「ガールズ&パンツァー(TVアニメ動画)」

総合得点
88.3
感想・評価
3202
棚に入れた
14080
ランキング
118
★★★★☆ 4.0 (3202)
物語
4.0
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

戦車ミリタリー要素を女子部活物に落とし込んだ、画期的コンセプトの大ヒット作

戦車というマニアックなミリタリー要素を、誰も傷付かない女子部活物にしてしまった画期的なアニメ。
「女の子に(安全に)本格的戦車戦をさせる」為の絶妙な舞台設定。
戦車要素も本格派な一方、少女達の可愛さやひたむきさ等の萌え+軽い燃え要素も完備。
アニメ好き層だけでなく戦車好き層、更に両方に関心の薄い層までも広範の支持を得るに至った、大ヒット作です。
むしろ戦車に詳しく無い方にオススメのアニメかも?


{netabare}『物語』
「戦車道」という、戦車が華道や茶道めいた女子の嗜みとなっている、独特の世界観が肝か。
街ごと巨大空母になっていて、戦車道の試合(つまり戦車戦闘)で街が破壊されても住人が「補助金が出て改築出来るからむしろ嬉しい♪」
一見危ないが、謎のテクノロジーで少女たちの安全は確保されている、戦車道は婦女子の嗜みであって軍事目的は皆無…
等々の世界観全てが「女の子に(安全に、平和的に、心置きなく)本格的戦車戦をしてもらう」為の絶妙な設定として練られている。
アニメとは即ちファンタジーであり、現実には出来ない嘘、を表現するのが醍醐味だと思うが、本作は正にそれを体現している。
如何にファンタジーとはいえ嘘設定に不快感や違和感感じてしまうとダメなのだが、本作の嘘設定はその点絶妙で、世界観を受け入れてしまえば、以降は女の子が戦車で戦っても素直に楽しめてしまうのが凄い。
フィクションとしてのアニメ、本作はその本来の魅力を如何無く発揮した名作だと思う。
(何で女の子達が怪我しないかって?細けぇ事気にするリアリストは本作観なくていいです)

ストーリー自体は王道そのもので、廃校を阻止する為に部活動(本作世界では花形の戦車道)で優勝する!
ライバルと試合、勝利、ライバルとも絆が深まっていく、ベタで素直な王道展開。
少女たちが和気藹々と楽しく、でもひたむきに頑張る姿は微笑ましく、また応援したくなる。
西住殿の葛藤も、仲間やライバルが皆良い子ばかりで、深刻になり過ぎる事無く、爽やかな部活物としてストレス無く視聴出来た。

戦車は非常に本格派で、整備や内部機構から機動や陣形、戦術に至るまで、手を抜かずにしっかり描写していて好印象。
それでもマニアックに傾き過ぎず、少女達の楽しい雰囲気を交えて、戦車に疎い層にも分かり易いのも良い。
本作の魅力はこの絶妙なバランス(女子部活物+ミリタリー、シリアス2和気藹々8くらい)にこそあり。
ストーリー展開は意地悪く言うとベタなのだが、むしろそこが良い。
クセの少ない王道な面白さがあり、本作がかなり広範な層に支持されている所以かも知れない。
一見すると抜きん出た魅力は少なく、リアルタイム視聴時は正直佳作くらいかなー?
と思っていたが、本作の偉大さはコンセプトの秀逸さにあり。
幅広く支持される普遍的面白さ、繰り返しの視聴にも耐えうる点で、名作足り得ると思います。


『作画』
キャラ作画は抜きん出た魅力は少ないが、クセの少ない比較的万人受けしそうな良作画。
皆素直な可愛さがあって好感持てる。
萌え的には控え目で奥ゆかしく過剰なエロも無し、そこも広範に支持されるのに一役買っているのかも。
一方で戦車の描写はかなり本格派、迫力ある戦車戦を存分に魅せてくれる。
またモデルとなった茨城県大洗町の風景の再現度も、御当地アニメとしての見所か。

『声優』
西住殿の渕上舞さんの、奥ゆかしくも凛とした演技は、派手さは無いが好演であろう。
秋山殿の中上育実さんも存分に持ち味発揮。
登場キャラが非常に多い本作、その他も抜きん出て印象に残る程ではないが、安定している。

『音楽』
OP、ED共に、アニソンとして見ると主題表現が些か弱く、個人的にはイマイチ。
まあ本作は本格派ミリタリーではなく、女子部活物なので、クセの少ないポップな曲もアリだろう。
ガチのアニソンらしく無い点も、幅広い層への支持拡大に一役買っているとも見れる。
本作の音楽面での評価は、BGMにあり。
作風にマッチした、ポップにアレンジされた行進曲調のBGMは未だに印象に残っていて、本作の魅力に繋がっている。
戦車戦の緊迫感もBGMの功績が大きい点を考慮した評価。

『キャラ』
西住殿と秋山殿は文句なしに可愛い。
西住殿は控え目だが指揮官としてちゃんと皆を統率したり、不利な状況でも諦めずに戦術立てたりする、強いヒロインで魅力的だった。
戦車一台に数人、戦車5台くらい、ライバルチームも居るので、非常にキャラが多い。
全員の名前と顔は一致させるのは大変だが、別に無理に覚える必要は無いタイプの作品。
「キャラ多過ぎて覚えられない、掘り下げが浅い」点は、本作に於いて欠点では無いのです。
チーム毎に独特の個性があって、楽しくて分かり易いキャラ付けも、親しみ易さと層の厚さに貢献している。
抜きん出て萌えを感じたり、好きなキャラが居る程でもない為、評価は4.0点です。


『余談・ガルパンはT34である』
私は本作をアニメ史上でも名作の一角と見ておりますが、その割には総合評価点は4.1点と(名作級にしては)かなり低めです。
けれど、それでも名作です。
戦車に例えると…
本作ガールズパンツァーはソビエト連邦の名戦車「T34」に相当するかと。
T34は性能的にはドイツのティーガー等に比べて凡庸でしたが、生産性や整備性等の面で大活躍。
本格的に避弾経始(装甲を砲弾に対して斜めにして滑らせて防御力上げる)を取り入れた画期的コンセプト。
ガルパンも部分部分では抜きん出た面が無くても(いや戦車戦シーンは十分抜きん出ているが)、優れたコンセプトとバランスにより、大ヒットアニメ足り得た。
ストーリーは王道(悪く言うとベタで底は浅い)、キャラは意地悪く言うと記号的、けれどむしろそこが良い。
ガルパンはその凡庸な部分も含めて、エンタテイメントとして大成功しているのです。
避弾経始、戦車道。
T34より強い戦車、ガルパンより面白いアニメは少なくありませんが…
それでも両者が名戦車、名作アニメなのは確か。
スペックだけが大事なのでは無いのです! {/netabare}

投稿 : 2014/09/17
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