレビシリーズでは見られなかったもの。